第肆拾壱話:幼馴染監禁阻止作戦

俺はあることを思い出して、家を出て行こうとすると父さんに呼び止められた。


「悟!ちょっと待て!!」


俺は振り向かずに質問した。


「父さん、前世での和田校長先生がやらかした事件覚えてる?」


「急に何を・・・ああ、前世のちょうど今日と同じ日に起きた女児監禁だろ?そして監禁された女の子の名前は杉村真紀。父さんも呼び止めようとして不意に思い出した。」


「それが実際に起きるかもしれないんだ。」


「たしかにあれは、本当は布田月教頭が起こした事件だって後に発覚したが、だからと言ってこの後世でも起こるとは考えにくい。」


「たとえ多少歴史が違っていたとしても俺や家族のほとんどが・・・そしてクラスメイトや先生までもが前世とほぼ一緒だった。」


「むう。」


「起こりうる事象が完璧に違ったことなんて俺が介入した事柄以外は、真紀ちゃんが貧魔で倒れたことぐらいだ。」


「たしかに・・・わかった!父さんも協力しよう!!皆にはうまく伝えておくよ。そこで待ってなさい!」


「わかった!」


―――古明地水樹視点―――


俺は先ほど悟との会話内容を嘘も交えて簡潔に説明した。


悟の担任の先生は悟や俺たちが記憶を保持したまま異世界(別世界の日本)から転生してきた人だとは知らないからな。


「・・・なるほど、たしかに以前から校長の座を狙っているっていう噂がある布田月ならやりかねんな。あいつは、目的のためならどんな手を使ってでも達成するって言われているし・・・。」


「信じてくれるのか?七海先生。」


「ハイ、今までの彼に対する悪い噂は彼を嫌う者の噂程度に聞いていましたが、和瑠男の授業態度や布田月家の取り巻きが起こした事件を目の当たりにした以上、信じざるを得ませんからね。私も悟君に協力しましょう!」


「おお!ありがたい。協力者がいてくれるととても助かる!」


「パパ!私も行く!!足を引っ張らないからお兄ちゃんのお手伝いさせて?お願い!!」


いつになく恋美が真剣だ。危険だからと頼みを無下にすると嫌われちゃう・・・それだけは嫌だ!!


「よし!恋美、今日はパパと一緒にお風呂に入るというのならばついって言ってもいいぞ?」


「ウウ・・・ぐぐぐ。じゃあ、約束して?入ってるときは変なとこ触らないように!」


ヨシ!言質は取ったぞ!!FOOOO!!今晩が楽しみだ!


「ああ、もうあんなことはしない。約束しよう!」


「あなただけじゃ色んな意味で心配だから私も行くわ。」


「おいおい・・・。」


「旦那様、運転はわたくしにお任せください。」


「セバスチャン。」


「わたくしもお供させていただきます!」


「私もお手伝いさせていただきますニャ!」


「ミーシャ、メーニャ・・・役者はそろったようだな。」


―――主人公視点―――


俺は再びドアが開いたので振り向くと玄関には家族と七海先生が立っていた。


皆何故か覚悟を決めた顔をしていた。


「と、父さん・・・どうだった?」


「喜べ、悟!ここにいる全員でこれから起こるであろう真紀ちゃんの監禁を阻止しに行くぞ!!」


俺は満面の笑顔で頷いた。


「みんな、ありがとう・・・ありがとう!!」


待っててね真紀ちゃん、これから起きるであろう監禁地獄から君を救い出して見せる!

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