桃栗柿八年待った結果…彼女たちは僕を信じられないほど大好きになっていた件
ALC
第1話八年の月日で人は変わる
僕には三人の幼馴染がいる。
この三人と僕は幼稚園の頃から高校生までずっと同じ進路を歩み続けていた。
沢山の思い出もあるし、少なからず僕は三人を平等に好いていた。
それが恋愛感情だったかは定かではない。
いいや、そうじゃない。
僕はきっと誰か一人を選ぶのが怖かったのだ。
そうすることで他の二人よりも選んだ人を特別視していると言うことになる事実に目を背けたかったのだ。
だから僕は高校卒業で進路が別々になるというのに誰にも告白すること無くそれぞれの道へと進んでいくのであった。
僕らはそれぞれの進路へと進んでいく。
僕は遠くの大学に通って一人暮らしをしていた。
様々なことがあった大学生活ではあるのだが…。
話の本筋とはあまり関係がないのでここでは割愛することを許して欲しい。
無事に就職をして四年が経った時のことだった。
高校卒業から八年…。
僕らは偶然にも再会を果たすのであった。
本日は新入社員の歓迎会を兼ねて花見に訪れていた。
若い社員が場所取りに専念しており僕らも遅れてその場に訪れることとなる。
もちろん参加費を取るのだが、勤続年数の長い人が多めに出すという暗黙の了解が存在していた。
幹事の人間に参加費を回収されると会社の花見は始まった。
新入社員が自己紹介がてらに一発芸のような催し物を行っている中で僕は人混みに酔ってしまい少し離れた静かな場所に足を向けていた。
大きな桜の樹の下だと言うのに人の存在が確認できずに僕は一人で疑問を抱いていた。
「毛虫注意!」
そんな看板が建てられており僕は納得すると毛虫に注意しながら酔を覚ましていった。
ふぅと息を吐いた所で四方から人の足音が聞こえてきて僕らは再び顔を合わせることになる。
「桃園…栗林…柿田…皆…ここで何しているんだ?」
久しぶりに目にする幼馴染は明らかに垢抜けてキレイな美女へと変身している。
八年ぶりの再会に胸を踊らせていると彼女らも偶然出会ったようで驚いていた。
「人ごみに酔っちゃって…」
誰かが言った言葉で僕らは共感するように頷いて応える。
「また再会できる気がしていたよ」
誰だったかそんな言葉を口にすると自然な流れで全員がスマホを取り出した。
連絡先が変わってしまって、どうする手段も無かった僕らは再び連絡先を交換する。
「今日は新人歓迎会だから…また今度飲みにでも行こ」
「うん。私もだから」
「それね」
「同じく。またね」
しばらくその場で時間を過ごすと三人は酔が覚めたのかシャキッとした表情を取り戻すと元の場所へと戻っていくのであった。
ここから八年間待ち続けた彼女らから超溺愛される人生は始まろうとしていた。
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