【完結】VRMMOのバグで徒手空拳最強になったJK、そのままイキイキと良い笑顔で虐殺プレイを始めてしまった結果大バズになった件

ミレニあん

第1章

第1話 キャラメイクからの……?

「……つい買ってしまった。今月厳しいっていうのに」


 私――辻森朱音つじもりあかねは自室に入るなり独り言ちた。


 実は先ほど、通販で注文したゲーム内蔵機器が届いたのだ。

 

 それもただのゲームではない。

 全世界で初と言われているフルダイブ型VRMMO……まぁ、ソー〇アー〇オンライ〇みたいな感じ? その決定版とか呼ばれているやつ。 


 名前は《クリーチャーズ・オブ・ワイルド》。


「姉さんに言われて買ったんだけど、値段高すぎだわ……。何でゲーム機器で10万? 普通は5万が相場でしょうが……」


 最初ネットで機器を見た時、その値段の高さに目玉が出そうになったものだ。

 こりゃあ、貯金しているお年玉も使わないと駄目だわとも。


 ちなみになぜ購入したのかと言うと、この間に帰省した喜奈きな姉さんに言われたからだ。


『ねぇねぇ朱音、《クリワイ》って知ってる? 知らない訳ないよね?』


『即刻否定すんなや。てか《クリワイ》ってアレっしょ? 《クリーチャーズ・オブ・ワイルド》。何かヨーツベでよく見るんだけど』


『そうそう。今すっごく人気でさ、有名配信者がごぞってプレイしているんだって。朱音はやらないの?』


『興味はなくはないけど、値段が高いしVRなんて初めてだしで手を付けようって思えなくてさぁ。そういう姉さんは?』


『私? ゲーム買うくらいならデバコス買うわ!』


『出たよデバコスオタク』


『とにかくさぁ。結構話題になっているんだし、騙されたと思って買ってみたら? ゲーム好きとしてはそそるでしょ?』


『……ふーむ』

 

 確かに私はゲーム好きで、部屋中にはそれらのソフトがたくさん並んでいる。

 だからこそVRMMOには惹かれてしまった訳だが……。


 何はともあれ、この《クリーチャーズ・オブ・ワイルド≫だ。

 今後は《クリワイ》と略するとして、早速このゲームをプレイしておくとしよう。


「えっと、ここの配線をこうして……。ったく、色々と面倒くさいなぁ」


 なんて愚痴りながらもセットは完了。

 後は専用のヘッドギアを被ってダイブするだけ。


 ――その瞬間、視界に映る光景が自室から巨大なウインドウへと変化をした。


『ようこそ《クリーチャーズ・オブ・ワイルド》へ! これからキャラメイクを始めます!』


「あーハイハイ、キャラ作りキャラ作り。面倒だからチャッチャ終わらせよっと」


 こういうのを時間かけたら、中々ゲームに進めないっつーの。


 なので軽く済ませようとしたところ、『オートスキャン』なる機能を発見。

 何でもプレイヤー自身の姿をスキャンする事で、それをアバターへと取り込んでキャラメイクを早く終わらせる事が出来るらしい。


 まさに私にうってつけ。

 早速その『オートスキャン』を使い、キャラメイクを完了させるが、


『こちら=よろ▽いでしょ※か?』


「ん?」


 目の前にアバター姿が表示されているのだが、何故かモザイクのようなものが覆い被さっているのだ。

 顔立ちすら分からないのが面妖だし、文字もバグっているような……。


「……まぁいいや。どうせ変な事が起こる訳でもないだろうし。あっ、性別は女で」


 こういうのって運営に連絡すべきだろうが、それも面倒なのでスルー。


 とにかく性別を女にして、名前はシンプルに《アカネ》。

 それが決まったところで『いよいよ《クリーチャーズ・オブ・ワイルド》の世界へ突入します! 良いご武運を!』というウインドウが表示され、またもや視界が真っ白に染まっていった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 やがてその真っ白な視界に色が付く。


「知らない天井だ……」


 そんな某人気ロボットアニメの台詞を吐くくらい、私はいつの間にか広いテントの中にいた。

 いわゆるモン〇ンにあるベースキャンプの類だろう。


 ベッドから起きてすぐ鏡を発見したので、私は迷わずそこに向かう。


「どれ……ふーん、こんな感じなんだ」


 顔立ちはあまり現実と変わらない。


 代わりに長い黒髪は血のように赤く染まっていて、頭部の下に垂らすようにゴムで縛っている。

 ポニーテールのようなオシャレ感はなく、雑に髪をまとめましたという見た目だ。


 服装も実に動きやすそうな黒い軽装となっている。

 防具なしのデフォルト衣装は、外見のイメージに合わせて色とかがアレンジされるらしいが、それ故か赤い髪と妙にマッチしている感がある。


 そして胸は現実と同じく小さい。

 まぁ、大きくなってもそれはそれで困るのでありがたい。

 

 総じて、男性っぽい服装をした女性冒険者といったところか。

 全く誰だよこのカッコつけは……って私だったな。いや本当にカッコつけだよこりゃ。


「でもまぁ、思ってたより悪くない。うん、気に入った」


 肝心のキャラメイクでモザイクが掛かったので不安だったが、何だ変なところはなかったな。

 とりあえずアバター姿はクリアという事で、早速ベースキャンプの中を探索だ。


・《ベッド》

『体力の全回復が出来る。現実と同じ感覚で眠る事も可能』


 まずはベッドだ。

 近付くとこうしてウインドウが出るので助かる。

 

 次に宝箱のような大きなアイテムボックスがあり、どうも武器や防具をしまう事が出来るらしい。


 しかも既に《ハンターソード》と《ハンターメイル》という装備が用意されている。

 すぐに使えという事か。

 

 設定のやり方が脳内にインプットされているらしいので、その方法通りウインドウをいじりハンターメイルを装備させる。

 こういうゲームでは防御力は結構大事だし、着ないに越した事はない。

 


 カラン……。



 ……が、何故かハンターメイルが身体に装着せず、床に転がっていった。


「……はっ?」


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――


 お読みいただき、ありがとうございます!


 今作は短編を除けば久々の女主人公作品(カクヨム登録当初はしばらく女主人公作品を描いていました)であり、コメディに仕上げております!

「面白い」「続きが気になる」と思った方は、ぜひとも☆や応援コメやレビューよろしくお願いします!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る