第4話:胡散臭そうな客。

で、今日も今日とてストロベリープライムは古都華のおかげで繁盛していた。

メイドのウェイトレス一人じゃ、まかないきれないこともあった。


俺が出て行ったらメイドカフェじゃなくなるからな。

俺は厨房にいたほうがいいんだ。

古都華に寄生した有機体ゼルは店に来る客がみんな男ばかりだったので

げっそりしていた。


「なんでヤロウしか店に来ないんだよ」


寄生されてる古都華は愚痴を漏らした。

ゼルも一応男だから、異性にしか興味がないんだろう。

地球の女は異種族と言えど女は女なんだろう。


うちの店にはさまざまな客がやってくる。


今から数時間前・・・。


そいつは朝、店をオープンすると同時ぐらいに入ってきた。

今日ひとり目の客だった。

陰気臭そうで胡散臭そうな男だなって俺は思った。


まあ、胡散臭そうな客は数え切れないほど来るけどな。


客は適当な席を見つけて、座ったがどこか落ち着きなさそうにしていた。


「いらっしゃい、ほいメニュー」


その客に水とおしぼりを持って行った古都華は無造作にメニューを客の前に

ほうって無愛想にそう言った。


その客なんか、どこかで見たことあるような男だなって俺は思った。

だから客に注文を取りに言ってカウンターまで帰ってきた古都華をつかまえて


「あの客、どっかで見たことあるような気がするんだけど・・・」

「古都華、知ってるか?」


「知るか、あんな客・・・」


「あんな客って・・・相変わらず愛想悪いな・・・」


「ふん」


「そうだ・・・なんかテレビで指名手配されてたヤツに似てるんだ・・・」


「テレビ・・・?」


「あ〜婚活パーティーなんだかマッチングアプリなんだかで知り合った女を

殺したとかって言う・・」


古都華は、あまり関心なさそうに大あくびをした。


「緊張感のないやつだな、おまえは」


「そんなに、あの客が怪しいって思うんなら直接本人に確かめてみたら

いいでしょ」


「そんなことできるか」

「もし、殺人犯だったら凶器とか持ってたらヤバいし・・・」


「私があの客に聞いて来ようか?あんた殺人犯?って・・・」


「そんなのおまえ、人殺しって聞かれて素直にそうだって言う奴いるか?」


「ここで、うだうだ言ってたってしょうがないじゃん?」

「殺人犯なら、ちょっと締め上げたら白状するでしょ・・・」


「そんなことして、逆に人違いだったらどうするよ」


「殺人犯か人違いか、どっちなのよ?」


「そうだよな〜犯人だったら見逃すわけにはいかないしな・・・」

「俺、おやじの血を引いてるせいか見て見ぬふりとかできないタイプなんだよな」


「マッケンジー、おまわり呼ぶか?」


怪しげな客は終始、貧乏ゆすりをしていた。

俺が余計なことを言ったせいかとうとう古都華は客のところに言って話しかけた。

古都華も俺と一緒で見て見ぬふりできないタイプなんだ。


つづく。

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