婚約破棄されましたが身に覚えがありません

愛石 しずく

第1話

きらびやかな会場で綺麗に着飾った公子や公女が楽しそうに話していた。今日は学園の卒業パーティー。皆それぞれの会話に花を咲かせている。そんな中、突然大きな声が響いた。

「レティシア・スフォルツァ!お前の悪事を今ここで暴いてやる!」

声の主はこの国に第2王子のレイモンドだ。傍らには涙目の可愛らしい令嬢が立っている。名前を呼ばれたレティシアは一瞬ポカンとした表情になったが直ぐに元に戻し、レイモンドの言葉に答えた。

「私にはなんのことか分かりませんが、一体なんのことでしょうか?」

「知らっばくれるな!お前はここにいるモニカを虐めていたのだろう!?証拠は揃っているぞ!」

レティシアの言葉に少しかぶせるようにレイモンドがそう言った。その言葉に少し呆れたような表情をしたレティシアはそれでもしっかりと答えた。

「証拠があるとは言われてもそのようなことはしておりません。ましてやそんなことをする理由が私にはないと思うのですが?」

冷静に淡々と話終わるとレティシアは扇子で顔を隠し、疲れた顔をした。周りを見ても皆同じように意味がわからないというような表情でこちらを見ている。それでもレイモンドは話し続けた。

「理由だと!?そんなの俺とモニカの仲に嫉妬でもしたのだろう。モニカはお前より可愛いからな!」

そう言うとレイモンドは満足そうな顔をしてふんぞり返ったが、レティシアはますます意味がわからないという顔をした。

「なぜ私がお二人の仲に嫉妬もするのですか?そんな意味のわからない理由で責めるのはよしてください。」

「意味がわかないだと!?ならば教えてうやろう!お前が俺の婚約者だからだろう。だがその婚約も今夜破棄してやる!」

レティシアはそこでようやく納得した顔をした。それと同時に周りの人達はざわざわし始めてしまったがレイモンドはそんなことは気になっていない様子だった。そしてレティシアはにこにこしながら口を開いた。

「殿下は勘違いをしています。私は殿下の婚約者ではございません。」

そう言うとレティシアは満足そうな顔をしたがレイモンドは信じられないというような顔をして固まっていた。

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