第五章「初めての校外学習」

第二十三話「リーダーの苦悩」

どうして私がこんな大役を……

それはエリナからのご指名だった。当然のごとく彼女がやると思っていたのに、あろうことか彼女はこう言ったのだ。

「学園に来て日が浅いファルナ様を除けば、アンタが一番身分高いじゃない」

「そうは言ったって……」

「アンタが入れようとしてる侍女のヴァレッタだっけ?あの子だってその方が喜ぶんじゃないかしら」

その言葉の通りヴァレッタは「それは素晴らしいことですわ、カルロ様」と褒め称えてくれた。

グループのリーダーを務めること。そこまではまだ良しとしよう。問題はもう一つの方だった。

昼休み、先生に報告しに行った時のことだ。

「言い忘れていましたが、リーダーにはグループ内でする野外遊びを決めてもらうので、よろしく頼みますね」

何故そんな大事なことを後になって言うのか。

口では了承したものの、内心頭を抱える。

グループ内でする野外遊びを決める。それは皆が楽しめるものでなければならない。

もし皆が楽しめなかったら、その責任はリーダーである私にのし掛かってくることになる。

下手したら周りからの評判もガタ落ちしてしまうかも。それだけは絶対に避けたい。

絶対に皆が楽しめる野外遊びを考えついてみせる。

私は一人決意を固めた。

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