名門・聖エトワール女子学院

石狩なべ

第1話 高橋美代子


 懐中電灯の灯りを頼りに、足を進ませる。


「サダコさん」


 親友の名前を呼んでみるが、私の声が響くだけである。


(ああ……なんて寒い場所なのかしら……)


 私は辺りを見回し、塩をまいた。


(長くはいられない。早くサダコさんを見つけないと)


 この井戸に潜った時から、変な寒気を感じていた。一族の血のせいだろうか。ここの空気に対する体の拒否反応が凄まじい。


(大丈夫。私にもしものことがあったら……あの子が動いてくれるだろうから……)


 懐中電灯を向けた。


(サダコさんを捜さないと)


「っ」


 琴の音色が聞こえた。誰かが弾いているようだ。部屋に明かりが灯っている。誰かが琴を弾いている影が見えた。私はそこに入ってみた。そこで――少し話をして、部屋に札を貼った。これでしばらくは皆大人しくなるだろう。私はサダコさんがどこに向かったのかを聞き、そこの入り口を教えてもらった。


 扉を開けると、校舎に辿り着いた。教室があり、まるで学院のようだ。用務室で女子生徒が泣いていた。私は中に入り、彼女と少し話をした。教室に行くと、沢山の女子生徒がいたので、彼女達とも少し話をした。札を貼ると、みんな落ちついた。私はサダコさんがどこに向かったのかを聞き、そこの入り口を教えてもらった。


 扉を開けると、着物が多く飾られた屋敷に辿り着いた。廊下を歩いていた女子生徒がいたので、彼女と少し話をした。興奮気味だった彼女は話している間に落ち着きを取り戻し、私に道を教えた。


 私は念のため瘴気が放たれている部屋に札を貼り、彼女の案内の元、扉を開いた。


 その先はとても暗い場所だった。見たことがないほどの瘴気が放たれていた。私は何とか歩いていき、門の前に立った。


「サダコさん……」


 私は一人で門を開けた。




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