第8話、おだやかな昼寝
まじねむ。
差し込む柔らかな光に照らされる、木の温もりがあふれたリビング。
ふっかふかのベージュのおおきなソファに、うさぎ姿のシロさんと寝転がっています。ふああ。つやつや、さらさら。滑らかな灰色は幸せの色。
私の上で、呼吸に合わせて微かに上下する温かな生き物に、たまらない愛おしさを感じている。
「なんだヨ。俺もおまえのぬくもりガどうしようもなく愛しイ」
シロさんに手を伸ばすと、ぎゅっと、左腕を握り返してくれる。
2人だけの、会話もない、静かな時間。
右手でシロさんをゆっくり撫でると、余計に温かくて滑らかで、ふわふわな手触りが右手から全身に、幸せになって、何かを満たしてくれる。
「気持ちいイ」
「はい」
言葉がいらないぐらいに、2人の距離が近づいている。
たまらなくなって、呼びかける。
「シロさん」
「愛してル」
突然、シロさんは真面目な顔で、私の顔を覗きこみます。
潤んだ、大きな茶色のおめめに、戸惑っている私が映っている。
「愛してる」
そう言って、シロさんはキスしてきました。
小さな手で、私の顔を抱きしめて、真剣に。
「シロさん」
「お前は?」
自信ありげな強気な口調とは、裏腹に。
どこか不安気なシロさんが愛おしい。
「内緒で」
「バーカ。バレバレだっテの。お前は俺が好きなんだヨ」
お互いに笑いあって、ぎゅって抱きしめる。
バレバレでもいいから「あなたといたい」。
「なに人の気持ち聴いているんですか。まだわかりませんよ。でも、シロさん」
改めて、この口の悪い、ちょっぴりエッチなグレーなのにシロと名乗るイケオジなうさぎさんを見つめる。どこまでも強気で、寂しげな瞳の人。
「私の「魔法」、シロさん、受け止めてみますか?」
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