『第壱章 Columbine~オワリのハジマリ~』 第忌血話【目覚めと花言葉】

✝配役表一覧✝

●PC1 タイタス→男性

●PC2 マクベス→男性

●PC3 ジュリエット→女性

●NC1(ナレーション)→女性

●NC2(ナレーション)→男性


✝男女比率✝

男3・女性2(5人台本)


✝ジャンル✝

SF・ダークファンタジー【R-15G】

(※同性愛表現・残酷描写・鬱展開有)


✝所要時間✝

約40分


────────────────────────





開幕 開演 冒頭・・・。





NC①

────レハ全テ二対スル【結末オワリ】ノ物語。


偽リダラケデ 嘘ダラケノ世界。


ノ本当ノ【結末オワリ】ヲ見ツケル物語……─────





NC②

────こうして【終焉エンドロール】を迎えました。



めでたし、めでたし……



……あれ?まだいたんです???

まだ物足りないのですかぁ???

……そうですかぁ、ならばアナタ方には此方コチラの【演目ショー】は如何いかがですかな?



さぁさっ!!お立ち会いっ!!



れより始まりますは【 終焉エンドロール】のその先。


全てが終わった【物語ストーリー】の【なが後日談ごじつだん】。


【終焉 《エンドロール》】で書かれなかった【物語ストーリー】の全て。


の物語が【喜劇】か、【悲劇】か……?

【ホンモノ】か、【ニセモノ】か……?

それはアナタ方のお好きなように……


ん?ヒントですって?

そうですねぇ……あえて1つ申し上げるなら………




【シアワセにカタチは無い】って事でしょうか……




前口上が長くなっちゃっいましたね……いやはや、失礼致しました。

それじゃあ始めましょうか、の【物語ストーリー】を……───






NC①

「ねぇ?まだ眠ってるの?まだ起きてくれないの?

早く起きなきゃ間に合わないわよ?早く目を覚ましなさい。

………え?まだ眠っていたい?まだ起きたくない?……駄目ダメよ。

そんなツマラナイ事言わないで【ワタシ達】と遊びましょう。

ずっとずっとずぅぅぅっと待ってたんだから……。

さぁ、夢から覚める時間よ……」





NC②

永い後日談のネクロニカ リプレイ風 声劇



『The Fake World of the End(ザ フェイクワールド オブ ジ エンド)』



第壱章

【Columbine(コランバイン)~オワリのハジマリ~】



忌血いち話 【目覚めと花言葉】






NC①

貴方達は暗闇の中で目覚める。

微睡まどろよどんだ意識が次第に晴れていく。

重く閉ざされたまぶたがゆっくりと開く。

開かれた視界を支配するのは闇。

静寂せいじゃくに包まれた痛く、暗く深い闇。

そしてせ返るような甘い香り。

貴方達は自分の身に起きている状況を理解しようと、なんとか身体を起こそうとするとかたい【ナニカ】にぶつかってしまう。


どうやら貴方達は狭い所に閉じ込められているようね。

さて、どうするの……?




マクベス

(……何だ此処ここ……?暗いし、せまいし……。

これじゃあ何にも分かんないな……)


「あっ、この壁押したら出られるみたいだ……」



タイタス

(……こ、此処ここは………?

……どうやら閉じ込められているみたいだけど……)


「とにかく此処ここから出なきゃ……

ちょっと荒っぽいけど蹴破けやぶるしかないっ!!」



ジュリエット

(……んっ……???……あ、れ?……此処ここは……?

って……!?何っ、何っ、何っ!?真っ暗じゃんっ!!??

アタシ、一体何でこんな所に!?

しかも狭いし、甘ったるい匂いもするし……気持ち悪っ……!!)


「もうっ!!とっと出なきゃっ!!

ふぬぬぬぬぬぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!かったぁぁぁぁぁぁぁいぃぃぃっ!!」



NC②

1人は壁を押して、もう1人は扉を蹴破けやぶると同時に扉がガタンっと音を立てて開き、開いた中から2人の姿が現れる。



マクベス

「よっ、こっい、っせ……っ!!ふぅーー……出ら、れたかな?」



タイタス

「……っせぇぇぇいっ!!……はぁ……やっと出られたぁぁ……」



ジュリエット

「あとぉちょっっとぉぉぉぉぉぉっ!!ふぐぎぎぎぐぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」



NC①

貴方達2人がようやく出られた外が、石造りの壁で囲われた建物の中だと気付く。

辺りを照らすのは天高い場所にある小さな窓から差し込むかすかな光のみ。

それでも貴方達の瞳には辺りを観察する事が出来る便利な瞳を宿やどしている。


どうしてかしらね???

本当なら見えないのに……ね……




マクベス

「何だ……此処ここ……?……知らない場所……何処どこなんだ……?」



タイタス

(ん……?人の声がする……?)


「あの、誰かいるんですか?」



ジュリエット

「っせぇぇぇぇぇのぉぉぉっ!!

……しゃあぁぁぁぁぁーーっ!!出られたぁぁぁぁぁぁっ!!」



マクベス

「ぅわあぁっ!?……びっ、びっくりしたぁ……って……ど、どちら様……?」



タイタス

「なっ……!?………えっと………君達は……だ、誰ですか……!?」



ジュリエット

「んーーーーっ!!せまかったぁぁぁぁぁーっ!! ……って……えぇぇぇぇ!?ちょっ、誰よっ!?アンタ達っ!?」




NC②

ガタンゴトン!!と音を立てて、現れた少女の声に反応して驚く2人の少年。

少女は怪訝けげんなそうな顔で見つめる。


1人はボロボロの白衣の七分丈のシャツに、裾の千切ちぎれた黒のパンツ。

白髪でポニーテール。

身長は細身で180cmはあるだろうか、その背中には自分の背丈と同じ長さのスコップを背負い、右手には鋭利な爪がある刃の義手と銀のモノクルを付けた白銀しろがねの瞳の少年。


もう1人の彼は背は比べて普通に見える。

若草色の着物にグレーの無地の羽織、深緑のはかま、木目の下駄。

短めの黒髪でオールバック。

場違いな和の出で立ちで狐の模様が入った面で口元を隠し、腰に日本刀を下げた灰色の瞳の少年。


そして少年達と、うって変わり、少女はクリーム色で丈の短いTシャツに、ピンクのベストと濃紺のうこんのデニムのショートパンツ。

高めに結んである茶髪のポニーテール。

小柄な身体に不釣り合いのガンホルダーを両太ももに着け、背中に大きな銃を背負った焦げ茶色の瞳の少女。

3人は見つめ合い、暫しの沈黙が流れる。



マクベス

(何だこのなんちゃってハロウィンみたいな格好の奴とこのちみっちゃい幼女は……?)



タイタス

(えっ……何、この場違いな恰好のこの人………

それにこの小さな娘が持ってる銃……バランス悪過ぎ……)



ジュリエット

(うわぁぁ……やだ、何、コイツ……この如何いかにも怪しい……隣もなんか滅茶苦茶、イタい奴し……)



NC①

貴方達は見つめ合う。

けど見つめ合うだけじゃ面白くないわよね?

静寂を切り裂いたのは焦げ茶色の瞳の少女だった。



ジュリエット

「もぅっ!!お互い見つめ合ってばっかじゃ、何も分かんないじゃんっ!!

いったい全体、此処ここ何処どこでアンタ達は一体誰なのよっ!?」



マクベス

「それを言うなら、まずは君から言いなよ。

ほら、ドラマで良くあるこの紋所もんどころが目に入らぬかっ!ってお決まりのパターンをさ。」



タイタス

「いや、それを言うなら人に名を尋ねるならまずは自分からってやつなんじゃ……」



マクベス

「嗚呼、それそれ。ナイスツッコミ、ありがとう。ハロウィンさん。」



タイタス

「あ、いやいや。どういたしまして……ん???ハロウィンさん???」



マクベス

「うん、どう見てもハロウィンに出て来そうな感じだよね、キミ。」



タイタス

「いやっ……別にハロウィンって名前じゃないんだけど……」



ジュリエット

「もぅぅぅぅーーーーっ!!

