第3話 地獄

昨日と同じ様に一階の相手を蹴散らしていると、この先へ絶対進むなという張り紙を発見、警告を無視して俺たちはその先へいった。これがそもそもの間違いだった。


 シュートと呼ばれる落とし穴にはまり3層までぶち込まれた、その直後エンカウントしたのはブレスという特殊能力をもつ小型竜【ガスドラゴン】


 魔術でも物理攻撃でもないこの特殊攻撃は今までの前衛が生きていれば後衛は安全という常識を打ち壊した、後衛含めたパーティ全員を焼き払う範囲攻撃であった。


 一斉掃射されたブレスによって俺と司祭と魔術士は消し炭になった。全身の血液が一瞬で沸騰して蒸発する痛みはただただ痛かった。孤独が一番苦しいとか目的を持てないのが一番つらいとか言うボケがいるが人間の最大の苦痛は痛みだ。


一番つらいことに痛み以外の事挙げるボケは一度でいいから全身の血液が沸く体験をしろ。もう二度とそんな舐めたことは言えなくなる。


そして俺は死んだ。


 死に戻り後別のルートを進むも次にエンカウントしたのは【ゾンビ】。


 こいつの基本的な戦い方は一層の敵に毛が生えただけだがこいつの攻撃を喰らうと麻痺するのが脅威だ。


 麻痺というとこいつの脅威を正確に表せてないか。

 一度食らったら治療するまでそのまま、なお俺たちにダンジョン内で治療する手立ては無い。


 実質的な即死攻撃だ。


 こいつに麻痺させられ黄色い吐瀉物を吐き出そうにも体が動かず吐き出せず窒息死したのは最悪の経験だ。


 早速2回死んだ俺の前に現れたのは【クリーピングコイン】


 単体ではブレスを吐くこと以外大した脅威ではないが、30体を超す大群で徒党を組んで飛び出して来やがる。


 開幕30連続ブレスでじっくりじっくりレアステーキの様に焼き上げられたことはなかなか経験できない思い出だ。

 二度としたくないが。


 その上俺の死に戻りは死ぬ直前に戻る能力のためシュートされる前に戻ろうと自殺を何度もしても痛いだけだ。


 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も焼かれ切られ焼かれ焼かれ殴られ焼かれ窒息し焼かれ焼かれ焼かれ焼かれ焼かれ突かれ焼かれ切られ焼かれ焼かれ焼かれ焼かれたことを俺は一生忘れることはないだろう。


俺様のきらきらおめめを熱した鉄の棒の様な爪でぐりぐりと掘られ痛みで気を失っては痛みで覚醒するのを繰り返したり、衝撃でドロドロになった体のモツをずるずると魔物に吸われたり死ねないギリギリの外傷を負うのが本当に本当に辛かった


 逃げ出そうと自殺をしても死に戻りで戻される、仲間をほっておいて逃げ出そうとしても扉近くの魔物の群れに殺される。


 本当に生まれてきたことを後悔した。


 反則級の能力を得て喜んでいた自分を脳内でボコボコに殴りつけた。


 それでも地獄は終わらない。


 その上対人戦まで何度もやらされる羽目になった。


 その中で経験したのは俺のチンカスほどの良心ですらそれなりにキツイ出来事ひとごろしだった。


 その内に心が折れた。

もうダメだイカれちまう。

 俺という人間が溶けて消える






 ふざけるなよ。なんでこの俺様が迷宮とかいうゲロカスファッキン無機物如きに屈さなければなんねえんだ。

 恩はどんなに大きくても三秒で忘れるが仇はどんなに小さくても絶対に忘れないクズとまで言われた俺の本気悪意を見せてやろう

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