第一章・のんびり旅の始まり始まり。
第6話 目が覚めたら進化していた。
激痛から目覚めたら、種族が変化していた。
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名前:コネコ 性別:女 年齢:二〇
種族:白猫族(魔人)
Lv:一二〇
経験値:〇〇〇一/一二〇〇
体力:一二〇〇/一二〇〇
魔力:一二〇〇/一二〇〇
器用:A 運気:A 知力:S 精神:A
スキル:疾走/A 木登り/A 穴掘り/A
範囲警戒/A 収納/A 統合/A
解放/E 武術/F 隠形/B
固有:魔眼(鑑定・石化・簒奪/S)
体力自動回復/A 魔力自動回復/A
簒奪:風魔法/C 水魔法/C 土魔法/C
炎魔法/F 魔力糸/F 魔力視/F
耐性:毒無効(○) 魔法攻撃/F
物理攻撃/F
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年齢は前世と同じ物になり、性別がメスから女になった。種族は白猫族かつ魔人という。
驚き過ぎて口調も変化したし!
「魔人ってなに? ああ、魔物から人型になった者? それか人から魔物に変化した者と?」
魔人の部分を認識したら説明文が見えた。
ご丁寧に魔物だった事が消え失せたけど。
Lvは一二〇に増えていたがそれだけだ。
「このままだと裸で闊歩することになるよね」
別に恥ずかしいという気持ちはない。
魔物だった頃から、毛皮で覆われた裸も同然だったのだから。今更、前世の人間だった頃の羞恥心など、紛失してしまったも同然だった。
「とはいえ毛という毛が頭と耳、尻尾のみになったから少し寒いかもね。ここは一つフェンリルの毛皮を用いて衣服でも生成した方がいいかもね。それと下着も一緒に作っておこうかな」
動き回る際に胸が揺れると困るから。
それなりに大きくなった私の胸は自由度を増して触れるだけでぷるるんと揺れていたのだ。
「前世では得られなかった大きな胸。まさか魔人になって初めて得られるなんて皮肉過ぎる」
腰回りも大きく育ち、タワシの無い股間が少し寂しかった。それもあって下着もといパンツの生成は必須となるだろう。転生して猫として本能のままに用を足してきたが、今後は場所を選ばないといけないのは困りものではあるが。
「その前提でアレが出たならどうしようもないと。とりあえず大きさだけ鑑定してイメージして作るしかないよね。下は九〇、上は八五と」
カップ数はうろ覚えだからはっきりとは言えないがEカップはあると思う。前世が断崖絶壁だったから、カップは覚えても仕方ないと、見て見ぬ振りをしたのは大間違いだったかもね。
結果、柔軟性のあるミスリル製のブラとパンツが出来上がった。それを身に付けた私は、
「意外としっくりくる? 少し派手だけど問題はないかな。あとはフェンリルの毛皮で適当なズボンと上着を用意しないとね」
続けて、尻尾穴のある黒いショートパンツと、キャミソールのような黒い上着を用意した。
出来上がりは毛皮とは思えないほどの質感で温もりがあった。当然だけど異臭も無かった。
「今の容姿がどんなものか分からないから水魔法で簡単な鏡でも・・・うそぉ!?」
水鏡を作ると目の前に美人が居た。
短い白髪、白い耳、白い眉。
青い瞳が印象的な美女だった。
目元は猫ならではの切れ長で、鼻も高い。
口元は八重歯が出ているが妙に絵になった。
「こ、これが私? 前世の印象ゼロでしょ」
本当に驚くほどの容姿に変わっていた。
猫の容姿が分からなくなるほどに。
というか猫の時の容姿は本当に分からないけど。自分の姿すら見ていないしね。生き残るために一生懸命だったから、でもあるけれど。
何はともあれ、急に人型になってしまった以上はどうしようもないと諦めた。一応、戻る事も可能なようだが、その時は裸が必須なのでいずれ戻ろうと思った。作った服が勿体ないし。
そうして大蜘蛛の巣から地上に飛び降りた私は周囲を探索しつつ森の外を目指した。
「魔物達が怯えているね。Lvはともかく魔人が誕生したからかな? というか元々魔人になるだけの素質があったのかもね。言葉を解していたし。もしかしてフェンリルの目的って?」
魔人になろうとしていた、とも取れるよね。
魔人になるには相応のスキルが必要みたいだけど、それを複数の個体で集めていたのかも。
なお、途中で催した時は隠形しつつ用を足した。水魔法で洗浄したのち風魔法で乾かした。
「手が汚れなくて済むからいいけど、魔力の無駄な使い方だよね、これ」
それでも必要なことなので諦めた私だった。
「ああ、そうだ。寝床用の毛皮はあるかな?」