ハロウィンとかドラマとかどぉぉぉぉでも良いのぉぉぉぉっ!!」



マクベス

「おいおい、怒ってばっかだと疲れるし、大きくなれないよ?」



タイタス

「そうだよ、落ち着きなよ。あっ!!そうだっ!!

お父さんかお母さんは一緒じゃないのかな?

もしかして迷子かな?迷子なら迷子センターにお兄さんが一緒に行ってあげよう!!」



ジュリエット

「アタシを子供扱いすんなボケェェェっ!!

そもそも迷子でもないし、何処どこに迷子センターがあるのよっ!!

馬っ鹿じゃないっ!!それを言うならアンタ達だってっ!!

お巡りさぁぁぁぁーーんっ!!

此処ここに変態がぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーっ!!」



タイタス

「何っ!?不審者っ!?変態だって!?それは見過ごせないなっ!!一体誰だっ!?」



マクベス

「……多分じゃなくても確実に君だよ。

……まぁ、そこのチビっ子の意見には賛同するよ、ちょっと皆、落ち着こう。」



タイタス

「あっ、そっか……え???」



ジュリエット

「だぁぁぁぁれぇぇぇがぁぁぁぁぁぁチビっ子だってぇぇぇぇっ!?」



マクベス

「どうどう、落ち着いてロリっ子ちゃん。」



ジュリエット

「だから誰がロリっ子だぁぁぁぁぁぁっ!!」

んもうっ!!

こんな不毛なやり取り、何時いつまでもやってらんないわよっ!!

……ふぅーーーーっ………うん、ちょっとは落ち着いた。

それで?えっと、アタシの名前は……あ、うん、確か……【ジュリエット】……?多分だけど……アンタ達は名前、何て言うの?」



マクベス

(えっ、何こいつ……怖っ)


ワタシは……【マクベス】……そう、【マクベス】だよ……」



タイタス

「僕は……【タイタス】……【タイタス】って言うんだ……」



NC②

君達は目覚めてから初めて自分の名前を認識する。


名前は大切なモノですからね、大事にしないと。


君達にとって名前は他者と自己を区別する重要な役割を持つのです。


互いに自己紹介あいさつを交わすと君達は周囲をキョロキョロと見渡す。

全く身に覚えの無い、見知らぬ場所。

其処そこにいる事に戸惑いを隠せなかった。



ジュリエット

「そっちの白いのが【タイタス】で黒いのが【マクベス】ね、分かったわ。

2人共、此処ここ何処どこだか知ってる?」



マクベス

「いや、ワタシが目覚めて直ぐに気が付いたら此処ここにいたから……正直、この場所に心当たりはないんだよ。」



タイタス

「僕もマクベスさんと同じで目が覚めて暗闇から出たら此処ここにいて……本当に此処ここ何処どこなのか……皆目、見当もつかないんだ。」



マクベス

ワタシの事はマクベスで良いよ。さんとかなんか似合わないし。 ワタシは君達をタイタス、ジュリエットって呼ぶけど構わないかい?」



ジュリエット

「アタシも別に良いわよ、アタシも2人の事をそう呼ぶし。

……それにしても情報ゼロかぁ……とにかく此処ここを調べてみましょう。

まずは手始めにこの箱みたいなモノから出ないとね……ってっ!!?

ひぃっ!!……こ、これって……!?」



NC①

嗚呼、賢いジュリエット。


【アリス】の貴女は【ソレ】が何だか理解出来たみたいね。


【ソレ】は正五角形を引き伸ばしたかのような形をして、中には沢山の花が敷き詰られている。



そう……まるで……死人が眠る【棺】のようだと……



ジュリエット

「ぅっ……あっ……ひぃっ……」



マクベス

「どうしたんだい?ジュリエット、大丈夫かい?」



タイタス

「顔色が悪いけど、どうかしたの?」



ジュリエット

「あ、し……足、元の……【ソレ】………」



マクベス

「足元……?……なっ!?こ、これって……っ!?」



タイタス

「ん?……ひっ!?……これっは……っ!?」



NC②

他の2人共気付いたみたいで良かったですねぇぇ。


自分達が今いる場所。

そしてその冷たい【棺】の存在に。


そう、君達は気付く。いや、気付いてしまう。

本来、感じる筈の自身の体温が全く感じない事に。



君達に体温なんて必要あるんですか?

