ダンス部センターのカノジョが甘々すぎる件。(仮)
凪村師文
はじまり編
1話 僕のカノジョ
四限の終わりを告げるチャイムと共に、公共の授業は終わった。財布を片手にダッシュで教室を出る輩もいる中で、僕は真面目にメモをとる。僕の授業を受けるスタイルとして、メモは先生の説明の合間にとるようにしている。メモに気を取られて話を聞かないのは、授業を受ける意味が無いと僕は思っているからだ。
「奏音~~。飯だ飯。腹減ったよぉ。早くぅ」
真面目にメモをしていると、背中をバシバシ叩かれた。
「はいよ」
簡単に黒板の内容をメモし、僕も立ち上がる。
「てか、人の前で堂々とイチャつくな」
振り返ってみれば、僕の前には、茶髪のツインテールの可愛らしい女子をバックハグしている男がいた。大変馬鹿らしいことだが、こいつが僕の親友。柳川湊音。そして女子の方が湊音の彼女の東城萌。
「いいだろ別に。俺は萌たんがいないと死んじゃうんだからよ」
そう言って、こいつ……堂々と惚気けやがったわ。
「湊音。さすがに私も恥ずかしい……」
そう言って、萌は逃げようとする。が、表情を見る限り、真っ赤に顔を染めながらも、なんやかんやでバックハグされて嬉しそうだなおい。
「はぁ……。食堂行くぞ」
なんなんだか。飯食う前に色々お腹いっぱいだわほんと。
食堂に入り、右側の窓際の奥の角席がいつもの僕らの定位置。そこには今日も先客がいた。
「奏音、こっちこっち」
トントンと自分の隣の椅子のスペースを叩く黒髪ロングの先輩の隣に今日も座る。湊音と萌は僕の向かい側に並んで座った。
「及川くん。やっほー」
先客は二人の女子の先輩。まさに清楚美人の麻倉夏楓先輩と、ボブカットのかっこいい先輩である七川沙那先輩だ。
「はい、今日のお弁当」
「ありがとうございます。夏楓さん」
青のランチョンマットに包まれたお弁当箱を僕は夏楓さんから受け取る。そう、夏楓さんは僕の彼女なのです!!
「ほんと、毎日彼女の作った弁当食べれるなんて、奏音くんも幸せもんだねぇ」
と、沙那さんが自分の弁当を食べながら言う。それを言ったら、前でイチャコラしてるバカップル共に言ってほしい。
「はい。萌たん。あーん」
「あーん。んん!! おいしぃ」
あー。はい。幸せそうで何よりです。
「萌たちはなんか別枠よねぇ」
萌たちを眺めていた夏楓さんがそう呟く。1つ年上の夏楓さんと沙那さん、そして萌はダンス部に所属していて、3人ともお互いにとても仲がいいのだ。夏楓さんと沙那さんに限っては親友でもある。
「奏音くん。そんなに羨ましそうに見て……。じゃあ、私が食べさせてあげようか?」
そう、綺麗な笑みを浮かべながら夏楓さんが僕を誘惑する。
「冗談はよしてください」
「あら。私は本気だったのに」
そう言って夏楓さんはちょっと不貞腐れた顔をした。何この人。超可愛いんですけど。
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