第11話 内政スタート

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2024年1月23日の近況ノートに

大陸イメージ図がございます。

あくまでも位置関係を示していますが

あるとないとでは大違いですので

今後、位置関係に迷ったときにご利用ください。

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 ともかく、刺繍したハンカチを受け取ってしまった上に、その「お父さん」に交際を認められてしまったのだ。


 もう、いまさら変えられない。それに、ふたりとも性格も良い美少女だもん。本人だけなら、お付き合いするのに何の不満もないよ。それが普通だ。


 メリッサと王都デートをしたし、メロディーともデートした。


 ファースト・デートでは、家格に見合ったプレゼントを渡すのがマナーらしい。ミィルから教わった。公爵家の愛娘にデートでプレゼントするなんて、いったいどうしたら良いんだよって、マジで悩んだよ。


 一つだけ思いついたものがあったんだ。そして、それはどうにもヒットしたらしい。良かった。


「なんて素敵なんでしょう! マヌス・キュア爪のお手入れに、このような素晴らしいものがあるなんて。それになんという深い色なのか。ため息が出てしまいますわ」

「なんか、オパールの粉末が入ってるんだってさ」

「え? オパールを粉末にしてしまうのですか? 何という贅沢な、そんな高価なものを。それにそもそも宝石を粉末にするなんて、ものすごく手間がかかりますわ」


 メリッサちゃんは、最初は喜んだけど、後半は心配顔になってしまった。


 本当に良い子だよなぁ。


 この場合、メリッサちゃんは「高価なものだから嬉しい」んじゃなくて、マニキュアという点で喜んだということ。そして、宝石の粉末が使われてると聞いて「伯爵家が、そんな高価なものを渡して、大丈夫なの?」って心配してくれるわけだ。


 良い子なんだけど、うちの貧乏さを心配されちゃってるみたいで、ちょっと哀しい。


 でも「無理してでもプレゼントしてくれた」という誠意(笑)は、受け止めてくれて、またまたお目々がハートマークになっちゃったよ。


 ちなみに、外箱は出入りの商人に作らせたんだけど、入れてあるのはコンビニ限定の「マニキュア」だ。


 コンビニ・コスメのシリーズは女子中高校生を狙ったヤツらしいけど、最初は大量に売れ残ったんだよね。ちなみに、二人には色違いで贈った。


 パッケージングが変わって販売戦略が変わったせいか、今では普通に売られているけど、最初はぜんぜん売れなかったんだよなぁ。バックヤードに大量に積み上がってたけど、捨てるときに中身と分離しろとか言われて、ウンザリしたのは泣けるぜ。


 ついさっき、侍女を実験台にして「こうやって」と見本を見せると、メリッサは目を輝かせたさ。


「こんな素敵なもの、見たことがありません。これだけしっかりしていると、ひょっとして、しばらく落ちないのでは?」

「数日は落ちないと思うよ」

「え! そんなに保つのですか! まさか、その間、ずっとこんなに素敵な色を保っていられるんですか?」

「まあ、だいたいは」


 たぶん、大丈夫だよね?


「どうかな? これなら、君に使ってもらえるかな?」

「もちろんです! あの、このを塗った手は、ずっと、ショウ様がエスコートしてくださるんですよね?」

「えぇ、もちろん」


 怜悧な美貌なのに、ポッと頬を赤らめるあたりは、やっぱりお年頃の女の子だ。


 とりあえず、プレゼントは気に入ってもらえたってことで、王都デートは大成功ってことでいいよね。


 でもさ……


『すげぇ、ガチガチの警備じゃん』


 周りをふっと見渡すと、見えてる警備だけで100人以上がいる。これが外周や影のように密かに監視している人達も入れたら、軽く見ても倍になるよね。


 しかも、ちょっと店に入る時も、絶対にそばから離れないボディガードが2人と侍女数人。


 後で父上に聞いたら、高位貴族の侍女達だけに、この子達も日常的に格闘訓練をしているらしい。ただし、それは「暗殺者を撃退するんじゃなくて、代わりに殺されて時間を稼ぐため」なんだって。


 公爵家の侍女って、たおやかな美女ばかりだけど、壮絶な使命を持っているんだね。ってことで、お別れ際に、侍女達にはキャラメルを数粒ずつ渡しておいた。


 それ以来、オレへの待遇が良くなったことは言うまでも無い。


 ともかく、周り中に目が張り付いている。


『これじゃあ、キスなんて、いつまで経ってもできないよなぁ』


 そりゃ「恋人だと公認された美少女」相手だもん。キスくらいはしたいよ。でも、常に人の目があるんじゃ無理にきまってる。


 そんなモヤモヤに気付いたんだろうか?


