第33話 レベルダウン ウィズ マップタスク
まあ、そつなくつつがなく俺は順調に
といっても今回のアップデートの目的はそれだけではない
・・・異世界ではレベルダウン現象が起こるとアリアから聞いた
つまり今レベル40代の俺はレベル20に引き下げられているのだ
そのギャップを確かめるために今回MMOを再起動したというわけだ
とはいってもレベル40から20とレベル50からレベル1はかなりの格差があるが
レベル変動の差のシュミレーションとしてはもってこいの状況だ。
試しとして大剣の一通りの動作を行う
唐竹割 一文字斬り 躰を錐もむ回転斬りを連続で行う
動きに思ったほどのラグはない。体が少しいう事を聞かないくらい程度
そしてステータス表記にも変化があった
「…
これはスキルではなく技のはずだが使用がなくなっていた
なので試しに振るってみると
「うおっ!!」
まるで長らく動かしてなかったために衰えたような
前は出来ていたのに今は老朽化して動かせなくなったような感覚で
レベル40と20との乖離はすさまじく体が技に追い付いていない
前の感覚でやっていたら体とすり合っていないような感じ
改めてステータス表記のありがたさがわかる。これなら使えるか使えないかが判断できる。だが問題として
「キャシー。異世界でもコレ出せるの?」
そう、MMOやダンジョンでは当たり前のように出していたが異世界にこの法則は通用するのか、あるいはその概念が存在するのか疑わしい。
ステータス表記システム自体現代社会に則った人間にもわかりやすい仕様だとしたらかなり厄介になる。それに対しキャシーは応える
≪安心しなさい、使えるわよ。基本的に異世界とダンジョンは同じ形式なの
むしろ異世界の使用をこの世界に合わせているの≫
「なるほど、つまり異世界もこんな感じ…ってキャシー!異世界に人いるの!??前いないって言ってたじゃん!!」
≪そりゃいるに決まってるじゃない。だからその人たちを救うためにここの世界の人の力を借りたかったのよ。まあ、無理だったけど≫
当たり前だけどねみたいな風にキャシーは語る。
まあそうだろう。救う対象がいなければ救う意味はない。
そして他所の世界の事をよそ者が解決するというのもあり得ない展望だろうとキャシーはほのめかしている。
つまり最初から期待はしていなかったようだ。まあそりゃそうだろうけど…。
何かそれはそれでムカつく
「おいおい、こっちにはトップランカーや強豪ぞろいなんだぜ?ちょっとは期待してもいいんじゃね?」
≪でも向かおうとしてないじゃない。当たり前よ≫
「なら俺が行く。っていうか最初から俺が行って魔王倒すつもりだったし
なにより
そう、俺には特別な力がある。それさえあればレベル100だって夢じゃない
魔王だって倒せる…ハズ。自信は全くない。だって世界を覆いつくす魔王なんて言うもんだから畏縮はする。
まあその辺は追々と。俺は胸を張って自慢し頼っていいんだぜオーラを振りまく
どちらにせよ俺には倒す理由がある。決着つけなきゃな…
≪ねえ、
「・・・・・・・・・・・」
それは…わかっているが指摘されたくはなかった。現実を突きつけられたくなかった
魔人になること。それは人から外れる事。理外の存在にあるという事
人間じゃなくなるという代償は痛すぎる。しかも戻れる保証はまったくない
正直言えば魔人なんて力欲しいなんて思っていない。
化け物になる力なんて誰が欲しがるものか。でも俺にはそれしかないし人間の身で魔王を倒せるとも思っていない
≪ごめん。イジワルな質問だったわね。忘れて…なんて都合のいい事言えないわね≫
「いや、その辺の折り合いはちゃんとつけるよ。ただもうちょっと先延ばしにしたいなーなんて思ってるけどね」
それは暗に人間をやめるという選択肢があるという事。
候補としてはあるがなるべく切りたくないカードだ。
でも持ち札としてあるならば選択肢として度外視は出来ない
―ハンターをやめれば、絶対に魔人にはならない。
それがわかっていてもやはり俺はハンターを続けたいらしい。
続ける理由は定かではない。楽しいから、生きがいを感じるからというもので
出発点は両親の魔蝕病を根治させる為ではあったが
今では動機として薄く楽しいからというのもかなり理由として不明瞭だ。
人を辞めてまでハンターを続けたいか?まだその段階には至らない
