第4話 気がついたら楽だったにゃ。
その後、オークの魔石と上半身だけを食した私は眠気に襲われ大木の上へ登ったのだった。
「今日の眠気は今まで以上にゃ」
これもLv一〇〇の魔物を狩って食べたからだろう。都度、鑑定しながら食べていたが経験値が急激に増えただけで大した変化は無かったね。これらの経験値は上書きするように見えて部分的に置き換えているようにも思えた。
その結果がこの眠気だとしたらLvアップは寝ている間に起きているということだろう。
(生まれて数日しか経っていない仔猫だもの。眠気に襲われるのは仕方ないね)
私はフェンリルの毛皮に包まりながら眠気に身を委ねたのだった。
§
目が覚めると少し見え方が変化した。
それは包まっていた毛皮が小さく感じられたから。あとは全体を通して毛並みが変化した。
「身体が育ってるにゃ。白い体毛が艶やかになってるにゃ」
小さかった尻尾もそこそこ伸びていた。
なので改めて鑑定してみると、
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名前:コネコ 性別:メス 年齢:生後八日
種族:ホワイト・ピューマ(魔物/成体)
Lv:五〇 経験値:〇〇一/五〇〇
体力:五〇〇/五〇〇
魔力:五〇〇/五〇〇
器用:D 運気:C 知力:S 精神:A
スキル:疾走/B 木登り/B 穴掘り/C
範囲警戒/A
固有:魔眼(鑑定・石化・簒奪/S)
体力自動回復/A 魔力自動回復/A
簒奪:風魔法/C 水魔法/C 土魔法/C
収納/S 剣術/F 体術/F
耐性:毒無効(○) 魔法攻撃/F
物理攻撃/F
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驚いた事にLvアップしていた。
五〇というと先日のフェンリルの長と同じくらいだろうか。あとは仔猫から成体に変化していた。それでも生後八日の表記だけは一日増えた程度なので少し困りものである。
スキルのランクもFからSの物まであった。
収納スキルはオーク肉を収めたままだからランクが上がったのかもしれない。
「魔法攻撃と物理攻撃だけは攻撃を受けない限り育ちそうにないにゃ。痛いのは嫌だからなるべく避けたいにゃ」
だとしても得た以上は育てたいのも必定で。
この辺は攻撃されてから考えようと思った。
私はフェンリルの毛皮を収納スキルに片付けた。肉と同じ場所に置くのは気が引けたがそろそろ拠点を変えないと不味いと思ったからだ。
範囲警戒で把握すると複数の個体が迫りつつあったのだ。それは人なのか魔物なのか分からない。人でも魔物でも今の私には脅威でしかないので逃げるが勝ちである。
(範囲反射の感じではフェンリルみたいね)
懲りずに追いかけてきたところを見ると、あのオークが敵対関係にあったのかもしれない。
オークが居なくなった途端にこれだからね。
それでも奥の魔物を警戒してか知らないが少しだけ速度が落ちた。
(逃げるなら今しかないわね。今はまだ戦っても五分五分だから完全な勝ちを得るにはスキルが足りないわね。せめて火魔法は欲しいかも)
そのスキルが得られるかは分からない。
分からないが運気に期待するしかない。
私は木々の枝を飛び移りながら、主の居る地点に近づいていく。これ以上寄ったらダメだという場所まで近づいて、一息入れた。
(切り株を風魔法で切り取って削って器に)
水魔法で飲み水を生成して木の器に入れる。
ペロペロと舐めながら水分補給を行った。
「オーク肉の右腕だけ出して食べるにゃ」
そのうえで遅い朝食を行った。
昨日と同じく甘い生肉だった。
品質保持とは物が腐らない機能なのだろう。
(それなんて便利過ぎるわね。狩れるだけ狩ったら魔物の魔石も中に収めておけばいいかも)
いざという時、捕食して経験値を得ればいいのだから。昨日のオークも魔石を舐めると経験値が少しずつ増えていったもの。
肉だけでは得られない仕組みなのだろう。
舐めないままだと増えてすらいないけど。
「身体が大きいから食べるのも楽だにゃ」
小さいままだったなら一苦労したものね。
全て食べ終え一息入れるとガサガサと物音が響いた。私は咄嗟に範囲反射を行使する。
(これは・・・人型の魔物? 複数居る。オークより小さい?)
そのまま木に登り枝の上から監視した。
そこではゴブリン共が武器を持って歩いていた。木の棍棒とボロボロの直剣、槍もあった。
(武器持ちの魔物かぁ。とりあえず鑑定!)
