第30話 明かされてゆく真実
「さて…教頭先生が再び職員室へ行ってしまったわけですけども。一度教頭先生のことは忘れたことにして話をさせて頂きますね?」
「分かった。それじゃあ話させよう。さぁ君。話し給え。君には事情を説明する義務があるだろう?クラス担任として、しっかりと説明責任を果たしたまえ。」
校長先生がそう言うと教員は大きく頷いた。今の状態であれば話を聞いてくれそうだ。
「えっと…では話を伺っていきますね?ではまず初めに、菊池翔太くんについて知っていることを全てお話ください。」
「えっとまず、菊池翔太くんは普段から成績優秀で基本的にあまり周囲と関わりを持とうとしていない子でした。クラスメイトの子達から勉強を教えてほしいと頼まれている光景も見たことがあります。」
「そうですか。他にはありますか?」
「まぁ…強いてあげるとすれば、彼がほとんどクラスメイトと関わろうとしないので、いつも基本的には1人で過ごしていたってところくらいでしょうか…」
「なるほど。では菊池翔太君の事を、退学させようとしたわけですが…彼の事についてどうお考えですか?」
「そうですね…正直に言って残念だとは思います。彼が勉学の面において優秀なのは知っていましたし、運動の面でも普通の人たちよりも優れているのは知っています。なので、そんな人材を失うのは少しばかり心が痛みました。」
「そうですか。ちなみにですが、彼が退学の経緯は知っていますか?」
「退学の経緯ですか?」
「えぇ。退学の経緯です。正確にはまだ手続きを踏んでいないので、在学という扱いになっていますが…」
「えっと…確かあれですよね?」
眼の前の教員は、周囲を見渡した後校長先生の方を見てそう尋ねた。校長先生は大きく頷いて俺に話しかけてきた。
「彼は痴漢という卑劣極まりない行為をしました。退学処分を下されて当然とも言えるだろう。むしろ、退学処分を下されて当然と言えるでしょう‼」
「そうですか。本当に痴漢行為をしていたのであれば、そのような判断に至ってもしょうがないと思います。」
「そうでしょう?むしろ、痴漢行為をした人間に退学処分以外はありえません‼」
「ですが、必ずしもそうとは言えません。例えばその痴漢が冤罪だとしたら?そういったことは考えつかなかったのですか?」
「冤罪?笑わせないでくれ‼痴漢にも冤罪というのがあるのはもちろん知っている。だがな、その件数はどうだ?冤罪であるのはたったの数十件だけであり、全体から見れば1%以下になるだろう‼そう考えれば、この判断を下しても問題はない。」
「はぁ…あのですね。たしかに痴漢の冤罪件数は少ないです。しかし、数十件どころか数百件。数千件と発生しています。この瞬間にも、冤罪をかけられている人はいるかもしれません。そんな人に貴方は先程のような言葉をかけるのですか?」
「そういうわけではないが…」
「先ほどの話に加えて、もう1つ言わせてもらいます。確かに痴漢というのは卑劣な行為です。ですが、冤罪という可能性を頭の片隅にでも置いておいてください。取り敢えずそれで今は良いです。」
「…はい。」
「それでは次にいきましょう。そうですね…彼に対して退学届を渡した経緯はある程度把握することが出来ました。貴方達はこの件についてあまり内容を知らないようですので、補足の話をさせていただきます。」
「補足ですか?」
「補足です。事件の本質についてあまり理解をしていらっしゃらないようですので、お話させていただきます。時間はそんなに取らせないので安心してください。」
俺は校長先生を含め、他の人が口を挟んでくる前に話し始めた。
「良いですか?今回の件は冤罪です。もちろん確たる証拠をつかんでいる最中です。もし、この件が報道され学校側の対応が間違っているとなれば、大変なことになるでしょうね。もちろんこれは脅しではないです。どう受け取るかはあなた達次第です。」
「…間接的に脅しているようなものじゃないか。」
「そんなことはないですよ。それよりも…あなた達は今後の対応を考えておくべきだ。」
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