君達に呼吸なんて必要なんですか?

要らないですよね?



だって……何故なぜなら……君達はもうとっくに【死んでいる】のですから。




ジュリエット

「ぁっ……いっ……やっ………」



NC①

ジュリエットは【ナニカ】に気付き、言葉に出来ず涙し、うちひしがれる。

それを見て漠然と立ち尽くす2人。

自分自身の事なのに何一つ分からない。


でも、気付く。それが【ナニカ】。


貴方達はようやく理解する。


その身体には体温なんかなくて本当は【死体】だって事が。



貴方達は必死に思い出そうとする。



【どうして死んでいるのか?】



でも無駄な事よ。


だって貴方達には何も無い。

過去の記憶も何も無い。


家族は???恋人は???友人は???

貴方達は何時いつ何処どこにいて、どんな歴史を辿ってどんな人物だったか?

そもそも今の【名前】は本当に自分の【名前】なのか?

本当の自分の【名前】は???



ない。



ない、ない、ない、ない。



何も無い。



【貴方達には何も無い】。





ジュリエット

「ぁ……アタシは……アタシは……誰……なのっ!?」



マクベス

「お、落ち着いてジュリエット、大丈夫。ワタシ達が傍にいるから。」



タイタス

「そ、そうだよ、ジュリエットっ!!ゆっくり深呼吸して、ね?」




NC②

おんやぁぁぁぁぁ?

マクベスとタイタスは事実に気付いても狂気におちいらせないように自我を保ったみたいですねぇぇぇ……



流石は大切なモノを導き、鎮める【ソロリティ】のマクベス。

狂気さえ、君の前では障害にすらならない。

そして全てを受け入れても、なお、諦めを知らない、諦らめたくないと足掻く【ジャンク】のタイタス。

2人は狂気を感じなかったんですねぇ。


しかし……唯一、日常を忘れたくない紅一点【アリス】のジュリエット。

君はその信じられない狂気に飲まれちゃいましたね。


本当に可哀想で滑稽こっけいで楽しいですねぇぇぇぇっ!!

嗚呼、ジュリエットっ!!!!君のさっきの顔っ!!

最っっっ高っっっに傑作ですよぉぉっっっ!!

アハハハハハハハハハハハハッ!!!!!!!!

オッメデトウゴザイマァァァァァァァスッ!!!ジュリエットッ!!!


嗚呼、そうそう。

君の目の前の少年、そう。タイタスに【疑心暗鬼】が生まれましたよ☆




ジュリエット

「っひぃっ!!!!やだっ!!やだやだやだやだっ!!

何なの!?何で思い出せないのっ!?何で何も分からないのっ!?

何でっ!?何でっ!?何で!?なんでなんでなんでっ!?

何でアタシは死んでいるの!?どうして死んだの!?

どうして蘇ったの!?

何も、何も分からないっ!!分からないっ!!分からないっ!!」



タイタス

「ジュ、ジュリエットっ!!気をしっかり持つんだっ!!落ち着くんだっ!!」



ジュリエット

「……アンタね……アンタがっ!!

アタシの記憶を奪ったんでしょっ!!返してよっ!!返しなさいよっ!!

アタシの記憶を返してよぉぉぉ!!返せよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」



タイタス

「ちっ、違うよっ!!僕は何も……」



ジュリエット

「嘘よっ!!嘘だっ!!

そうやって安心させようとして、アタシをその義手で切り裂いて殺してアタシの記憶を奪ばったんでしょうっ!!

アタシは黙されたりなんかしないっ!!!

返せ返せ返せっ!!返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」



タイタス

「だから違うってばっ!!この腕は気付いたらこんな風になっていただけで君に危害なんて与えたりなんかしてないよっ!!」



ジュリエット

「嘘よっ!!ウソだウソだウソだぁぁぁ!!違う違う違うっ!!

絶対信じないっ!!!」



NC①

ジュリエットは自身の中に生まれた疑心暗鬼によって正気を無くしていた。

血走ったまなこで二つの銃をタイタスの顔に身体を震わせながら銃口を突き付けた。

何時いつでも撃てる、緊迫した雰囲気の中でタイタスは優しく彼女に微笑ほほえんだ。



タイタス

「……そっか、分かったよ、ジュリエット……

君がそうしたいならそうすれば良いよ……」



ジュリエット

「……えっ?」



タイタス

「確かにこんな意味の分からない状況で誰も信じられなくなるのも分かるよ。

信じたくても信じられない気持ちは痛い位、僕も同じだよ。

実は僕も君と、ジュリエットと同じなんだ。

僕も目が醒めてから今までの事、全てを覚えていない所から知らないんだ……自分のこの腕の事も、君達2人の事も。

さっきまで自分が死んでいた事さえも覚えていなかった、全然知らなかったんだ……」



ジュリエット

「そ……そん……な……」



タイタス

「でも……僕は君に決して危害は与えない。

信じられないかもしれないけど……でも、それでも、これだけは信じて欲しいんだ……」



ジュリエット

「そ、んな……アンタもアタシと同じ……」



マクベス

ワタシもタイタスと同じだよ……ワタシも過去の事は何もかもがない。

死んで蘇った事すら知らなかった……こうやって平然を取り繕ってはいるけれど本当は不安でいっぱいなんだ……だからそんなに怯えなくて良い。

もし不安ならワタシの傍から離れないように服の裾でも掴んで良いんだから……」



ジュリエット

「……ありがとう……2人共……あの、ごめんなさい……タイタス……ちょっと取り乱しちゃって。

でも、もう大丈夫……うん、落ち着いた……」



タイタス

「……えっと……本当に大丈夫???

大丈夫だよね???

僕その銃で撃たれたりしないよね?」



ジュリエット

「はぁ???撃つわけないでしょ、もうっ!!」



マクベス

「フフフ、何さっきまでカッコイイ事言ってたのに今更ビビってるとかウケるんだけど。」



タイタス

「ビッ、ビビってなんかないよっ!!

僕はジュリエットが心配なだけだもんっ!!」


(だってしょうがないじゃぁんっ!!!

あの時は本当にジュリエットに撃たれるかと思ったんだもんっ!!

でもカッコイイって言われたっ!!嬉しっ!!)



マクベス

「ふーーーーん……まぁ、そう言う事にしといてあげるよ。」


(へー、意外と可愛い所あるんだ……)



タイタス

「えーー……と……そろそろ銃を……やっぱり撃つんだぁぁっ!!???」



ジュリエット

「だからもう大丈夫だってばっ!!

アンタを撃ったりなんかしないわよっ!!

ほら、降ろしたでしょ???」



タイタス

(た、助かったぁぁぁ………)


「……そっか、君が大丈夫で良かった、本当に……。」



マクベス

「よしよし、怖かったね。ほら、ジュリエットも。

あっ、君の髪、ふわふわしてるんだね。」



ジュリエット

「ふぇっ!?ちょっ、ちょっと、あのっ!!?」



マクベス

「あっごめんごめん。もしかして勝手に頭撫でられたり、触られたりするの嫌だったかい?」



ジュリエット

「えっ!?あっ、あのっ、べっ、別に嫌じゃないんだけど……その、あのっ、ちょっ、ちょっと……嬉しいな……って思っただけで、てぇ!?

違うっ!!そんなんじゃないんだからねっ!!かっ、勘違いしないでよねっ!!」



マクベス

「うんうん、分かった分かった。よしよし。」



ジュリエット

「う"ーーーーーーっ!!

