世にも奇妙な超短編

@fastnovel

第1話浮気する女

「じゃあまたね」


アパートの前で女性が手を振り男性を見送っている。


その姿を見て、いらだちながら貧乏ゆすりをしている男がいた。


「あいつめ、、浮気するなんて」


彼の名前はケンジ。


ケンジは愛するキョウコが他の男を部屋に招いていたことに動転しつつも、

後をつけて、ゆっくりとアパートの階段を上っていった。


彼女の部屋の前にたどり着きドアノブをひねってみる。


どうやらカギはかかっていないようだ。


ドアをそっと開け、ゆっくりと足を踏み入れていった。


室内を見渡すがキョウコの姿はない。


浴室から聴こえる音から察するにシャワーを浴びているようだ。


つけっぱなしのテレビからは、流行りのアイドルグループが歌う失恋ソングが流れている。


『どうして私を選んでくれないの~』


普段なら下手だなと笑うところだが、今日ばかりは涙があふれ出そうになる。


泣くのをこらえ、ケンジは浴室へ向かった。


ふと目をやると脱衣所のとなりにある洗面台に2本の歯ブラシが。


自分のものではない。


浮気相手はひんぱんに、この部屋に出入りしていたんだろうか。


ケンジはいよいよ怒りをおさえきれず、浴室のドアを乱暴に開けた。


「キヤーッ、なんなのよ!」


キョウコがおどろきのあまり悲鳴を上げるが、そんなことはどうでもいい。


靴下が濡れるのにも構わず浴室の中に踏み込み、キョウコを壁に押し付けた。


「なんで俺を裏切ったんだよ!さっきの男誰なんだよ」


ケンジは胸の底からあふれ出る言葉をそのまま吐き出す。


だが、、


「なにいってんのよ!出ていって!」


キョウコは白を切り続ける。



ケンジはキョウコの髪をつかみ、リビングへと引きずっていく。


そしてビンタすると、台所にあった包丁を掴んだ。


ケンジは顔をゆがませて、こう問いかける。


「どうして浮気したんだよおお!」


「やめて!あなた誰なのよ!」


それから数時間後、部屋のテレビは音楽番組ではなくニュース番組を映していた。


「中央通りで通行人が腹部から血を流し倒れている女性を発見し、警察に通報しました。

女性は部屋に侵入した見知らぬ男性に刺された後、ベランダから逃げ出したと話しているとのことです。

彼女は以前にもストーカー被害を相談しており、警察は関連の有無を調べています。」

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