あるじのごはんはブラッドパック(ボイスドラマシナリオ)

碧渡戊武

あるじのごはんはブラッドパック

001 範太  「はぁーなんか楽しい所、無いもんかねぇ」

002 範太  「……ん? なんだここ?」

003 範太  「コンセプト……献血ルーム……カフェ?」

004 スタッフ「あらっ? お兄さーん! いかがですかぁ?」

005 範太  「えーでもお高いんでしょー?」

006 スタッフ「ウチ、献血にご協力いただけたら、無料なんですよぉ!」

007 範太  「行きます!」

008 スタッフ「ありがとうございまぁーす! 一名様ご案なぁーい!」


009 スタッフ「それでは、いってらっしゃーい!」

010 範太  「ここが……コンセプト献血ルームカフェ……」

011 あるじ 「コンセプト献血ルームカフェ・ラブラッドにようこそなのだ! 本日、兄さんの担当になりましたあるじなのだ」

012 範太  「よろしくお願いします……なのだ?」

013 あるじ 「へへっ。お兄さんの見込み早いのだ。お兄さんは献血にご協力できるのでお間違いないか?」

014 範太  「はい!」

015 あるじ 「兄さんは献血ルーム自体初めてなのか?」

016 範太  「初めてです!」

017 あるじ 「そしたら、献血カードから作るぞ、この問診票を書いてほしいのだ!」

018 範太  「はーい!」


019 範太  「できました!」

020 あるじ 「お預かりするぞ。名護範太さんだな……こっちで入力するから、呼ぶまで血圧と肩の運動をして、飲み物いっぱい飲んでほしいのだ!」

021 範太  「いっぱい飲んでいい……!?」

022 あるじ 「いっぱい飲んでほしいのだ。なにを飲むのだ?」

023 範太  「じゃあ、温かいコーヒー牛乳を!」


024 あるじ 「範太、いっぱい飲めるのだな!」

025 範太  「もうタプタプだぁ」

026 あるじ 「えらいのだ! じゃあ、献血カードもできたし次は、お医者さん     の診察になるぞ」

027 あるじ 「ちょっと準備するから待っててほしいのだ」


028 あるじ 「お待たせなのだ! こっちの部屋で診察していくのだ」

029 範太  「えっ? あるじちゃん、その姿は……?」

030 あるじ 「ん? この姿か? かわいいだろっ! ここのスタッフはなー、受付から献血まで一通りできるのだ! ふふん」

031 範太  「す、すげぇ!」

032 あるじ 「へへっ。はい、ココに座ってほしいのだ!」

034 範太  「よろしくお願いします!」

035 あるじ 「はーい、じゃあざっと確認していくぞ。海外渡航歴とか無かったか?」

036 範太  「はい!」

037 あるじ 「今日はご飯しっかり食べてて、水分も十分。睡眠時間も大丈夫っと。指先などの怪我も……無し。っよし! 問題無いのだ! じゃあ今日は400ミリ献血でお願いするのだ!」

038 範太  「400ミリ!?」

039 あるじ 「400ミリなんて一瞬だぞ。じゃあ次は血液検査なのだ、ちょっと移動するぞっ」


040 あるじ 「血液検査を始めていくぞ。両腕をこの台に乗せて、親指を中に入れて握るのだのだ!」

041 範太  「ちょっと怖くなってきた……」

042 あるじ 「大丈夫だぞ、ちょっとチクっとするだけなのだ。うーん、この感じだと、左で本番かなー。よしっ、左降ろしていいのだ。右で検査するぞ」

043 あるじ 「じゃあ、刺すのだ。目を背けてても大丈夫だぞっ」

044 範太  「うっ……うう……」


045 あるじ 「はいっ、終わったのだ、テープ貼るからぎゅーっと抑えててほしいのだ」

046 範太  「……えっ? もう終わったの……?」

047 あるじ 「もう終わったのだ! どした? 痛くなかっただろ?」

048 範太  「うん……ぜんぜん痛くなかった!」

049 あるじ 「ふふんっ! そうだろっ! ここで一番上手いって言われるからなっ!」

050 あるじ 「ん、検査結果も問題ないからこのまま400ミリでお願いするのだ」

051 範太  「安心して受けられる!」

052 あるじ 「準備するから、また飲み物飲んでちょっと待ってほしいのだ。今度は何にするのだ?」

053 範太  「じゃあ、じっくり煮込んだオニオンスープをお願いするのだ!」


054 あるじ 「準備できたから、本番始めていくのだっ!」

055 範太  「いよいよだ……!」

056 あるじ 「はーい、じゃあ早速、針を刺すのだ」

057 あるじ 「針が通ったから、始めるのだっ。まぁそうだなぁ、30分くらいで終わるのだっ! その間足の運動をしていてほしいぞっ」

058 範太  「はーい!」


059 あるじ 「はーい。終わったのだ。針抜いていくのだ」

060 範太  「もう終わったの!?」

061 あるじ 「もう終わったぞー! ここちょっと抑えててほしいのだ。……これでよしっ!」

062 あるじ 「3分間、この砂時計が落ちるまで安静にしていてほしいのだ」

063 範太  「わかった!」


064 あるじ 「体調変わりないのだ?」

065 範太  「大丈夫!」

067 あるじ 「よかったのだ! じゃあ立って足踏みするのだ」

068 範太  「よいっしょっと!」

069 あるじ 「立ち眩みとかしないのだ?」

070 範太  「うん、問題な……あ……れ……?」


071 あるじ 「じゃあこっちの部屋にご案内するのだ」

072 範太  「う、うーん……ここは……?」

073 あるじ 「ちょっとかぷっとしますのだ」

074 範太  「……へ? ちょっ……!あっあああ!」

075 あるじ 「へへっこれで範太はもう……」


076 範太  「……う……うう……うん……?」

077 あるじ 「あっ、範太! 目、覚ましたのだ!?」

078 範太  「ここは……?」

079 あるじ 「ベッドの上だぞ。立ち眩み起こして倒れたのだ」

080 あるじ 「多分初めてだったから、体が慣れなかったんだな。もう少しゆっくりしていくのだ、何か飲むのだ?」

081 範太  「じゃあ、じっくり煮込んだコーンスープを!」

082 あるじ 「わかったのだ!」


083 範太  「もう、動けそう!」

084 あるじ 「もう大丈夫なのだ?」

085 範太  「大丈夫!」

086 あるじ 「また辛くなったらすぐにしゃがむんだぞっ」


087 あるじ 「はい、こちら本日の献血にご協力いただいた特典なのだ。本日はありがとうございましたなのだ!」

088 範太  「こちらこそありがとうございました!」


次の日

089 範太  「あるじ様! 今日も来ちゃいました!」

090 あるじ 「範太!? 今日も来たくれたのだ!? ありがとうなー!」

091 あるじ 「あっ、でも今日は献血できないから、通常料金発生しちゃうのだ……」

092 範太  「それでもいい!」

093 あるじ 「ほんとにありがとうなのだ! じゃあご案内するのだ!」


094 範太  「ふぅー、今日も楽しかったー! そろそろ行くよ」

095 あるじ 「はーいっ! じゃあ、今日のお代となりますのだ」

096 範太  「えええええ!? こんな金額なの……!?」

097 あるじ 「そう……なのだ……やっぱり高いよな……?」

098 範太  「全然安いっ! 毎日通うぞ!」

099 あるじ 「……え? えええええ!? 範太、それはまずいのだ! やめるのだ!」

おわり

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あるじのごはんはブラッドパック(ボイスドラマシナリオ) 碧渡戊武 @Midorito_bob

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