第90話 課題のお手伝い side晴翔
「あぁ……もう手痛い……超怠い……」
「溜めに溜め込んでたからな……ほら、手動かさないと終わらないぞ」
「へーい」
ペンを放り投げ、ばたりとテーブルに倒れる颯太に俺は手を動かすようけつを叩く。後ここ一応お店だからそういう事しないで欲しい、変な目で見られるから。
颯太のSOSを受け取った俺は見張りとして颯太の作業の手伝いをするためファミレスへと足を運んでいる。半分くらいは終わってるのかなという希望的観測をしていたのが、丸付け込みで終わっている課題は3割ほどらしい。そりゃ俺に支援要請をするわ。
俺は宿題を写させることに抵抗はないため、こうして自分の解いたワークなどを見せているのだが、ただ写すだけでもかなり大変そうである。
「あ、そうだ。写すのは全然良いんだけど、所々は──────」
「別の答え書くから安心してくれ晴翔、俺が何年人の答えを写してきたと思ってるんだよ」
「そこ全然誇るとこじゃないけどな」
それから颯太は俺のワークを見ながらペンを動かし、俺はそんな颯太を眺めながら適当に頼んだスイーツを口に頬張る。手伝ってくれるお礼としてこうしてスイーツを奢ってもらっている。やはり甘いものは美味しい、五味の中で一番好き。
「あ、晴翔。文化祭の出し物についてなんだけどさ、うちのクラス飲食やる可能性が高いぞ」
「え、決めるの早くない?というかそれクラスで話し合って決めるものじゃない?」
初耳すぎる情報に俺は瞬きの回数が増えてしまう。いや確かに生徒会とか実行委員会とかはもう準備とかし始めててもおかしくはないけどさ。クラスの出し物決めるにはまだ早すぎると思うんですよ。だってまだクラスで話し合いすらしてないですよね?
「晴翔クラスのグルチャ見てないのか……。一応厳正な投票の結果飲食をやる方針になったんだが……まぁ他のクラスと話し合い次第で変わるかもしれないけどさ」
「クラスの……あ、俺通知切ってたわ」
スマホを開き、トーク画面を見てみるとしっかりと投票が行われているのが確認できる。それどころか何系の食べ物を提供するかや、どういうコンセプトにするかなどかなり活発に議論が行われている。文明の利器を持っていても有効活用しないと意味がない、これが宝の持ち腐れってやつですか……。
「一応見といた方が良いぜ?まぁ最終決定は夏休み明けにやるだろうけどさ」
「ふーん……まぁ気が向いたら見るわ」
「それ絶対見ない奴だろ」
「ばれたか。というかまず颯太は手を動かせ―?」
「……はぁ……もう疲れたよハルトラッシュ」
「語呂微妙だな」
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