2
私たちは結婚式を挙げると、妻の仕事場近くに雰囲気のいいアパートメントを借りた。
妻は自らの事務所を構え、法律関係の仕事をしていた。私は農業法人に属し、農夫として働いていた。
最近の
「子供、欲しいの?」
三年目の記念日に、妻から尋ねられた。
公園で遊ぶ子供たち。そこへ向ける私の視線を読み取っての言葉なのかもしれない。私がその意思を伝えると、妻は耳打ちをした。
「その覚悟があるのなら、今夜、わたしのところに来なさい……」
妻の言葉に
その晩、妻の寝室へ行くと、裸の妻がベッドで待っていた。
「もう引き返せなくなるけどいいの?」
立ち尽くす私に、優しく語りかけてくる。頷く私を見て、妻は寂しげに微笑んだ。
「じゃあ、あなたも服を脱いで……」
手を繋ぎ、ベッドの上に招かれる。裸の妻に包まれると夢心地になった。いい匂いが立ち込め、
「目を閉じて」
うしろから妻に抱かれつつ、肩に顎を載せられると、皮膚が反応して、私の輪郭が徐々に溶け出した。彼女の胸から腹が縦に開き始め、その谷間にゆっくりと飲み込まれていく。気が遠くなるくらいの快楽が軟らかくなった背骨を伝った。
「すべてをわたしに任せて……」
私たちは溶けあい、一晩をかけて、深く深く交わった。
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