第15話 新しく出来た掲示板 Side

 朱音アカネが《クリワイ》を終わらせた後、掲示板界隈にはこんなものが出来ていたのだった。


【クリーク】《クリワイ》界の絶望の星《紅蓮の狂拳》を扱うスレ Part1【顔面破壊ハンター】


 1:名無し。私の好きな言葉です。

 突如として現れた話題の女性ハンター《紅蓮の狂拳》を扱うスレです。マナーを守ってお使い下さい。

 でないと《紅蓮の狂拳》から顔剥ぎをされます。


 2:名無し。私の好きな言葉です。

 よっしゃ! やっと出来た!!


 3:名無し。私の好きな言葉です。

 顔剥ぎされるとか嫌すぎるので、ちゃんとマナーは守ります()


 4:名無し。私の好きな言葉です。

 それよりもコユミちゃんの今回の配信ヤバかった……めっちゃヤバかった……。

 何かこう、超次元的な何かを目撃した気分。


 5:名無し。私の好きな言葉です。

 《紅蓮の狂拳》、他ハンターでは無理だった事を成し遂げていたからなぁ。

 分かる範囲でだと、


 ・武器耐性のあるアイアタルを撲殺する。

 ・最強のドラゴン系かつダンジョンの主であるタラスクをソロで撃破。

  ドラゴンでソロ撃破は数千人に1人という最難関で、しかも相手は攻略もクソもない新種。そんな中での圧勝という異常事態。

 ・そもそも武器や防具なしの裸装備。

 ・さらにこれらをノーダメで制覇。


 ……並べてみると、ガチの化け物だって事がよく分かる。


 6:名無し。私の好きな言葉です。

 おっと、これを忘れちゃ困るぜ?


 ・タラスクの顔面の甲殻を剥がし取る。

 ・そしてそれらの戦いを、嬉しそうに笑いながらしているという狂気。


 最強な上にこんだけ変態なら、そりゃあバズりますわって話だわ。


 7:名無し。私の好きな言葉です。

 狂拳の切り抜きが投稿されて1時間で15万。ツイックスも50万RT。

 さらに『狂拳先輩』『クリーク』『顔面破壊ハンター』『お前サッカーな!!』がトレンド入り。


 これで非配信者だなんて、この人どんだけ化け物なんだ……。


 8:名無し。私の好きな言葉です。

 さすが狂拳先輩だぜ!! 俺達の兄貴なだけある!!


 9:名無し。私の好きな言葉です。

 女性なのに兄貴とはこれ如何に。


 10:名無し。私の好きな言葉です。

 ちまたじゃ、狂拳のファンは『舎弟』って名前になっているんだぜ? もうヤクザのそれだな。


 11:名無し。私の好きな言葉です。

 ついでに、そのファンには女性も少なくないらしい。カッコいい同性に憧れるってのは本当なんだな。


 12:名無し。私の好きな言葉です。

 ほんともったいない。配信者になれば一生食っていける金貰えるのに。


 13:名無し。私の好きな言葉です。

 一応、コユミちゃんが収益の5割を渡す予定だとツイックスで言っていたけどさ。

 気前良いよな、あの子。


 14:名無し。私の好きな言葉です。

 俺達の狂拳先輩はそんな俗な事をしませんぜ!! あの方は我が道を往くストイックさを持っているんです!!


 15:名無し。私の好きな言葉です。

 時々、舎弟が出てきて草。


 16:名無し。私の好きな言葉です。

 しかしまぁ、いくらオートスキャンのバグのせいでああなったとは言え、あの攻撃力は異常だよな。かといってチートを使っている訳じゃないし、一体どうなっているんだ?


 17:名無し。私の好きな言葉です。

 コユミちゃんの配信で本人が言ってたもんなぁ。「装備が使えない代わりに拳で戦える」って。

 ジャ〇キーかいな。


 18:名無し。私の好きな言葉です。

 それに関しては色んな説があるぜ。『仮想現実の存在であるクリーチャーには、狂拳先輩の攻撃が耐えられない』とか『元々、現実の狂拳先輩にはそういう攻撃力があるのでは』とか


 19:名無し。私の好きな言葉です。

 いずれにしても狂拳先輩は化け物だって事か。


 20:名無し。私の好きな言葉です。

 そうだろうなぁ。……俺、プレイ中にあの人に会ったら握手頼もうっかな。男なのに、あの人に惚れちゃってるんだ。


 21:名無し。私の好きな言葉です。

 分かる。せっかくだし、高難易度クリーチャー討伐頼もうかな!!


 22:名無し。私の好きな言葉です。

 コユミちゃんがそばにいるから、さすがに無理やろ


 23:名無し。私の好きな言葉です。

 確かにそっか。


 と、このように《紅蓮の狂拳》の株が上がっていき、さらなるファンが生み出されていく。

 今や《クリワイ》界隈は、《紅蓮の狂拳》を中心に回っているのである。

 

 ……これに対し、《紅蓮の狂拳》の正体である辻森朱音はというと、




「スゥ……スゥ……」


「朱音どうしたの? ガチで寝てるじゃん」


「昨日に《クリワイ》やってたから疲れたんじゃない? 世間では狂拳先輩で盛り上がっているっていうのに、ホント朱音ってマイペースだよねぇ」


《クリワイ》での虐殺プレイを堪能した翌日、教室の机で思いっきり寝ていたのだった。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――


 ここまでお読みいただきありがとうございます! 第1章はこれにて完結です!

 この話から『人物紹介』を挟んだ後に第2章が始まるので、どうか引き続き読んでいって下さい!


「面白い」「続きが気になる」と思った方は、ぜひとも☆や応援コメやレビューよろしくお願いします!

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