涙に沈んだ砂時計に奇跡の光が降りつもるから

犬上義彦

第1章 僕の世界に舞い降りた天使(1-1)

 この世に天使はいるんだ。

 もし、ここがこの世でないのなら、ここは天国なんだ。

 だって天使がいるんだから。

 どんなに完璧な理論を積み上げてみても。

 手を伸ばしても届かない。

 真夏の青空を二分する飛行機雲がかすれて消えるように。

 触れることすらできないその微笑みが消える前に。

 僕は君にすべてを捧げよう。

 だって君は天使なんだから。

 夢や希望のないこの世界に純白の翼を広げて舞い降りた天使なんだから。

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