男女関係
小説太郎
第1話
男は道を歩いていて、初めて会う一人の女に一目惚れをしてしまった。
その女は道に設置されたイスに座っていた。
“ めったにお目にかかることのない美人だから将来的に付き合うことを考えて声をかけてみるのが私の定めだ。” と男は勝手なことを考えた。
男は今の状況において使える最も効果的で且つ魅惑的なセリフを女に言った。
「 おねえさん、そこで今、何しよるん?」
女は冷ややかに「 何か用?」と言った。
「 いや~、できたら友達になりたいなと思って。」と男が言うと、女は黙ったままで視線をそらした。
「 けっこう釣り合ってないのは百も承知なんだけど、ひょっとしたら仲良くなれるかなと思ったんだけど、やっぱり無理なようだね。」
「 ごめんなさい。」
そのひと言で男が去ろうとすると、女は「 ちょっと待って、おにいさん。」と男を呼び止めた。
「 な~に?」と男がおどけて言うと、「 やっぱり向こうに行って。」と女は言った。
再び男が寂しげに去ろうとすると、「 やっぱりちょっと待って、おにいさん。」と言った。女は因縁にとらわれやすい側面を持っていた。
「 今日一日だけなら、付き合ってあげてもいいわよ。」
「 それは嬉しいけど、嬉しくないね。」
「 そんなこと言わないでよ。」
「 また会う機会があったら、またその日一日は付き合ってもらえる?」
「 その時の状況によるわ。男友達と一緒だったらダメね。」
「 何だ。そうか~。気が引けるね。」
「 どうする?」
「 ま、このまま家に帰って一人でビールやワインを飲む代わりにウイスキーを飲んでもしょうがないから、おねえさんと一日だけ付き合わさせてよ。」
「 いいわ。じゃあ、このへんの店を一緒にちょっと回ってみます?」
「 そうだね。」
二人はやや離れて歩きながら、行く店を探した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます