私たちの天使
大岫千河貢
第1話-① 天使
そう呼ばれる少女のことを、この
その少女の存在は噂として他校へと広まり、校門の前では天使を一目見ようと集まった人々で賑わいを見せるほど、学内だけでは留まらない有名な存在となっている。
そんな少女の名前は、
名は体を表すとは言うが、これほどまでに名を表している人を他に見たことがないと、皆は言う。
まるくて大きい、くりくりとした目には、長くカールしたまつ毛が存在感を放っている。
白く透き通った肌を彩る薄紅色の頬と唇は、花弁と見紛うほど可愛らしい色だ。
そんな唇は、忘れ鼻の下に小さく咲いていながらも、ぽってりとした下唇が印象的で、そこから放たれる声は人々の心身を癒している。
色素の薄い、柔らかそうなセミロングの髪には天使の輪が見えており、前髪から時折り見える額は、キレイな丸みを帯びている。
緊張しいで人見知りなため、初対面の人を相手にすると口数は少ないが、いつも微笑みを絶やさないその表情は、見た者を自然と笑顔にさせており、彼女が入学してから校内の治安が改善されたと言われている。
困っている人を見かけたら放ってはおけず、すぐに手を差し伸べる彼女の優しさを動物も感じ取るのか、野良猫は、彼女の横を通り過ぎず、自ら近づいてくるほど優しいオーラを漂わせており、時々彼女が動物に囲まれている姿が見受けられる。
運動は少し苦手だが成績が非常によく、「才色兼備と言っても過言ではない存在どころか、彼女を表すために生まれておいた言葉なのかもしれない」と、遠目に見ている人たちの中の一人が、口早に話していた。
そんな彼女は今日も、舟川高校の生徒たちに見守られながら、廊下を歩いている。
ここの生徒たちは、無理に彼女に話しかけることはしない。
用事があるときには話しかけるが、天使様に迷惑はかけまいと、暗黙のルールがいくつか存在しており、“無理に話しかけない”は、そのルールの中の一つとなっている。
だが、そのルールが適応されない人物がいる。その人物は、
私たちの天使 大岫千河貢 @komato5manoma5
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私たちの天使の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます