第3話女子力高くないと女性の輪には入りづらい

四人揃ってレストランで会計を済ませると歩いて駅まで向かうことになる。

「買い物したいんだけど…」

彼女らに問いかけるように尋ねると全員が頷いて応えた。

「何を買いたいの?」

桃園若菜はほろ酔い気分なのか柔らかな笑みを浮かべて目を細めていた。

「いや、家に特に何もないから。お客さんを招く準備も出来ていないんだよね」

「そうなんだ。同僚とか宅飲みに来ないの?」

栗林菜々子は話に参加するように口を開く。

「来ないな。同僚と飲みに行くときは外だから」

「そうよね。私もなるべく人を呼びたくない質だから…分かるよ」

柿田白菊も話に参加するように割って入るとウンウンと頷いている。

「この面子ならいつでも呼ぶんだけどね。気心知れた相手じゃないとちょっと心配でしょ?」

僕の不安な気持ちが理解できるのか彼女らはただ静かに頷く。

「じゃあショッピングモールで買い物して帰るって感じでいいのかな?」

桃園若菜は話をまとめるように全員に問いかけていた。

誰も拒否するような人間は居らず僕らはそのままショッピングモールで買い物を済ませて帰宅するのであった。



「入って入って。そんなに広い部屋じゃないけど…」

初めてこの部屋に女性を招くと彼女らは室内を観察するように見渡していた。

「あんまりまじまじと見ないでよ。そんなに掃除好きってわけじゃないから…。細かい所でボロが出る」

苦笑交じりに自虐のような言葉を口にするが彼女らは感心するように頷いていた。

「相当キレイな方じゃない?床に物は無いし。テレビ台にホコリが溜まっていることもないし。かなりキレイな方だと思うな」

桃園若菜が僕を肯定するような言葉を口にすると他の二人も同意していた。

「私の部屋よりもキレイかも…ってか物少なくない?」

栗林菜々子が困ったような表情を浮かべて女性陣に尋ねている。

「思った。最低限の物しかないって感じだね。そんなに物欲無かったっけ?」

柿田白菊が僕に尋ねてくるので何とも言えない表情を浮かべることとなる。

「う〜ん。何というか…貯金が趣味っていうのと…物が多いと掃除の時に苦労するから。昔住んでいた場所で結構面倒な経験したからね。最低限な物しか置いてないよ。あと定期的に断捨離するからね。数年間着てない服とかあったら高価なものでも売りに出したりしちゃうし…」

僕の言葉を聞いていた彼女らは少しだけ複雑な表情を浮かべている。

「なんか私達よりも女子力高くない?複雑なんだけど…」

桃園若菜が苦笑するのを目にすると他の二人も同様な表情を浮かべていた。

「でも女性三人の輪に難なく入っている時点で女子力は高いでしょ」

栗林菜々子の言葉で他の二人は納得したように相槌を打つ。

「それもそうだね。私達も負けないように女子力高めないとね」

柿田白菊のまとめるような言葉で全員が納得するとリビングのテーブルを囲むように椅子に腰掛けた。

「じゃあ飲み直しということで」

そんなわけで僕らの休日はまだまだ続く。

八年ぶりの再会に話題は尽きることもないのであった。

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