酔歩路の想い出
@mustardflower
第1話 梅酒 〜中3の冬〜 序
私が初めてお酒を飲んだのは、高校生の時。
早速言い訳をさせてもらうと、故意ではない。決して。
高1の冬、クリスマスの頃に、クラスメートの女子達で冬休みの課題を進めるための1泊2日勉強合宿をした。
泊まったのは、夏休みに高校が主催した勉強合宿と同じ場所。その合宿では散歩や運動が自由で、休憩をとりやすかったのもあって、課題も進み、思いのほか楽しい夏休みとなった。
じゃあ冬休みも、と勉強道具を大量に抱えて飛び込んだものの、大人がいない合宿で勉強が進むわけがない。
宿に到着し、お風呂に入って、夕食になるまでお喋りが止まらなかった。
「いかん、これ食べたら勉強しよう」と御膳に向き合ったのが運の尽き。
その御膳の中に、食前酒の梅酒が潜んでいたのだ。
何も知らないまま、私はそれを一息に飲んだ。
初めて飲むお酒は、本当に美味しかった。目を閉じて、息を吸う。
「美味しい!何これ!」
目を開けると、私は実家の居間にいた。母が、「あんた今何か食べてたの?」の聞いてくる。
今自分が、「中学校の制服をハンガーにかけて、兄弟共用の寝室に向かおうとしている」ということを把握した時、インターホンが鳴った。
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