第26話 話し合い

「さぁ校長先生。そして学年主任のそちらの先生も、私と一緒に話をしましょう。今教頭先生を呼びに行ったあの方も、この後話をすることになりますが。」



「ふむ…確かに話をするのは悪くないな。私としても話をしたかったところだ。君も構わないだろう冨士山先生。」



「校長先生がそういうのであれば別に構いませんが…ですがそこにいるのは弁護士でしょう?」



「あぁそうだ。だから何だ?我々が何か駄目な行為でもしているとでも?」



「いえ…そういうわけではありませんが…」



すでに全容を知っているというのに…こいつらは馬鹿なのか?いやそれよりも…さっさと話を進めてしまおう。



「ではお二人共話を進めましょう。お二人も学校のことでいろいろと処理したいことがあるでしょうから、なるべくすぐに話しを終わらせましょう。もちろん叩いてホコリが出るようであれば話は別ですが。」



「構わない。それじゃあ何から話をしろというのかな?」



「というか先程も説明したのですが、きくち翔太くんの件で話があってきました。まず退学届の方ですが、あれはもう少し返事を待つことになりました。」



「ほう?」



「何故だ‼あいつは痴漢という卑劣極まりない行為をしたんだぞ‼」



「痴漢という行為自体が卑劣極まりない行為と捉えているのは、まぁしょうがないです。事実私もそう思っていますから。ですが、それだけで学校側は退学を要請することは難しいです。」



「それはそうだが…」



「というか退学届を見させてもらったのですが、作りが非常に甘いのは何故です?学校側としてこういうのはしっかりとやるべきなのではないですか?」



「それは…作成したのが昔だったからだ。」



「ふむ…ではこう捉えてもいいですか?『昔に作った退学届だから、適当に作っちゃってたよ。これについては知らないから、その当時の奴らに聞いてね。』って捉えても良いんですよね。」



「いやそういうわけじゃないんだが…」



「ではどういう意味なんです?昔だからといって、すべての学校が適当に作られてるわけじゃないですよ。学校が作られた当時に作られたからと言っても、関係ないですよ。」



「まぁまぁ気にしないでくれ。それよりも…」



「話を変えようとしても無駄です。私は、そういったものも全て追及するためにここに来たんです。構いませんよね?」



「…はい。」



「それではその件は一度置いておきましょう。それでは本題に入らせていただきます。まずは菊池くんに対して脅しのような行為をされたと聞きましたが本当ですか?」



「脅しはしていません。そこは安心してください。」



「それではそれを証明できる人はいらっしゃいますか?または、証明できるものでも構いません。っと…ここには防犯カメラがついているようですね。そちらの映像を見せていただけませんか?」



「いやっ…それは…」



「どうかされたんですか?別に問題はないでしょう?むしろ、かかっている疑いを払拭するチャンスでは?」



「それはそうですが…」



「…残念です。そういった行為があったという事でよろしいでしょうか?」



「いやそういうわけではないです‼決してそういう事はありません‼」



「でしたら、そういった行為がなかったと証明してください。そこに証明できるものがあるんですから、それを私に見せてください。別に何か変な事があるわけじゃないんでしょう?」



「ですが…」



「はぁ…つまりそういった行為が合ったということですよね?というか、本人からある程度事情を聞いているんですよ。嘘をついたら分かりますよ?」



「…」



「結局どうするんですか?私にその映像を見せてくれるんですか?」



「校長先生…どうしましょう?」



「こうなっては最早仕方あるまい…見せてやれ。」



「…分かりました。」



「ご協力感謝します。」



冨士山と名乗っていた男は、一度外に出た。そしてノートパソコンにUSBを挿れたものを持ってきた。



「…どうぞ」



「ありがとうございます。…それでは確認させていただきます。少々お時間を頂きますが、大丈夫ですか?」



「えぇ。大丈夫です。ですが、あまりにも時間がかかるようでしたら、お辞めいただきたいですが。」



「そこまで時間をかけるつもりはないですよ。ただ、そこそこ時間はかかるものだと思ってください。」



俺はすぐに該当する場所を探した。そして…その場面と思われる物を見つけた。



「見つかりましたね。それではここを確認していきます。これで確認することが出来た場合、あなた達は嘘をついたということになりますが構いませんね?」





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