紗季  1

私はATMにキャッシュカードを入れ、暗証番号を入力した。


「番号が間違っています」


また、穂乃果ほのかの仕業か。


私がお金を下ろすことを極端に嫌がる。

あの部屋、誰の名義で借りているのか、穂乃果は分かっているのだろうか。

私が部屋を借りているからこそ、穂乃果はここに住めるのだ。

だから、このお金は私が使ってもいいはず。



まあいい。

暗証番号を変えても、穂乃果のことだ。

どこかにメモを残しているはず。


……


あった。

メモには『9861』と書かれていた。


私は入力してみた。


「番号が間違っています」


まずい。

2回連続で間違えてしまった。



この数字をじっと見ているうちに、あることに気がついた。

私はキャッシュカードを入れ、再度、暗証番号を入力する。


『1986』


合っていた。

のは穂乃果が考えそうなことだ。


私はお金を手に入れることに成功した。


さてと。

次は、穂乃果に邪魔されずに計画を実行できるかどうか。それが問題だ。


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