そんな事より何時いつまでじゃれあってばっかもいられないでしょうっ!!」



タイタス

「それもそうだね、ジュリエットの言う通りだよ。

とりあえず皆、この箱から出てみようよ。」



NC②

3人は【棺】から出て、地面に降り立って辺りを見渡した。

薄暗い光に照らされた空間に3つ【棺】。

其処そこに敷き詰められた花々と中央の白い机が見える。

君達は慎重に部屋の中を調べ出す。

始めに調べたのは君達が出てきた【棺】と敷き詰められた花々だ。



タイタス

「この箱……どうやら硝子ガラスで出来ているみたいだね。

蓋に名前が刻まれてる……【Titus(タイタス)】……これ、僕の名前だ。」



ジュリエット

「本当だ、アタシのにも名前が刻まれてるわ……【Juliet(ジュリエット)】って。」



マクベス

「こっちもだよ……【Macbeth(マクベス)】……ワタシの名前だ。」



ジュリエット

「それぞれに名前が刻まれてるけどアタシこんな箱なんて知らないわよ?」



マクベス

ワタシもこんな趣味の悪い箱なんて身に覚えはないし、知らないな。」



タイタス

「2人共覚えがないのか……実は2人と同じでこの箱に入った記憶がないんだ……これは一体どういう事なんだろう……?」



NC①

3人はそれぞれの名前が刻まれた【棺】をじっくりと見つめた。

【棺】に触れてみると、どうやら分厚い硝子硝子で出来ていて、その表面はザラザラとしたほこりが積もっている。

次に貴方達は【棺】の中に敷き詰められた花々に目をやる。

赤、黄色、ピンク。

色とりどりのその花々はみずみずしく、ついさっきに摘み取ったのだと言わんばかりに美しく【棺】の中で咲き誇っている。

近付けば花の香りもただよって来そうね。



ジュリエット

「皆、それぞれ違う花が敷き詰められてる……箱の中にある花ってまるで……」



NC②

そう言いかけてジュリエットは口を閉ざす。

何故なぜなのか?

それは口に出さなくとも分かってしまうからだ。

皆、同じ事を思ってしまったからだ。

そう……まるで……



【葬式】のようだと。



タイタス

「………僕の花は……【アザミ】か。

うわぁ……このアザミ、イバラが付いてる。

横になってた時は全然気が付かなかったけど目に刺さって怪我しなくて良かったぁ。」



マクベス

ワタシの入っていた花は見た所、【カーネーション】か、しかも黄色の……これを入れた奴は趣味が悪いな……」



ジュリエット

「趣味が悪いってどう言う事???全然綺麗じゃない。」



マクベス

「黄色のカーネーションの花言葉は【拒絶】と【軽蔑けいべつ】なんだ。

一体この花を入れた奴はワタシにどんなイメージを持っているんだか……」



タイタス

「僕の方に入ってたアザミの花言葉は【人間嫌い】と【報復】か……どう言う意味で入っていたんだろう……?」



ジュリエット

「アタシの、これは確か【ゼラニウム】って花ね……

花言葉は【疑い】……何でアタシのに入ってたか、分からないわね……」



NC①

3人は【棺】の中に入っていた花を見つめながら考え込むが、何も思い浮かばなかった。

それどころか、何故なぜ自分達の花言葉が分かったかすら、分からなかった。

3人は同時にめ息をこぼし、【棺】から離れて中央にある白い机へと向かった。



タイタス

「これ以上考えたって何も分かんないし、次を調べてみようよ。」



ジュリエット

「そうね、調べるとしたら部屋の真ん中にあるこの白い机かしら?」



マクベス

「……この机……何か変じゃないか?」



ジュリエット

「変?何処どこにでもありそうな普通の机じゃない、何が変なの?」



タイタス

「ホントだ……この机だけ全然埃ほこりが無い……僕達が入っていた箱には沢山埃ほこりが積もっていたのにそれがこの机だけ無いなんて不自然だ。

まるで誰かが掃除した後みたいな……」



マクベス

「その誰かさんはご丁寧にも手紙を置いてくれたみたいだね。

……これは中を読めって事なんだろう……」



ジュリエット

「じゃあアタシが読むわ。

えぇっと……字が所々、かすれていて読みにくいわね……」



マクベス

ワタシも手伝おう。1人で読むより2人で解読した方が効率が良いし。」



タイタス

「僕は2人にお願いしようかな。

2人が解読している間は他に異常が無いか周りを警戒しておくよっ!」



ジュリエット

「ありがとう、マクベス。それと頼むわよ、タイタス。」



マクベス

「いえいえ、どういたしまして。

助かるよ、タイタス。よろしく頼むよ。」



タイタス

「了解っ!!任せてっ!!」



NC②

そう言ってタイタスは2人の背後に周り、辺りの警戒しながら見渡した。

その一方でマクベスとジュリエットは手紙の中に書かれた文字を読み取ろうと、目をこらして解読作業を続けた。

かすれた文字に悪戦苦闘する事、10分後。



ジュリエット

「えぇっと……なになに……あっ!何とか読めそうよっ!」



タイタス

「本当っ!?!?何て書いてあるの???」



マクベス

「【May god bless upon on your sins and the mercy(メイ ゴッド ブレス アポン オン ユァ スインズ アンド ザ マーシー)】……って書いてあるね。」



