第2話:そう・・・じゃ〜告るね。

で、俺と瑠奈は付き合うことになった。


で、最初のデートから、いきなりだと引かれると困ると思ってスケベ心を封印してじっと我慢した。

で、二回目のデートでハグとチュー。

で、三回目のデートで俺のマンションにご招待して姉ちゃんに紹介。

で、四回目のデートで、姉ちゃんがいない時に俺のマンションにご招待して・・・

結局なにもできずに終わる。


つまり瑠奈とはまだエッチできてないんだ。


でも俺は幸せだった・・・こんな可愛い彼女ができて世界一幸せ者だって

浮かれていた。

でも、この世に神も仏もUFOもいないと俺は思った。


最初、彼女が亡くなったって聞いた時、俺は理解に苦しんで脳みそがその

事実を否定した。


しばらくは信じられないまま、また「おはよう」って彼女がひょっこり現れるんじゃ

ないかって思ってた。

一応は瑠奈のお葬式には行ったが、火葬場には辛くて行けなかった。


それからの俺は抜け殻状態。

なにもする気が起きない、飯も喉を通らない、学校も行きたくない、トイレも行きたくない、屁もでない・・・出るのはため息ばかり。


姉ちゃんからは


「あんた落ち込んでばかりいたらウツになって干からびて死んじゃうよ」


って言われる始末。


で、今朝も、姉ちゃんから、しなびたナスって言われて学校へ行けって言われた。


だから俺はしぶしぶ学校へ行ったんだ。

でも授業なんか受けても先公の声が耳に入らない。

だから俺は授業をサボって、瑠奈に告られた屋上に上がった。


教室もそうだけど瑠奈の匂いや面影が残ってる場所にいるだけで気持ちが落ち

込んだ。

だからこの屋上だって本当はいるだけで辛いんだ。


「瑠奈・・・お願いだから、もう一度俺に告ってくれよ」

「頼むよ・・・帰って来てくれ・・・もう一度おまえをこの腕に抱きしめたいよ」


「そう・・・じゃ〜も一回告るね」

叶多かなた・・・よかったら瑠奈と付き合ってくれる?」


「え?」

「待て待て?空耳アワー?」


俺は声がしたほうを振り返った。


「やほ、叶多かなた


「やほって・・・?・・瑠奈?」

「やほでないわ・・・ってか・・・おまえ死んだんじゃ?」


俺は瑠奈にしか見えない瑠奈をまじ彼女かどうか確かめた。


「おまえ、なんでここにいるんだよ」

「死んだはずだろ?・・・なんで生きてんだ?」


「うん・・・死んでるよ、私・・・お風呂場で頭打って・・・」


「だけどぉ、帰って来ちゃった・・・」

「だからね私、今は幽霊なの・・・」


「帰って来た?」

「え?帰ってきたって・・・どこから?・・・どうやって?」

「幽霊ってまじで?・・・待て待て待て・・・把握するまで待て」

「だってさ、俺霊感ないのに瑠奈が見えるぞ、はっきり」


「それはきっと叶多が瑠奈のこと愛してくれてるからだよ」

「私も叶多に会いたかったし・・・未練いっぱいでのんびり死んでなんか

いられなかったの」

「だから帰ってきちゃった・・・」


「だからどうやって?・・・そんなに簡単に帰れるもんなのか?」


「あのね、あの世の三途の川の手前に川を管理してる施設があって、そこで

亡くなった人の名前と帳簿合わせしてる「馬草把 礼奈衣うまくさわ れないさん」って名前のサラリーマンみたいな管理人のおニイさんがいてね」


「そのおニイさん、以外とイケメンさんで・・・」


「そんなこと、どうでもいいから・・・」


「あ、ごめん・・・でねそのおニイさんに私の悲しい部分だけピックアップして

プライバシーな話をしたの」

「したら同情買ってくれて、ほんとはルール違反なんだけどしばらくの時間なら

現世に返してあげてもいいよって、そう言ってくれたから黄泉の国から現世に

走ってる幽霊電車に乗ってここまで帰って来たの」


「幽霊電車?・・・え〜・・・まじでか?」


「まじでまじで・・・だからただいまだよ、叶多」


馬草把うまくさわさんは、しばらくの間って言ったけど、私、黄泉の

国にはもう帰らないからね」

「でもその時点で向こうの規則破っちゃってるから見つかちゃったら罰を

受けなきゃならないかも・・・」


「それに私、生きてる時アリンコいっぱい踏み潰してると思うし、」

「台所のゴッキーもかなりぶっ潰しちゃってるし・・・」

「・・・だから、それもプラスされてもしかしたら地獄行き決定かもね」


「慌てない子だな・・・瑠奈は」


「向こうには帰るつもりないから安心してね」

「また仲良くラブラブでいようね」


つうわけで、俺の彼女、まさかの幽霊になって帰ってきちゃったよ。


「なんでもいいや、このさい幽霊でもいいわ・・・・ずっと俺のそばにいてくれ〜」


そう言って俺は瑠奈をハグしようとした・・・そしたら俺は彼女をスルッと

すり抜けた。


「え?ハグできないの?」


「幽霊だからね、私の体はもう火葬場で焼かれてどこにもないからね」


「なに?ってことはチューもエッチもできないってことか?」


「あのね、馬草把うまくさわさんが教えてくれたんだけど・・・幽霊でも

気合と根性で実体化できるようになるんだって・・・」


「頑張れば完全実体化も夢じゃないって・・・」


「今の所私、気合と根性で5分くらいは実体化できるからハグやチューくらいは

できると思うんだ」

「でも5分しか持たないからエッチはできないね・・・」


「完全実体化って?・・・生き返るってことか?」


「そこはちょっと違うかも・・・」


「どっちにしたって瑠奈が実体化できないとエッチできねえのか・・・」


「大丈夫だよ、私、気合と根性で完全実体化してみせるから・・・」

「絶対、私に触れることができるようになってみせるからね」


「ちなみに完全に実体化するのってそれってもしできたとしていつのこと?」


「そんなの分かるわけないでしょ」


つづく。

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