第2話 Abandoned dog goes to maiden's womb.....
自分は何かとんでもなく恐ろしいモンスターに詰められて、気絶してしまった。
夢の中でまどろみながらも、微かな力で握り続けていた記憶の断片を脳内で無意識に反芻させながらゆっくりと意識は覚醒していく。
それでも寝起きで白く濁った脳内に溺れていると、それはもう衝撃の人物と目がバッチリ合ってしまった。
咄嗟に開きかけていた瞼を閉じる。
頭がさっきより重くなってくのが明確にわかる。
それでもこれはきっと悪い夢だと信じてもう一度横になろうとすると、首筋に感じるのは人間の皮膚にとても似た温もり。
背筋を冷たい汗が伝っていく。
まさか、と思い横を恐る恐る覗けば、そこにあったのはりっぱな太い太ももと、太ももの持ち主の『おとめ』だった。
「あら、ようやくお目覚め?なんてとろいのかしら。もう私の胃は空っぽよ。」
ああ、この世で一番最悪な目覚めだ。
そして
「見なさい。キミのためにずっと膝枕しっぱなし、正座しっぱなしで私の華凛な御足に痕が四か所もできた。こーれはお高くなるわよ.....?」
「ぇ、何が.....ですか?」
「そこはキミ、慰謝料に決まってるじゃない。」
スッと細い人差し指と親指で硬貨の形を作り出す『おとめ』を見て、私はこの世に産まれ落ちて初めて希死念慮という文字が脳内に浮かび上がってきたのである。
コイツはもはや天才かもしれん。
何故、
勝手にコイツのテリトリーに連れてこられ、勝手に膝枕をされて、慰謝料を支払わなければいけないのか。
ふつふつと湧き上がる怒りという感情に、譲は慣れていなかった。
それでも、まだ理性は働いていたのか
一刻も早くコイツのもとから離れようと体に力を入れた途端_____
「は......?何してるん「うるさいわねぇ、キミの脳内。キンキンキンキン....鼓膜が痛いわ。」
「さっさと黙れ、って言いたいわけ。」
「口閉じなきゃキスできないのよ。ご存じ?....それとも
舌、入れてほしいわけ?」
そのとき譲はなんとなく、なぜ『おとめ』が生徒たちから高評価なのか、分かった気がした。
・
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すべてが終わったとき、月が煌々と煌めいていた。
譲にはそれくらいの情報しか届かない。
なぜなら、
「もう、キミは私の虜だから。」
乙女おとめ 廉堂文 @hihuwokezuru
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