もしかしたら魔人にならず魔王倒せちゃったり—とか
考えている希望的観測と楽天は確かにある
その辺あいまいなのだ。確固たる覚悟がないというか。
行き当たりばったりというかどっちつかずというか。
一介の人間がそんな覚悟を決められるはずがないと思う。
今は漠然としたまま楽しんでいたい。
問題はその後でいいと思っているのが正直な答えだ。
でもまあ、それでいいんじゃないかな。俺は世界を救うヒーローとかではない
大義の為に戦うとかガラじゃないし。
高校卒業して就職代わりにハンターしてる身分だ。
俗に言うフリーランスに近いと思う。そんな人間が大役を担えるはずがない
だがいつか覚悟する日は必ず来る。それまで強くならなければ
その心構えだけは忘れずに念頭に置く
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レベルダウンの差の感覚はある程度つかめた
マップ埋めも終わりそうで今回特にやることはない…。訳がない
新ダンジョンになってから難敵はいないと思っていたが流石ゲームだ
しっかり強豪モンスターを鎮座ましましている。最後のマップを埋める場所に番人のように立ちふさがるそれは見ればわかる有名な蛇のモンスター
『ヒュドラ』 レベル60。とぐろを巻いた蛇の怪物はダンジョンを俯瞰し睨みつけている。それはこれから来るハンターを待ち構えているだけではない
その瞳は石化能力を持ち目を合わせた相手を問答無用で石にするスキルを持っている
つまり奴の視界に入った瞬間餌食になる構図。
なんでメデューサみてーな能力持ってんだよと心の中でぼやく。
そして更にフィジカル面でも強力で視界を奪われた状態で戦える相手ではない。
しかも9つの首の弱点である首を切らなければ無限に再生する能力も付いている
専用のゴーグルなどで対策は出来るらしいが生憎俺は持っていないし運営も用意していない。
これがアップデートの内容。つまり無理ゲーである。しかもゲームだからドロップアイテムもないしレベルも上がらないのでうまみもない。
あくまで玄人が楽しむためだと予測するが流石にランキング載ってるハンターでも無理ゲーだぞコレ。しかもレベル20縛りと不可能である。流石の運営もやりすぎたと反省し謝罪表明を出すだろう。
それを肴に今回のクソゲーっぷりにSNSでにぎわうだろうし
クリアできるため今後改善をしもっと易しい内容にするだろうが
そう、その程度の内容でどうってことのないとりとめのない話ではあるが
俺は今マップを埋めたいんだァっっ!!!
そう、今あるマップは今しかない。
今後更新されるたびに無くなっていく儚い命なのだ。
だから俺の
その
明日はいつでも来るがその明日が同じ明日とは限らない。
だから人は振り返り思い出にふけるのだろう。
人々はその一瞬一瞬を心に刻み付けておく、唯一無二の日々だから
故に俺もここにあるマップを埋める使命がある!!!!!!!!!!!!
魔人やらの話よりもまずはこっちを優先しなければならないのは自明の理だろう
そう、くよくよ悩むのは性に合わねー!!それよりマップだマップ!!!!
俺は今を楽しみたいんだ!明日来る不安やらは明日の俺に任せておけばいい
いつか来る不幸もその時の俺に任せればいい
だから、だから…!
「俺はお前をここで倒す…!」
まずは今日の俺の為に死んでくれ。ヒュドラ。
石化予測で目をつむり吶喊。弱点である首は把握済み。一撃必殺にて瞬殺する…!
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「う…うう…ううううううっっっ!!!!!!!!!!」
≪そんなことで泣かないでよ…はぁ…≫
「男だって泣きたいときくらいあるんだよッッ!!」
結果。起死退転で一撃必殺を狙ったところレベル20の時にそのスキルが覚えていないという事を失念し無事石化して死にました。
何度もリベンジしたけど流石に無理だと悟り諦めて泣く泣くゲームを切って布団の中で突っ伏していた。
くそ…起死退転があれば勝てたのにッッ!!傲りと慢心が生んだ結果だ。
つまりやはり今回のダウンロードはクソだったというのが事実で
もうぶっちゃけ魔人とかどうでもよくなるほど悔しかったです。 まる
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