冤罪で家族全員から見捨てられた俺は… 〜リメイクver〜
聖羅
第1話 始まりのあの日
始まりはいつだって唐突だった。周囲の人が俺に向ける視線は『侮蔑』『嫌悪』といった物だろうか?それらの視線は俺の事を金切り声で糾弾し続ける女性には、『同情』や『同感』と言うような女性の事を支持するような表情ばかりしている。
今日この日…俺は学校でも家でも居場所を失った。
あの日の空は朝なのにとても淀んでいるように感じた。
いつも通りに起きて、いつも通りの朝を過ごし、俺は学校に向かうつもりだった。学校に行くには急行の電車を使い、数十分間眠気に耐えながら急いで行くか、各駅の電車を使って眠気に抗わずに眠りながら、のんびり行く方法の2つがある。
最近は急行でも座席に座ることができる機会が増えてきて、少しの間だが勉強で溜まった疲労を眠ることで回復することができていた。
しかし今日は運悪く、座席に座ることができなかった。そのためどれだけ眠くても立っているしかなかった。
「はぁ…立ってるしかないか…後数駅我慢すれば良いだけだしね。」
やはり急行電車に乗る都合上、どうしても主要な駅を通過するたびに人は増えていく。そして俺の周囲にも段々と人が増えていった。
そしてついに俺が降りる予定の駅の二つ前まで来た。俺はそろそろ降りる準備をするか…と思いながら、スマホをポケットの中へと入れた。
その刹那…俺の体は急激に後方に引っ張られた。周囲の人を見るとつり革にしっかりとつかまっていた人や、座席に座っている人を除いてたくさんの人が体勢を崩していた。
そんな中だった。俺は後方に引っ張られたことによって女性にぶつかってしまっていたことに気づいた。
そのため謝ろうとした瞬間…女性は俺の手を思いっきりつかみ上に引き上げて、こう叫んだ。
「この人…痴漢です!!だれか助けてください!!」
周囲の人は俺と女性の事をしばし視巡させると、女性の言葉を真実だと思ったのか一人の男が周囲の人を代表するかのように、俺の方に向かって詰め寄ってきた。
「おいそこのお前!!この女性に痴漢をしたんだな!!」
俺の制服の襟と、ネクタイの所を掴みながら俺にそう叫んできた男に俺は全力で否定の言葉を浴びせた。
「違います!!俺は痴漢なんてしていません!!あなただって先程電車が急ブレーキをしたのを知っているでしょう?確かにスマホを見ていて体勢を崩してしまい、ぶつかってしまったことは謝ります!!ですが、決して痴漢はしていません!!」
「白々しい嘘をつくなよ!!確かに俺はこの眼で見たんだぞ!!あんたがこの女性にぶつかった拍子に体をもんでいる所を!!」
「嘘を言わないでください!!それに先程も言いましたが、俺はあの女性にぶつかってしまったのは事実ですが、そんな行為は決してしていません!!」
「こいつ…おい!!だれか取り押さえるの手伝ってくれ!!」
男は柔道でもならっていたのだろうか…俺の事をいとも簡単に取り押さえると、俺が背負っていたバックの中身を漁り始めた。
「こいつが下手に抵抗できないように、両手両足を抑えておけよ!!こいつは下劣な痴漢野郎なんだからな!!見た所高校生だが、全力で暴れられたら俺等だって怪我するかもしれない!!次の駅でこいつのこと降ろすから手伝ってくれよ!!」
男はバックの中を漁りながら、周囲の人に向かって言った。悲鳴を上げたあの人は周囲の人に慰められていた。俺は無実なのに、証拠もないのにどうしてこんな目に合っているんだ!!
「証拠もないのに取り押さえて、俺のバックの中身を漁るなんてそんなことやっていることは泥棒と大差ありませんよ!!」
「うっせえよ!!よし…こいつの学生証をネットに上げてやるよ!!一生性犯罪者の汚名でも被ってろ!!朝から盛ってる下劣なクソ野郎が!!」
よく見るとこの男は、スマホで動画を撮っているようだ…俺は両手両足を押さえられているため、何も抵抗することができずにいた。
そうこうしていると電車は駅に停車したようだ。冤罪を晴らすチャンスだ!!と思い俺は全力でこちらに向かって歩いてきた駅員に向かって否定の言葉を放った。
「この電車は急ブレーキしたんです。その時に俺は体勢を崩してしまって、あの女性にぶつかってしまったんです!!その後はあの人達に急に体を押さえつけられて…もしかしたらネットに写真を挙げられたかもしれないんです!!だから早く…」
「はいはいそういうのいいからさ。はやく駅員室に向かって歩いてくれないかな?こっちだってこういう面倒くさい事に朝から対応するの正直だるいんだよね…それに警察もくるしさ…とにかく早く歩いて?事情はそこで聞くからさ。」
俺は何度も説明を試みたが、結局話しを聞き入れてはくれず、結局警察による事情聴取が始まった。事情聴取でも同じことを伝えたのだが、警察は俺が嘘をついていると決めつけているのかまともに話を聞いてくれなかった。
それどころか俺に向かって「早く被害者の女性に謝るように!!」などと分けのわからないことを言い始めた。『どうして悪いことをしていないのに、謝らなくちゃいけないんだ?』と言ったら、警察は怒りをあらわに、机に向けて拳を振り下ろし、俺の方を睨みつけてきた。
その後の事はよく覚えていない…だが俺が次に覚えている光景は父さんに顔面を殴られたところからだった。
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