「ショウ様?」


 真っ赤な顔したメリッサが耳に口を寄せてきた。


「私の部屋なら、人払いできますので」

「マジ?」

 

 コクン


 その後は恥ずかしがって、メリッサと話ができなくなっちゃったけど。うん、できる限り早く彼女のお家に行ってみよーっと。


 あ、コンビニのマニキュア程度が、何で、そんなに受けるのかって?


 それはだね、この世界の化粧品には「マニキュア」っていうのが無いんだよ。伯爵夫人である母様ですら、苦労して植物の汁を煮詰めた液体を塗っていたからね。


 当然、そういうものは剥がれやすい。だからパーティーの前に塗って、中座しては、お付きの者が必死になって塗り直して、乾かすってのを繰り返すか(ドライヤーは無いから扇ぐんだよ!)はたまた、特殊な動物の皮を使って爪を「ツヤツヤに磨く」ってのがせいぜいなこと。


 基本的には「つやつやに磨く」が主流だった。


 多くの貴族の女性達は「爪」には苦労していたんだよ。


 だから、この作戦はメロディーにも使えるだろうって思ったら、やっぱり期待通り。


 あの黒髪に顔を隠すようにして囁いてきたよ。


「今度、我が家で夕餉などをご用意いたしたいです。もちろん、そのまま、我が家にお泊まりください。父は、その後、出かけると申しておりました」


 ええええ! いいの?


 コクン


 そりゃね、オレだってお年頃だもん。そんなの、弱いに決まってるじゃん。


 ちなみに、デビュタントをすませてから、側仕えのミィルのおかげで大人になっちゃってるからね?


 オレだけが特別なんじゃなくて、貴族の男の子はデビュタントの直後に、そうする習わしなんだよ。そうしないとハニトラに引っかかり易くなっちゃうから必須の儀式なんだって。


 え? 感想? そりゃ、あの、その…… 「あ、あの壺だ。あれは良いものなんだぁ!」って言ったら、ちょっとヤバいかな? 笑


 まあ、だからと言って、ホイホイ、公爵様の家に行くわけにも行かないと言うのが辛いところ。本人達が望むとしても、それなりの「手続き」があるからね。


 いったん領地に戻ってからのことになるから、早くても3ヶ月後だろう。下手をしたら王立学園に入った後になるかもしれない。となると、半年後……


 うわぁあああ、堪えろ、堪えるんだ、オレの煩悩達!


 まあ、さ、メリッサもメロディーもすっごく良い子だ。美少女だし。それに、色々とフワフワでデカいし。


 え? フワフワなら、デカいだろうって? 大事なコトだから、2回言ったに決まってるじゃん!


 とにかく、後で色々と問題が起きるにしても、目下のところ大きな問題は「恋人」ではないのは明白だった。


 問題は「所有物」の方なんだよ。


 今朝だって、起きるときに、一悶着あったんだ。


「もう、朝ですよ? 稽古の時間ですよぉ」

「ん?」


 モニュ、モニュ


 なんだ? こ、この凄まじい弾力は…… ん? ミィル? いや、そんなことは聞いてないし……


「あんっ、そこぉ。んっ、たしかに、ショウ様のものですから、いくらでもいいんですけど、どうせなら、夜、ゆっくり、どうぞ」


 わっ!


 ベッドからパッと脱出。


 ヤバい。朝はヤバい。オレのが無自覚に元気だから、絶対にヤバい。


 卒倒しそうなほどにテンパるオレの顔を見ているのは、チョコンと布団から顔だけ出してる美少女だ。


「アテナ様!」

「だ、か、らぁ、ボクに『様』なんていらないし!」


 なにしろ、ボクッ子属性を持っている美少女だ。こうやって、ツイッと唇を尖らせてみせる表情は絶品なんだよ。


『なんてカワイイんだよ!』


 アテナ様は、剣さえ持ってなければ、ひどく可愛らしい雰囲気なんだ。


 前世で言えば、イタズラ好きの図書委員って感じだ。そんな子が、火の出るような剣技と、燃えるような赤毛を持ち合わせてるんだぜ?


 ギャップ萌えしないヤツなんていないだろ?


