小説・文章を書いたり読んだりするにあたって思うこと

日本語警察

「日本語は自由だから誤用だとか気にせずに好きに表現しろ、そうやって進化してきた」


 非常に頷ける言葉です。

 そう、言葉によっては。応援コメント欄で指摘するのはあれだけどよく見るモヤっとする表現の代表格を挙げてみます。ちなみに日本語の表現に厳しい人達のことを日本語警察とネットスラングで呼ばれますので見出しはそれにしました。以下は同じ内容で書かれたブログは山程あるので何番煎じかわかりませんが、あくまで個人的見解です。



 ・的を射る(まとをいる)


「要点を捉える」 という意味の言葉です。

 本来正しいのはこちらです。「的を得る」は誤用です。まぁ、誤用ではよく使われるし納得もできなくはないのですよ。的を当てた後に的が貰えるものってあるじゃないですか? お祭りの射的とか。今もあるんですかね、射的。ここ何年もお祭りに行ってないのでわからんです。


 というかですね、よくよく考えてみると的を射ただけではそれが上手くいっているかなんてわからないんですよね。何か射る前に当たっているかどうかわかる英雄みたいな人でもない限り。そういう意味では誤用の元となったと思われる「当を得る」の方が正しいように思えます。当たったぜ! って感じですしね。的は射抜かないといけないものです。ただ単に射ただけでは的を外している可能性もあるのです。う~ん、日本語って難しい。


 似たような言葉に「正鵠せいこくを得る」がありますが、元々は正鵠とは白鳥の形をした的です。時代が進むにつれ弓道の的の中心の黒点のことを正鵠と呼ぶようになりました。シューティングターゲットやダーツでは"bull's-eye"と呼ばれます。正鵠の場合は射るも得るも正しいそうなのですが得る、の例の方がやや多い気がします。弓道では得る、が使われています。

 多数決ではなんだか的は得るほうが正しいような気がしてきました。

 おい、日本語警察しっかりしろ! と思うかも知れませんがリアル警察官も法律に詳しくない人が散見されます。警察に不当な扱いを受けた人がいたら周りに相談しましょうね!



 ・足をすくわれる


 「足元をすくわれる」が誤用です。

「誤用だ誤用だ!」 これを使うとと岡っ引きが来かねません。しかし、そもそも「足をすくわれる」表現が自体が新しいようです。「足元」自体が曖昧な言葉であることから足元を掬われるのも言葉としては間違いではなさそうです。

 でもまぁ、足元って空間とか土台とかそのあたりも示します。足そのものを示すこともありますが何と曖昧なことか。日本語らしい日本語です。むしろ間違って使わせてやろうというような京ことばのような嫌らしさを感じます。(ディスってますが京ことば、大好きです)

 余談ですが柔道の技では足を掴んで投げる掬投すくいなげという技がありましたが色んな経緯があり禁止技となりました。「足をすくわれる」もその未来に誤用として扱われるようになるかも知れませんね。

 結局、どっちが正しいのこれ。警察をやっていく自信がなくなってきます。むしろどっちを使うのがいいのか迷ってしまいます。日本語の曖昧さ、いい加減にしろって思えてきました。とりあえず自分としては反則技になろうと、足元ではなく足を掬っていきたいと思います。でも柔道の技って対象は脚(胴体より下の部位全部)なんですよね。足(くるぶしより下の部位)も含むからいいのかな。もうどうでもいいです。諦めます。



 ・役不足


 これは本当に多いです。明らかに間違って使っている人がいるので使用時には注意しましょう。そして間違って使っている人にはこの言葉が届くことがないでしょう。だって貴方も日本語警察なんでしょう?

 役が物足りないのが「役不足」。

 実力が足りていないのが「役者不足」。

 間違えている人には予測変換という魔物に襲われている可能性もありますね。本当にあの魔物には困っていますが利用価値が高いのも事実。上手く付き合いたいものです。



 ・考えが煮詰まる


 これ、考えがまとまりかけている時に使う言葉です。おでんとか角煮の煮込み料理です。お味噌汁みたいに煮込みすぎてどうしようもなくなってるという感じの言葉じゃないです。

 ちなみに新しい辞書には「考えが行き詰まる」とかいう記載もあったりするのでジェネレーションギャップを生む原因にもなっています。これだから日本語ってやつは。年齢を特定しようとするなんてデリカシーが無さすぎます。



 ・おもむろに


 徐ろに。つまりゆっくり。やおら。いきなりって意味で使われがちですが意味が逆です。でも意味が逆だと小説の場合は通じてしまいますのでどっちの意味なのかわからなくて混乱します。作者の意図はどっち!?


 ・やむを得ない。

 止む(または已む)を得ない、なのですが、「やむおえない」勢が多いです。で「やむ負えない」も見かけます。「病む。負えない」という諦めを示す言葉なのかも知れないので一概に間違いとは言えないように思えてきます。



 ・「『誤用の多い言葉』エンターっと」(タァン!)


 あ~。間違って使ってた言葉多い~。日本語って難しいなぁ。

 ということで間違って覚えていたり使ってる言葉は沢山あると思います。読み方が間違っているなんてことも多々あります。慣用句の使い方などが間違っている場合、教えてください。本当に日本語って難しいですね。なろうでは誤字報告とかありましたけどカクヨムではないっぽいので作者にだけ見えるそういうの欲しい気がします。

「訂正後はこのコメントを削除して下さい」って書くといいですね、みたいに記載するといいんじゃないかと書いてらっしゃる方が居ましたが、素晴らしい気遣いだと思います。


 間違いは誰にでもあることです。ですが、よく使われる誤用だと人によって伝わり方が変わってしまうので個人的にも注意したいと思っています。伝えたいことが伝わらないというのは言語というコミュニケーションの中で致命的ですからね。でもこの面倒臭さが文字の魅力でもあると思うんです。


 ということで適当に書いてみました。私のように心の中に日本語警察がいらっしゃる方は、もしよければコメント欄で自分の気になったり気に食わない誤用がございましたら教えてください。

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