いざ戦うとなれば、色々と対応に困るので鑑定してゴブリン共の状態を丸裸にしてやった。
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名前:なし 性別:オス 年齢:一五
種族:ゴブリン(魔物/成体)
Lv:二〇
経験値:〇九九/二〇〇
体力:二〇〇/二〇〇
魔力:一〇/一〇
スキル:火魔法/S 生殖/S
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お? 火魔法持ちが居た。
生殖スキルはネズミ算式に増殖するゴミスキルだろうからパス。これもオークと同様に繁殖重視で人の女性が苗床になるだけだろうから。
Lv二〇前後が五匹だった。
どれも同じようなスキル持ちなので生殖以外を根こそぎ奪ってやった。知性すら存在しない魔物だからか奪われた事すら気づいていない。
これが上位種になると知性持ちのような気がするが、今は気にするだけ損である。
私は襲われても困るので、
(そのまま丸焼けをイメージしてゴブリン共へとドーン!)
木々に燃え移らないようにゴブリンだけに火魔法を使ったのだった。ゴブリンの肉もガリガリで不味そうだから食べたいとは思えないし。
消し炭となったゴブリン共に近づいた私は中から緑色の魔石を収納スキルで全て回収した。
(この方法は・・・凄い便利かも!)
私の白い毛並みが汚れるよりマシだしね。
「解体不要で済んだにゃ」
そして魔石を取り出して舐めると、
「緑だからってキュウリって何故なのにゃ?」
青臭い風味が口の中に拡がるだけだった。
匂いはしないのに風味がそれってどうなの?
低位の魔物を狩ると経験値こそ増えるがLvアップには繋がらなかった。
その後の私は森の中を駆け回りゴブリンを発見してはその度に石化も同時に行使してみた。
(Lvアップしたからか完全石化が可能になったわね。魔石だけは対象外みたいだけど)
そしてキュウリ味魔石を四〇〇個確保した。
その際に収納スキルの個数表記は個体名毎に変化する事も判明したのだった。
§
主の近くで森を駆け回り、スライムとゴブリン、オーク等も石化で固めていった。今は魔石だけが欲しいので他の肉やらは後回しとした。
それにオーク肉は有り余っているので無くなった頃合いに確保すればいいしね。
すると今度は巨大なイノシシと遭遇した。
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名前:なし 性別:メス 年齢:二
種族:スキル・ボア(魔物/成体)
Lv:二八八
経験値:〇〇〇一/二八八〇
体力:二〇〇〇/二八八〇
魔力:二八〇/二八〇
スキル:炎魔法/F 統合/S 解放/S
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何やら面白可笑しいスキルを持っていた。
種族名の通りスキルに特化したイノシシなのかもしれない。年は若いがLvが高く、それなりに戦ってきた森の猛者でもあるのだろうね。
身体中に複数の切り傷が存在していて体力も有り余っているようだった。
(確か、簒奪はLv制限が無かったよね。高かろうが低かろうが何故か得られたし。仮に簒奪系統を持つ者が現れたら、レジストされるかもだけど、今のところは居ないのかな?)
なので今回も獲物として狩らせていただく事にした。オーク以外の豚肉も欲しかったしね。
「Lvは高くとも魔物は魔物にゃ」
そうしてスキルを簒奪したのち、水魔法で水没させた私だった。どんな魔物でも生物でも呼吸を止めれば終わりである。アンデッド以外。
そのまま水の刃を中に作りだして内部に浸透させたのち全ての血液を洗い流した。
「そういえばゴブリンが解体スキルを持っていたにゃ。それを収納に統合してみるかにゃ?」
この場でいちいち解体なんてしていたら他の魔物に襲われるからね。血の臭いはさせていないものの、何処でどう狙われるか不明だから。
(先のフェンリル共も懲りずに追ってきているし、統合するなら今しかないわね!)
私は見辛いスキル一覧を含めて統合した。
それと簒奪系統も使い熟せば自分のスキルに出来る事も判明した。収納に解体を統合した直後はランクが一つだけ落ちて表記も変わった。
剣術と体術も統合したら武術になった。
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スキル:疾走/B 木登り/B 穴掘り/B
範囲警戒/A 収納/A 統合/A
解放/E 武術/F
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魔法は全て揃っていないので簒奪欄に残しておいた。というか残す事しか出来なかったね。
(何かしらの制限があるのかもしれない?)
解放は不要なスキルを捨て去るスキルだ。
試しに重複した火魔法を選択すると炎魔法のみが残ったから。炎魔法の方が上位っぽいね。
統合後、水没させたイノシシを収納スキルに収めた。その結果、部位ごとに解体されて内部に収まった。不要な大腸と骨格だけは外に出して土の中に埋めた私だった。
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