タイタス

「んん???どう言う意味なの???さっぱり分からないけど???」



ジュリエット

「訳すると【しゅなんじ罪科ざいかと憐みを祝福せり】ってなるの……。

うーーん、この手紙自体、古い羊皮紙で出来てて字も赤いインクで書かれてるけど、だいぶかすれて読みにくかったけど不思議と変な感じなかったのよね。」



マクベス

「つまり【カミサマ】ってのがワタシ達の罪と憐みを祝福するよ、やったね、良かったねって事なんだけど……でも、もっと深い意味があるようにも取れるんだけど……駄目だ、ギブアップ。

お手上げだよ。」



タイタス

「でもとにかく情報があっただけでも一歩、進展したんだから良かったじゃないかっ!!

そうだっ!!さっき辺りを警戒しながら見渡していた時に気が付いたんだけど部屋の奥に扉を見つけたんだよっ!!」



ジュリエット

「じゃあ、そっちに行ってみましょうっ!!

やっと外に出られるぅぅぅぅっ!!」



マクベス

「どうだろう……その扉が本当に外に繋がっていたら良いんだけど……」



タイタス

「まぁまぁ。まだ分からないんだし、確かめなきゃ。

あっ、この手紙は一応持っていけるけど、どうする?」



ジュリエット

「えーー、これと言ってこの場所についてのヒントになる事は書いてなかったし置いていって良いんじゃない?」



マクベス

「タイタスはどうしたい?ワタシは君に任せようと思うのだけど。」



タイタス

「うーん……じゃあ僕が持っておくよ。」



マクベス

「そうかい、じゃあお願いするよ。」



NC①

そう言ってマクベスは手紙をタイタスに渡し、3人は部屋の奥にある扉へと向かう。

暗がりの中で重々しい分厚く黒い大きな鉄の扉が目の前にあった。



ジュリエット

「風が吹き込んでる……もしかしてこの扉、見た目よりも軽いんじゃないかしら?」



タイタス

「よっ……せぇぇぇっ!!……はぁっ……だ、駄目だ、開かないや。」



マクベス

「ん"ーーーーっ!!……ワタシも駄目だ、ビクともしないな。」



ジュリエット

「2人共、根性足りないんじゃないの?

こんな扉………おりゃぁぁぁぁぁぁっ!!

ホラっ!!開くじゃないっ!!」



タイタス

「ぅ……うわぁ……す、凄い力持ちぃ……」



マクベス

「マジかよ……女の子……だよね、本当に???中身オッサンとかじゃないよね???」



ジュリエット

「さぁて!!

……って……何よその目は?言いたい事あるなら言いなさいよっ!!」



タイタス

「えっ、あっ、いっ、いや……そのっ…っ!?皆静かにっ!!

……何か聞こえない……?」



NC②

開いた扉の先からは風の音に混じって小さな小さな、か細い音が聴こえてくる。

3人はその音に耳を澄ませて聴くと、それがオルゴールの音だという事が分かる。

薄暗い闇に響くオルゴールの音は何処どこか不安を煽る事もなく、ただ単調なメロディーが流れるだけだった。

3人は恐る恐る扉の先に足を進めると所々にボンヤリと蝋燭ろうそくによって明りが灯っている長い長い螺旋階段が其処そこにあった。

階段のそばまで来ると、そっと下を覗き込んだがその先は暗い闇によって支配され、見る事は出来なかった。




さて……この先に一体、何が彼等を待ち受けているのでしょう???




その答えは次回の【物語ストーリー】で明かされていくでしょう……




今暫しばし、お待ち下さい……。







NC①

 第 忌血いち話 【目覚めと花言葉】




~終演~




────to be continued(トゥ ビィ コンティニュード)……───

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