第11話 プラバンって何?

「喜んでくれる人を……想像することか」


 何だかそれも難しそうだけど、「失敗しないで完璧なものを作る」よりはできそうな気がした。


「ジュース持って来るから作業台に座ってて」

「お!ジュース!」


 巧が目を輝かせた。全く……巧は遠慮ってものを知らないのか?




「それで?俺達は何を作ればいいんだ?」


 オレンジジュースを誰よりも早く飲み干しながら巧が言う。


「プラバンアクセサリーを作ろうと思うの」


 また聞きなれない単語に僕は首を傾げる。木村さんも困った顔をしていた。


「プラ……バン?」

「プラスチックのいたのことだよ。まあ、私のところのは普通のプラスチックじゃないんだけどね……」


 藤咲さんがさらっと気になることを小声で言う。ということは……今回の作品もまた何かしら魔法がかかっているんだろうか。

 藤咲さんはプラバンのイメージが湧かない僕らの前に作品を持ってきてくれた。


「こんな風に、パーツを作ってアクセサリーにするの」


 そう言って藤咲さんの手の中にあったのは星のモチーフがかわいらしいヘアゴムだった。確かに星のパーツはプラスチックみたいだけど……どうやって作ってるんだろう。プラスチックの板をこんなに綺麗に加工できるもんなの?


「あの……かわいいけど、私こんなすごいの作ったことないよ……」


 木村さんが自信なさそうに、小さな声で言う。


「大丈夫!誰でも簡単に作れるから!皆でやってみよう。楽しいよ!」

「プラバンか……。面白そう!」


 僕は腕まくりをして、作業台に座り直した。

 よーし。今日も作るぞ!

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