 しかも、だ。


 世話好き属性が混じっていたらしくって、本気で「所有者のお世話」をしたがるんだよ。


 エルメス様、ちゃんと管理してくださいよ~


 泣き言も言いたくなる。


「だから言ってるでしょ。侍女のマネゴトなんてしないでくださいって」

「侍女じゃないも~ん。ボクはあなたの所有物だも~ん。このくらい当然でしょ?」


 イタズラな笑みを浮かべて、テヘッと言ってみせるのは、わざとだろう。それだけに、逆に、そのあざとさが可愛すぎるんだよね。


 あの試合から、ほとんど我が家に居ついてしまった。エルメス様は、サラッと「すでに、そちの所有物である」なんてうそぶいて、置いていってしまったんだもん。


 だから我が家の食卓にはアテナ様が並ぶのが普通になってるのが現状だ。


 それだけならまだしも、毎晩、気軽にベッドまで入ってくるんだ。どうにかこうにか追い出すんだけど、オレが寝てると、いつの間にか入ってくるんだから、どうにもならない。


 一昨日なんて、湯浴みを世話する侍女達にシレッと混ざっていやがった。


「大丈夫。父上も、兄上も、ボクの前でシャワーするのは普通だったから。あ、6歳からは別に浴びるようになったから安心してくださいね。ボクを見て良いのは、所有者様だけですから」


 そんなことを言いながらオレのをヤワヤワ洗ってくれちゃったりして。


「へへへ~ ショウ様って、お元気ですねぇ~」

「くっ、ち、ちがう。これは、男の子だから仕方ない…… って! だから! ダメだってば! ほら、みんなアテナ様をここから連れ出して!」

「ふふふ。ダメですよぉ。みんな、仲良しになっちゃったんでぇ」


 気が付くと、は、ほんのわずかに気の毒そうな顔をして目を伏せただけで、淡々と湯浴みが続いてる。


 ミィルが「さ、大人しくなさってくださいね」とニッコリ。


 お前、いつの間に「敵」に回った?


 するとミィルは、笑顔で言ったんだ。


「私どもも、将来のことを考えます。家の中を取り仕切るのがどなたになるのかを考えれば、しかも、こうして、お役に立てることでもありますので、どちらのお言いつけを聞くか。当然、こうなるのではないでしょうか?」


 つまりは、アテナ様を、夜中にオレの部屋に入れてるのもミィル達ってことかよ。


 ちなみに、クリスも、リーゼもとっくに仲良しになってるから、すでにだ。


 味方がいないじゃん!


 クリスがかろうじて「たまには一人で寝かしてあげて」って。それ、アテナがいるのが前提の優しさだよね?


 と、まあ、家の中は、そうなってしまった。マジで、毎晩、理性を試されてる感じでピンチなんだよ。


 あ、ちなみに、アテナ様にもマニキュアは贈ったけど、現実を受け入れて「水仕事用のハンドクリーム」も贈らざるを得なかった。


 ふ~


 こうして、御三家の令嬢達とを通じちゃったオレだけど、ともかく一度領地に戻るのは、絶対条件だったんだ。

 

 それは「デビュタントをすませた挨拶」のため。


 貴族にとっては大事なコトだ。特に男子は次世代の領主として顔をつなぐという意味合いもあるので、絶対に疎かにできない事だ。


 領地では一族を招いてのパーティーや、周辺貴族への挨拶をすることになる。まあ、辺境貴族なんかだと「王都の流行」を持ち帰るのも大事な役割らしいけど。

 

 とまあ、そういうことにして、3人に挨拶と贈り物をきちんとしてから、そそくさと領地に戻ったんだ。なお、アテナには「領地にいる間は、エルメス様の下にいること」ってをして、やっと引き取ってもらった。


 ふう~


 それから馬車で2週間。


 その間、あれこれやりながら戻ると、早速、御用商人のブロンクスから連絡が来ていた。どうやら、準備ができたらしい。


 さ〜て、と。


 貧乏伯爵家を「金持ち伯爵家」にするため、頑張りますか。




現在のステータス

・・・・・・・・・・・

【ショウ・ライアン=カーマイン】

オレンジ・ストラトス伯爵家 長男


レベル 6(NEW!)

HP 62(NEW!) 

MP 64(NEW!)

スキル SDGs(レベル2) 

【称号】無自覚たらしの勇者


★☆☆☆☆ ゴミをMPと引き換えにランダムで呼び寄せられる

★★☆☆☆ 見たことのあるゴミを指定して呼び寄せられる←今、ここ

★★★☆☆ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

★★★★☆ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

★★★★★ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

・・・・・・・・・・・


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

作者より

レベルアップの理由はよくわかりません。アテナとの一戦が役に立ったのか?

はたまた、公爵3人に認められたこと自体が経験値になったのか。

なお、この世界には「魔物」は存在しません。


夕方、更新します。


おかげさまで、★★★が3桁になりました!

でも、この3倍必要です。この先の学園編、動乱編までご覧になりたい方は、どうぞご協力をお願いします。

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