童話 ただ一つの箱
仲仁へび(旧:離久)
第1話
何もない部屋に箱があった。
とても白い箱だ。
模様とかはない。
誰かの名前が書いてあるわけでもない。
ただの、箱。
そんな箱は、一つきり。
その部屋に二つはない。
だから箱は寂しくなった。
とても寂しくて。
ずっと寂しくて。
いつまでたっても、一人ぼっち。
だから箱は幻影を見るようになった。
箱は、箱の見る世界では、一つではない。
二つになった。
箱は寂しくなくなった。
箱は苦しまなくて済むようになった。
箱は悲しまなくて済むようになった。
たまに一つになってしまうけれど。
はっと我に返ってしまうけれど。
基本的には二つだから、箱はずっと幸せだった。
童話 ただ一つの箱 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます