第6話:いつのと変わらないストロベリープライム。

今日も今日とてストロベリープライムは古都華の群を抜いたそのビジュアル

目当てにスケベ男がやってきて店はつつがなく繁盛していた。


古都華は、相変わらずツンデレ古都華で客とコミュニケーションをとっていた。


あとこの間のマッチングアプリの殺傷事件以来ちょっとした事件を解決していた。


うちは皿や食器が割れても元に戻してくれる子がいるから便利だ。

って言うか、時間がきたら全部元にもどるんだけどね。

ま、その繰り返しだけど・・・。


そんなことができるならゴミを金に変えてくれよって思うけど・・・そういうこと

は古都華はそう言うことはしてくれないんだよな。

彼女は曲がったことや不正は嫌いだから・・・。


働かずに金持ちになったら身を持ち崩すって古都華は思ってるんだ・・・なかなかしっかりしてる。

その辺は適当でいいのに。


店も一段落して客が途切れたので店を閉めて俺は古都華を飯にでも誘おうと思った。


「なあ、今晩、飯でも食いに行かないか?・・・俺と」


「どうしようかな〜・・・当然マッケンのオゴリだよね?」


俺は、いつの間にか古都華からあだ名をショートカットされてマッケンって

呼ばれるようになっていた。


「おう、俺のオゴリでいいぜ・・・」


「でも男子が女子をご飯に誘う時って下心ありありでしょ?」


「バカだな・・・俺はそんなこと考えてないよ」


「そんなことって、なに?」


「え、そんなことだから、そんなことだよ・・・イカガワシいことなんて

考えてないってことだよ」


「誤魔化して・・・マッケンの考えてることなんて、どうせエッチいことに

決まってるわ」


「なに言ってるんだよ、じゃ〜飯やめるか?」


「やだ、行く、行く」


下心か・・・下心だらけだけどな・・・だから晩飯に誘ったんだよ。


考えてみたら、けっこう古都華とは一緒に働いてるって言うのに・・・。

俺たちの関係ってなに?


古都華からしたら店長の息子、それだけなのかな。

いち息子といちメイド。


普通、毎日顔合わせてたら少しくらいは愛とか芽生えても不思議じゃないだろ。

俺は時々、古都華にボールを投げてるんだけどな・・・。

古都華が鈍いのか、それとも知っててスルーしてるのか・・・。


まあいいわ・とにかく飯食いに行って後はその場の雰囲気だな。


店が終わって俺たちは晩飯を食べに出かけた。

その晩、俺ははじめて古都華の私服を見た。


黒のキャミに、白のショートパンツ。


「わ、なに・・・なに私服してんだ?」


「いつもメイド服だから・・・たまには、こういうのもいいかと思って」

「マッケンを誘惑しようと思って・・・」


「え?・・それまじで言ってる?」


「まじまじ・・・」


心臓ばくばく・・・急激にアドレナリン放出。


それから俺たちは晩飯を食いに・・・ってそんな上品な店じゃなくて

焼肉じゃ、焼き肉、精力つけにゃ・・・女子って焼き肉好きだよね。


腹一杯焼き肉食って、さ、これからどこへ行こうか・・・って思った。

とりあえず俺たちは商店街をぶらぶら歩いた。


「マッケン、私に手を出したら殺すからね」


うそだろ、ここまで来てそれはないだろ。

あいつが目覚めてるんだ・・・


「頼むから今だけは普通の古都華に戻ってくれよ〜」


「うっそ〜・・・うそだよ・・・ひっかってバーカ」

「でもそんなに簡単には落ちないよ、私は・・・」


「てめえ、おれをコケにしやがって」


「あのさ、マッケン・・・」

「あんた、ベランダに干してあった私のパンツ盗んだでしょ」


ドキッ・・・・。


「え?そんなことしてないけど・・・」


「あのさ・・・下から危険を冒してわざわざベランダまで登ってきて

人のパンツ結んでいくやついる?

「犯人はスケベで私に気があって、で一番身近かな人・・・」


「マッケン以外考えなれないよね」


「つい出来心っていうやつでさ・・・」

「返すから・・・」


「いいよ、そのパンツ私だと思って大事にしてね」


「え?それってどういう意味だよ」


「もしマッケンさえよかったら、付き合ってあげてもいいかなって

思ってたりしてね・・・」

「前からマッケンが私に気があるのは見え見えだったから・・・」


「俺はさ、その言葉が聞きたかったんだよ、古都華・・・」

「晩飯に誘ってよかったわ・・・」


古都華はさりげなく俺と手をつないだ・・・恋人同士みたいに。


ってわけで、俺は古都華にちょっとだけ近ずけた気がする。

でもさ、彼女とは、あまり深い関係よりほどよい距離、ほどよいスキンシップが

なぜか俺には心地よかった。


そんな訳でストロベリープライムは、いつものようにどM男子どもが

こぞって店にやってきて古都華のツンデレに萌えていた。


つづく。


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