その道中、寝入るための毛皮の有無を確認したところ、元々の毛皮はそのままだが、衣類だけで一八頭の毛皮が使われていた事を知った。
「寝る時だけは、木の上にハンモックでも作って横になるしか無いかな。勿論、屋根付きで」
それを作るスキルは今のところ無いが、衣類生成を応用すれば、なんとかなると思った。
タオルのような物を拵えればいいからね。
後は森の無い場所、草原とか荒野の場合はハンモックではなくテントを拵えるしかないが。
「そうなると材木も必要数だけ、確保しておいた方がいいけかもね。加工は風魔法でどうとでもなるし。竈を作った時の燃料でも使えるし」
そんな事を呟きながら適当な木を切っては収納スキルに片付けていった私だった。私の後には禿げ山かというほど木々が消滅していたが。
§
そうして森を抜けると草原だった。
「見渡す限り緑の草原かぁ。隠れる場所が無さ過ぎて詰んだ」
遙か遠方にはフェンリルの別集団が居た。
「ああ、あの手の魔物は何処にでも居ると?」
とはいえ私のLvを感じ取ったのか、遠巻きに眺めるだけで簡単に近づいては来なかった。
「魔人相手に喧嘩を売るバカではないのね?」
私はあてもなく草原を進む。
喉が渇いた時は材木でコップを作り、水魔法で飲料水を作って飲んだ。少しずつ舐めるよりもこちらの方が断然早いね。すぐ喉も潤うし。
しばらくすると空腹に見舞われたので、
「ここらで休憩を入れようかな。草原だけど土魔法で耕して延焼防止を施す。真ん中に土で竈を作って材木の欠片を落とし込む。炎魔法を種火として着火して、火種の準備完了っと」
オーク肉を取り出して切り刻み、材木で作った串に刺して焼いた。生肉もいいけどそろそろ串焼きも食べたかったからね。塩が無いから多少は諦めるが肉だけの風味でも十分だと思う。
「焼けたかな〜。すっごい良い香りだね」
私はオークの串焼きを手にとり口に運ぶ。
「あちっ。ああ、猫舌だったよ。フーフー」
少し熱いので呼気で冷ましたのち頂いた。
「はむっ・・・モグモグ。ん〜! 美味しい! 生もいいけど、串焼きの方が最高っしょ!」
今回はオークの右脚を食べた。
残りは左腕と左脚、腰だけになる。
玉は串焼きにしても食べたいとは思えない。
何処かしらで売れるなら売った方がいいね。
最後はサラダ用途としてゴブリンの魔石を舐めつつ一息入れた私だった。
「肉のあとに野菜の風味かぁ。これはこれで有りだね。口の中がサッパリするし」
デザートはスライム魔石も鑑定して舐めた。
「風味はスイカだぁ。毒は媚薬っぽいけど」
媚薬がスイカとは何ぞって感じだね。
丁度、昼過ぎだったこともあり、
「早速テントでも張ろうかな。このまま歩いてもいいけど、あてのない旅だしね。ここらでのんびりするのもいいでしょ」
材木を加工したのち簡単なテントを作って設置した。テントの布はミスリル製なので簡単な攻撃ならば防げるだろう。糸も強靱なので切れない。風で飛ばされないよう注意して張った。
「最後に毛皮を敷いて中でゴロゴロしよっと」
満腹でもあるし、少しくらい寝てもいいと思う。一応、マーキングではないが、テントの周囲に私の唾液を垂らしておいた。匂いに反応する魔物だと近寄りそうだが魔力糸を周囲に張ってあるので仮に近づいても餌食となるだけだ。
(たちまち、危機感を持つような魔物は周囲に居ないし、少しだけでも休もうかな?)
生きるために必死になっていた反動か、私はそのままテント内にて眠りについた。
その対応が、幸か不幸か余計な者達を呼び寄せるきっかけとなったのは言うまでもない。
§
寝るだけ寝て起きるとテントの周囲が騒がしかった。
(フェンリル? いや、人語が聞こえる?)
私は毛皮を収納スキルに収めたのちテントの出入口から外を覗き込む。そこでは三人の人族が居てギャーギャーと騒いでいた。
「う、うごけねぇ」
「か、頭、無理ですぜ」
「い、一体なんなんだ」
それは見たところ盗賊の類いのようだ。
おそらくは銀色の布地に惹かれてやってきたのだろう。金目の物を持っていると思ってね。
私は盗賊達を鑑定したのち落胆した。
(ああ、めぼしいスキルを持っていないなぁ)
私は面倒だったので草原へと穴を掘って魔力糸で捕まった盗賊共を生き埋めにしてやった。
「な、なんだ!?」
「頭、助けて」
「お、俺だって助けて欲しいわ!」
「そんなぁ」
このままフェンリル達に餌として与えた方がいいだろう。私は不味そうなので食べないが。
(もう、ひと眠りするかな。今はまだ急ぎの旅ではないしね。人族も慌てるほど強くはないみたいだし、このまま、放置しよ)
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