闇ノ夜 ~短編集~

森川依無

輝き

 灯もなく真っ暗な道だった。どこに向かっているのか、自分が誰なのかさえわからなくなりそうだった。ただ彷徨い歩き、景色が変わるのを夢見ていた。時に懐かしい顔が浮かんだ。しかしその顔は酷く歪んでこちらを見ていた。僕は苦しかった。少し前までは仲良くしていた。今となってはもう人とも思われていないのだろう。ふと僕は歩くのをやめてみた。もう歩くことに嫌気がさした。こんな暗闇の中、何もなしに歩かなければいけなくなったのなら、もういっそここに居続ければいいのではないか。僕はもう疲れたんだ。今や僕が進むことを待ち望む人も、僕が挫けそうになったときに手を差し伸べる人もいやしない。「僕は悪役なのかもしれない。」何も成長していないのは僕なんだ。1年も5年も、変わったのなんて背格好だけなんだ。人に呆れられ、失望され、嫌われるのは僕が変わらなかったからだ。もう僕は変わろうとする気力もなかった。そして変わらなければ誰からも愛されないこともわかっていた。僕は崩れ落ちた。すると足元に輝くものを見つけた。それはガラス片だった。僕はガラス片を手に取ると首に押し当て掻き切った。飛び散った鮮血が辺りを紅く染め上げた。朝は近い。

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