幕間5 疾風! 全力! 帰路!









「う~、やっぱり雷神に先越されてるよ」


「ちょっと、魔玉が2つあるよ。にゃんにゃん?」


「ちっ、雷神は仕方ないけど、ぽっとでのパーティに負けてられないな」


「ちょっと、ちょっと」


「どうした、イチカ?」


「雷神が2位なのよ。それも雷神が1時間前で、にゃんにゃんが3時間も前に着いてるのよ」


「は? 1階層を1時間で攻略したっていうのかよ」


「運がよかっただけじゃねぇ?」


「だよね。さっさと抜いちゃおうよ。でないと、疾風の名が泣いちゃうよ~」


「だな。俺達が最速のパーティ疾風だと知らしめてやろうぜ」



























「何なんだよ、このにゃんにゃんってパーティはよ」


「何かズルしてるんじゃないの?」


「そうだよ。雷神でさえ20日もかかってるのに、6日で100階層までたどり着けるはずがないよ~」


「にゃんにゃんのペースは1日に20階層だな。うちらの5倍のペースだぞ」


「あり得な~い」


「マップだな」


「マップ? このダンジョンは封印されてたから、地図はないんでしょ?」


「スキルだよ。マップ系のスキル持ちなんだろうよ」


「え~、無いっていう話だよね?」


「帰還のスキルが最近見つかったって話だろ。覚えるためには複数の条件があるって言ってたから、マップもそうなんじゃないのか」


「あ~そういうカラクリだったんだね~」


「ふっ。だったら、追いつけるな」


「だね。下層に行けば、こんなペース続かないよね~」


「もう雷神が抜いてるかもな」


「だね~。私達もさっさと抜いちゃお~」






















「って、どうなってるのよ~」


「雷神が10日前で……にゃんにゃんが40日前って……11日でたどり着いたってことだよな?」


「200階層までの魔物じゃ苦にもならないってことか。実力もあるみたいだな」


「でもハヤトのレベル300には敵わないよね」


「そう思いたいが……」























「ダメだダメ」


「やってられないね」


「ハヤト、どうする?」


「はあ~、帰ろう。拠点に戻ってレベル上げだな」


「だね~」




俺達が300階層にたどり着くのに90日もかかったのに、雷神は60日。にゃんにゃんに至っては……16日と訳のわからない日数しかかかっていない。そんなチートなパーティと宝箱のないダンジョンで競い続けるのは時間の無駄だと判断した俺達は帰路に着くことにした。












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