後輩と私
織
Xmas SS 特別な日
クリスマス。年に一度の特別な一日。ある人は恋人と、ある人は友達と、ある人は家族と、ある人は一人で、それぞれ過ごし方があるだろう。
そんな特別な日に私は、先輩と夜の街を歩いていた。
クリスマスの少し前から、イルミネーションのきれいな並木道があるところに行こうという話題が友達の間であがっていた。
だけど私は先輩とクリスマスを過ごすつもりだったから断ろうと思っていた。
帰宅中の道で先輩にこの並木道の話をされ、今に至る。
冷たい北風が少し吹いている。お互い防寒はしてきているが、それでも寒く感じる気温だ。
「イルミネーション……きれいですね。それと思っていたより人が少ないです」
そう、今日はクリスマスだが意外にも人通りは少なく静かだった。もっと多くの人で賑わっていると思っていたが、想像と違うとがっかりするような感じがする。
「そうだね、でも私はこれくらい静かなほうが好きだよ……」
白い息を吐きながら先輩が微笑む。その笑顔を見れるだけでここに来た甲斐があったと思えてしまうほど儚く綺麗な顔だった。
イルミネーションより先輩の顔に集中している私に違和感を感じたのか、先輩が顔を覗き込んでくる。
「後輩?私の顔何か付いてる?」
「いえ。そうだ先輩、もう少し歩いたらカフェがあるみたいなので、そこに入りませんか?」
「カフェか、いいね。暖かい飲み物が恋しくなってきたし」
後ろで手を組んで、先輩が歩き出す。その後に続くように私は付いて行く。先輩の長い黒髪と交差された手が揺れている。
ジッと見ているとクルッと先輩が振り返った。そして悪戯な笑みを浮かべている。
「渚~?見すぎ」
どうやらバレていたみたいだ。このままだと先輩のペースになってしまう。先輩に攻められるのもいいが、今日は私が攻めたい気分なのだ。
「はい、見てました。先輩と手を繋ぎたいです」
真面目な顔で、先輩の顔をまっすぐ見て言う。先輩は反撃に弱い、それはずっと変わらない。
予想通り先輩は顔を赤らめた、そしてマフラーで口元を隠しながらこちらに手を差し出した。
「寒いから……私も///」
ぐふっっ……先輩可愛すぎますよ、貴方。
差し出された先輩の手を取り、光輝く道を二人並んで歩く。
先ほどまで冷たく感じた北風が、今はなぜだか心地よかった。
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めりーくりすます
自分へのプレゼントとして書きました。
本当はもっと百合百合させたかった。(願望)
本編からだいぶ先の話になります。
どうしてもイベントに乗りたかったので投稿しました
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