第4話 プロローグ その4 主人公視点
なんじゃこりゃぁぁぁ!!!!
と俺は心の中で叫びながら、撮影カメラのレンズが赤く塗れるのを冷や汗をかきながら映像を見ている。
目の前のプロジェクターに映る映像には可愛らしい撮影係の少女が巨人に腹をかじられ、内臓を飛び散らせて、血を啜られていた。
この後、実は彼女は助かったんですよーという展開も期待したいが、
あっ、頭がもげてしまった。ははっ……
俺だってこんな年端もいかない少女たちの大惨事な光景を喜んで見ているわけではない。
内容を知らなかったのだ。
そして、これが人前に見せられる内容とも思っていない。
こんなものを自信満々に軍のえらーい人たちに見せつけていたらマッドサイエンティストだ。
そんな演出はB級映画以下だ。学生制作の痛い映画レベルだ妥当だろう。
そう、それなのにこれを軍のえらーい人たちに今現在、発表しているのは
この研究発表会に持参する録画映像を確認していなかっただけだ。
上がってきた研究結果を資料をまとめられるのは俺だけ、忙しいので助手に前の実験の観察映像の事を聞いたら、
『最高傑作がまたできました!!!実験体はヘリを空中で打ち落とし、外殻は地雷程度ではびくともせず、敵兵をいとも簡単にグッチャグチャにしました。
身体を戦車に頭を吹き飛ばされても物の数秒で再生し、即座に行動。
さすがドクターは天才ですぅ!我らがエンドメイカーズは最強ですねぇ』
と、自身満々で答えていたし、きっとかっこよく敵と戦っていたんだろうと思っていたら、こんなモンスターパニックみたいな戦い方をしているとは思わなかったのだ。
そして、上からブラック企業真っ青のスケジュールで実験体の発表を偉い人たちにしてくれと頼まれていたので、そのまま映像を軍のお偉いさんたちに発表したのだ。
そしてそのまま今に至る。
「あー、ヴィクター博士。一つ聞きたいのだが、この記録映像は敵軍の物だと思うのだが、何故敵側の資料で発表しているので?」
偉い人の一人が至極普通の質問をしてくる。
俺もそこは疑問だ。
今回の敵国はわが国で度々テロが起こし、人身誘拐未遂は起こし、ミサイルも飛ばしてきて、侵略戦争を起こしてきたヤバい国。
おまけにゃ、少女を洗脳教育して兵士にし、まともな感性を持っている兵士が躊躇している隙に侵攻してくるというめちゃくちゃ戦略を取っている。
そんな国の資料がなぜうちに?
俺が教えて欲しいよ!と言い返すわけにもいかず、 真っ青でなんて発表を続けようか迷っていると、
「す、すばらしい!!なんて傑作をみせてくれるのかね!ヴィクター君!やはりヴィクター君の作るモンスターは素晴らしい!
私の好きなモンスターパニック映画が現実で見れるとは感極まる!やはりPOV(一人称視点映画)は素晴らしいな!
このお披露目会で見せてくれるとはヴィクター君もわかっているじゃないか!感動したぞ」と軍戦術部のえらーい人がにこやかに答えていた。
「見たかね!あの少女の絶望した顔!ラストで撮影者の死体が映るなんて、まさに王道!」
そう隣の人に声をかけるその顔はまさに悪魔、命令で人を殺し、絶望を楽しむ悪魔のようだった。
なんだこのジジイヤバすぎるでしょ……こわ……性欲が悪い方向に走ったやつに金と権力を与えるとどうなるのかわかっているのか?こいつに権力与えたやつ出てこい!
と心の中で叫ぶ。
あまりにもおぞましい顔をしているジジイを見ていれなくなって、この映像を用意した助手の顔を見ると可愛らしくウィンクをしていた。
ははーん。この助手のやつ、このジジイの性癖を知ってて、この映像を用意したな。
やはりプレゼンにおいて掴みは大切、これでこのプレゼンも大成功間違いなしだな。ははっ。
……
いや、よくねえよ!こんな映像、まともな奴がみたらドン引きだよ!
と心の中でツッコミを入れる。
「いやあ、若き乙女が未来に羽ばたこうとしている羽を毟るのは最高に気持ちいい!
これこそがエンターテイメント!これこそが我が戦争!作り物の映画や物語ではなく、ノンフィクションの命のやり取りから生まれる運命!ドラマ!
情報統制やプロパカンダで市民を煽った甲斐がある!
実は初回のテロ事件はわざと仕組んだものだったが、こんなに上手くいくとは!」
「いやあ、その件では実に儲かった。いい仕事をさせてもらいましたよ」
と悪魔のようなジジイは隣にいた男と談笑していた。
「ハーッハッハ!」
「ガハハッハハ!」
と悪魔たちは笑う。
「ははっ」俺もつられて笑う。
俺、この話聞いていて大丈夫?俺、後で消されない?と誰に聞くわけにもいかず、
ってか、こんなヤバい奴ら野放しにしていいの?
と心配になり心臓がドクドクと跳ねてくる。
この戦争が自身の性癖と金儲けの為に仕組まれたと知ったら国民はなんて思うだろうか……
しかし、それを止められる力は俺にはない。
偉い人たちが怖すぎて見ていられなくなって再び助手の顔をみる。
その助手の顔はまさに美少女。そして、その身長には似つかわしくない乳を揺らしながらニタニタと笑顔を振りまいていた。
彼女も俺が見ているのに気付いたのかこちらを見つめ返して来て、
『みーたんの用意した映像。ばっちしウケたでしょ!これもみーたんのハイパー最強な頭脳のおかげ♡感謝してくださいよね♡ドクター♡』と言ってきそうなウィンクを飛ばしてきた。
やっぱり、こいつは黙っていたらかわいい美少女だよなあ。と心の中でぼそりと呟く。
俺を含めておっさんだらけの会議室に一人。場違いな中等部ぐらいの年齢の美少女。
そんな彼女が俺の助手兼相棒だ。
彼女は金細工のように煌びやかな金髪とサファイアブルーのように輝く瞳を夜の湖に映る月のようにキラキラと輝かせている。
立ち姿はどこかの人形にようであり、無表情に黙っていれば作り物と見間違うほどの美少女であるが、
その首から下に身に着けた体は年相応とは思えない2つの山が出来ている。つまりはデカチチ。そして彼女の服装はその奇跡の体系が分かるようにむっちりピッチリ乳袋を作っていた。
……
クソ!そんな歳で乳を強調してる服を着るんじゃない!パンツ見えそうなミニスカを穿くんじゃない!このメスガキィ!と心の中で呟く。
そんな彼女が上目使いで命令を待っているのが経験から見て取れた。
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