第60話 救うため

「ふわぁ〜〜〜〜」

「ちょっとアンタ、あくびを控えなさい。」

「いや〜だってここ極楽やもん〜」

コユキはハンモックの上でうたた寝をしようとしていた。

「もっと謙遜なさい。」

そう言いつつも女王はお菓子をすすめる。コユキは嬉しそうにお菓子をムシャムシャする。

「ワシ、ヒメちゃんと婚姻届出そかな」

「フン」


「なぁヒメちゃん」

「何?」

「ヒメちゃんは、二人おるよな」


「………」


「夢の中ののヒメちゃんと現実のヒメちゃんやねんな」


「………」


コユキはハンモックから降りる。


「今、ワシの前に居るのは夢のヒメちゃんやな。」


「何故…分かった………」


「わかるで。ワシ、ヒメちゃんのこと好きやもん」



「わからないわ……私には………私は…」



私はロボットだ。操られるロボットだ。博士の言いなり。博士が私の中で命令すると私はその通りに動かなくちゃいけない。だから人に酷いことをしたりしてしまう…でも…博士が今どこにいるのか知らない。…そんな私がいい子に…優しくなりたいっていう…夢をみているんだ。


「博士はなんでも作れる。人だって消せる。」

「ガッツリ黒幕やんけ」

コユキは一呼吸おいていから女王に話しかける。

「なぁ、ヒメちゃん」

「なに…」


「ワシらがみんなを救うで」


「は?…何言って…私は今まで酷いことを…夢が覚めたらまた…悪い子よ…」


「ええで」

コユキは微笑む。そしてこう言う。



「ワシが殺す」



コユキはナイフを取り出す。



「さぁ!!!夢から覚めるんだ!!!女王!!」



女王は俯く。そして目覚める。




「お前を殺してやる」

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