にしやまのRim生活記

にしやま

1年目 上半期 惑星Rimに飛ばされる。

僕の名はにしやま。

田舎町の小さな工場のライン工だ。

最近は残業やら仕事量が多くうんざりしていた。

何か刺激的な出来事はないかな...と日々思っていた。

とある休みの休日。

自宅アパートのポストに”魅惑の異種族とイク!星間旅行!”に当選との趣旨の手紙。

こんなものに公募した覚えはないが半信半疑で指定された場所に行った。

”お待ちしていました。どうぞこちらへ”

天使の格好をした男性に連れられ誰も乗っていないマイクロバスに乗り込んだ。

そして太腿にチクりと何かを感じたあと意識が遠のいた。


目が覚めた。ジャングルの中。

周りに食品パウチや金属片が散乱している。

服装は普段着のままだがひどく寒気がしてひどい吐き気がした。

どうやら冷凍保存されたような感覚であった。

自分の持ち物ではないが端末にナビゲーションが表示されている。

何が起きているのか理解できないままナビに従いひたすら歩いた。


自分はとあるニュースを思い出した。

流行する宇宙旅行!異星に飛ばされる詐欺被害が急増中。

奇跡的に送還したうすらハゲの褐色肌の男の映像が頭の中に横切る。


”ぬわぁぁん疲れたもぉぉん...あんな惑星旅行は二度と行きたくないですね。”


自分は思いっきりと引っかかったと思った。


その瞬間自分の人生はオワタと思った。


翌日。

僕はナビゲーションに従うままに歩いた。

パウチ食品はあまりおいしくないが道端に生えている草を食べるよりはましだ。

そろそろ風呂に入りたい。体が匂う。

午後になると足が痛くなってきた。筋肉痛なのか足に血豆ができたのかわからないが痛い。


真夜中だ。そろそろ眠い...眠りたい

うっすらと光と物音が聞こえる。

何かいいにおいがする。

ナビゲーションは物音の方向を指している。


集落らしきものがあった。

建物の数は3つ、そのうち2つはまだ出来上がっていない。

建物もブロックを積んだだけの簡素なものであった。


集落には地球人の課長、島田、現場監督と地球から来たと言い張っている異種族のZoe。

Zoeちゃんが作るものは酷くひどかった。まずいの一言。

おまけに当たったらしく夜は腹痛で眠れなかった。


記:5500年第一節12日 3:00


地獄のような朝だ。

井戸水で体や衣服を洗い。

屋外のみられていないところで排泄を行い、Zoeちゃんが作るマズ飯を渋々食べる生活だ。

毎日が地獄のような日々だ。


2日で堪忍袋の緒が切れた。


何か殴りたい。思いっきり殴った。

こぶしに医薬品ケースがめり込む。

医薬品ケースは壊れ消毒液が飛び散り医療セットは使えなくなった。

Zoeちゃんに医療セットを壊した事を滅茶苦茶怒られた。


その日の午後、医療セットなどの買い出しに行くことになった。

Zoeちゃんと自分で近くの村に買い出しに行った。

もちろんデートとかでなく自分はタダの荷物持ち。


車もなければ何か積める台車もない。

あんなに長い距離を何かを持って歩いたのは初めてだ。


おまけに異種族なだけあってZoeちゃんは滅茶苦茶歩くペースが速くすぐ置き去りにされる。

散々な目に遭った。


記:5500年第一節13日


2日の長い旅路だ。


14日の夜に到着したが深夜に動くには危険とZoeちゃんが判断したので出先の村に宿泊した。


当然村人は人間も混ざっているが異種族である。

モヨ族という種族でウミウシが進化した何かである。

肌が青色でちょっと不気味である。


村の設備は快適ではないが現状の生活よりは程充実した生活を送れた気がする。


しかし村には地球では考えられない施設があった。

”奴隷売買所”

興味本位で入った。中には美しい白髪のかわいらしい少女がいた。

奴隷商から説明を受けた。

彼女は異種族の中でも人工的に作られた人工種族でサクリーンという種族らしい。

足が遅く暴力行為もできないが反逆してくることもなく

むしろ手助けしてあげたりする”共存する環境”を作らないと不安を感じストレスになるという。

目の死んでる人間も奴隷として発売されていたが人の半額以下と驚異的な安さで売られている。

なぜ驚異的な安さで売られているのか奴隷商に聞く。

奴隷商は武器も持てないしすぐ死んじゃうからこの価格だよとあっさり答える。

人が足りない現状彼女を仲間に入れないかとZoeちゃんに頼みこむ。

ZoeちゃんはあっさりとOKを出した。

奴隷のサクリーンは仲間になった。


サクリーンProseriaだ。

表情の起伏はあまりないが博識で知識をポンポンと真顔で言ってくる。


買い出しの帰り際に道草を刈るといって刈り取った草がある。

Zoeちゃん曰くこの草は薬草で消毒などの効果があるらしい。


薬草は普通に生えているものなのか...(困惑)


午後、集落に戻った。

集落には新たな入植者がいた。

Zoeちゃんと一緒におやじ3人の救出のために来た古代エルフのLeachさんだ。

年齢は触れちゃダメとZoeちゃんから言われたがこっそり教えてもらった。

40歳過ぎているみたいだがエルフなので400年かそれ以上生きるので高齢なのかは言及できない。

何よりも人間離れした美しい体格と顔立ちをしている。

鎧もエルフ専用のもの、ずっと愛用しているお気に入りらしい。

なによりも普段は優しい口調で話すイイ人らしいがブチギレるとヤバいらしく彼女や古代エルフを馬鹿にするような言動はしないほうが良いと言われた。


奴隷売買という地球ではありえない体験をした貴重な日であった。

記:5500年第一節15日


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