私は悪役令嬢マリーナ! 魔法とモフモフ達に囲まれて幸せなので、王子様は嫌いのままいてください。
にのまえ
プロローグ
3度のご飯も好きだけど、乙女ゲームが1番好き。
不仲な両親は滅多なことがない限り、家には帰って来ず、中学生の頃から一軒家にひとり暮らし。そんな私を楽しませてくれたのが乙女ゲーム。
もう、どっぷり、乙女ゲームの沼にハマっている。
毎月の生活費はどちらかが振り込こんでくれるし。高校に入学してからバイトもはじめ、新作の乙女ゲームはほぼ毎月追えて、節約料理だっていくつか覚えた。
大、大好きなジャガイモを特売の日にスーパーで買いだめして、電子レンジでレンチンしてから冷凍保存しておけば。いつでもコロッケ、ポテサラ、肉じゃがといったジャガイモ料理が作れる。
でも1番好きなのはファストフードのフライドポテト、ハッシュドポテト。お菓子はポテチ、蒸したじゃがバター、カリカリに焼いたガレットは群を抜いて好き。
今日もコンビニのバイト帰り、作り置きで食事、お風呂をサッと終わらせて「遊ぶぞ!」とベッドに飛び込み。ポテチを片手に乙女ゲームを遊び、寝落ちするのが日課。
こんなに、乙女ゲーム漬けの生活が長いからか。
……
……ん、眩しい?
眩しい光を感じて瞳を開けた瞬間、飛び込んできたのはキラキラな世界。おお、今夜はどの乙女ゲームの夢の中かな? とゲームの夢をみてしまう。もうゲームの夢を見るのも慣れたもんで、呑気に私は自分の容姿のチェックからはじめた。
(このふわふわなストロベリーブロンド、赤毛、ジンジャー色ともいわれる髪は『魔法学園、私はあなた達と恋に落ちる』の悪役令嬢マリーナ・カッツェだ)
そして、このブルー色のドレス姿は学園生活の終わりの舞踏会。なになに私って、今宵の舞踏会で婚約者の王子に婚約破棄されるのか、楽しみ。ウキウキとドレスをひるがえして、まだ会場に来ぬ婚約者とこのゲームのヒロインを、料理を眺めながら待つことにした。
(このお肉はローストビーフ? こっちは白身魚のムニエル。私の好きな、ジャガイモを使った料理はないみたい、残念)
「すみません、このローストビーフ厚切りでください」
「かしこまりました」
コックから、分厚いローストビーフがのったお皿を受け取り、近くのテーブル席についた。この世界が夢だって知ってるけど、見ちゃうとついつい食べたくなる。
フォークとナイフで一口に切って、ソースをつけてパクッと食べた。
(お、お肉の味がわかる)
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