第8話 中間テストがもうすぐです
「えっと、5月に入ってもう2週間が経ってきて体育祭の練習盛り上がってきているとは思うが、その前に中間テストがあるぞ。来週の頭から3日間。時間割でたからしっかり確認して勉強しておくように。じゃあ、今日も一日頑張るぞー」
朝の
「おい琉生! 数学最終日だぞ! 激アツだぞ!」
「別に最終日でも他の勉強しなきゃだからあんまり変わらないと思うけど……」
「変わるんだよ! 心の余裕っていうかなんて言うか! てか、琉生! 数学と物理教えてくれねぇーか!?」
「それは全然いいけど……部活って今週からテスト休みだっけ?」
「そうだぜ! だからたくさん勉強できる!」
「じゃあ……今日の放課後残ってやるか。テスト前は6時まで教室で勉強できるっぽいし」
「おう! 絶対勝ち取ってみせるぞ……単位!」
「高校はそう簡単に落とさないよ」
「そうなのか?」
こうしてプチ勉強会が開かれることになった。龍は1年生の時からこんな感じだ。いつも勉強教えてくれーっていう割になんだかんだ基礎はできている。まぁ、数学に関しては本当に見当違いなことばっかやってるけどな。他は意外と地頭がいいのか、それともコツコツ勉強してるのか。そんなところも意外と好きだぞ。
黒板に貼られた時間割を写真に収め、席に戻ると、そこには花蓮と香澄の姿があった。
「ねぇ……琉生?」
「な、なんだよ香澄……ってま、まさか!?」
「時間割の写真ちょーだい♡」
「おい香澄! 時間割乞食やめろよ!」
「えーいいじゃん。人いっぱいいて行くのめんどくさいんだもん。ね? かれれん」
「まぁ、後で見に行けばいい気もするけど、琉生。4人のグループ送っといてー」
「はぁ……はいはい。まぁ、これはジュース案件だな、龍」
「だな。ジュースだジュース!」
「琉生ならともかくあんたは何よ龍!」
「別にいいじゃねぇかよ!」
「このジュース乞食が!!!」
「「あはははは!」」
俺と花蓮は2人の言い合いを見て笑った。それはもう気が付かないくらいに俺と花蓮の笑い声はハモリ散らかしていた。
そんなハモリを聞いた香澄と龍。一瞬にして静かになり、俺と花蓮のいるこっちを向く。
「……ん? どうした?」
「……ん? どうしたの?」
「なんかやっぱふたりって……」
「仲良いよねぇ……」
「「……!」」
俺はちらっと花蓮の方に目を向ける。まさに赤面。何を思ったのか俺の太ももに膝を入れてくる花蓮。
ぐはっ! なんで……なんだよ……!
キーンコーンカーンコーン
「あ、や、やばいわ琉生! 英語行かなきゃ!」
「あ、あははは……そ、そうだ。俺たち隣のクラス行かなきゃだ……」
こうして、俺と花蓮は教室を後にした。
「おい! なんでモモカン入れてくるんだよ!」
「そ、それは……なんかあんたが嬉しそうな顔してたから!」
「それだけかよ! てか……嬉しかったらダメなのかよ……」
「ダメじゃ……ない」
またもや赤面。可愛いそのお顔に見とれてしまう。
「……教室通り過ぎてるわよ」
「あ……」
「私の顔ばっか見てるから……バカじゃないの?」
「そーゆー花蓮だって気が付かないで通り過ぎてるじゃねーか」
「……」
「遅刻だな」
「遅刻だね」
俺と花蓮は首席の確認をしている最中の教室に遅れて入り、「「すいません!」」と、大きく謝罪をしてから授業に望んだのであった。
──────
「うわぁ……マジでわからん! 全部バツだ!」
「5日間も数学やってるの龍くらいだぞ多分」
「いいんだよ! 他は別に出来るし。物理も琉生のおかげで何とかなりそうだし」
プチ勉強会がスタートして5日が経ち、時はもう金曜日だ。この5日間毎日放課後教室に残って龍勉強をしている。まぁ、これが意外と楽しい。
「てか、琉生は今何やってんだ?」
「ん? 休憩」
「昨日からそんな感じに本ばっか読んでるけど……本当に琉生って天才なんだな」
「違うよ。あ、今は天才かもね」
「なんだよそれ! てかこの問題教えてくれ」
そう。俺は完全に元凡才だ。中学2年の時なんてクラスでは最下位を争うレベルでバカだった。よく先生に言われたものだ。幼馴染の花蓮はこんなに優秀なのに君はどうして出来ないんだってね。あの時はずっげぇムカついたし、逆に俺のバカさに落胆もした。その時手を差し伸べてくれたのが花蓮だったんだ。
「あんたバカだから興味ないと思うけど、私この高校行く。校則緩めだし、意外と頭もいいし。別に興味無いのは知ってるよ? でも私はここ行くよーってだけ。まぁ、意外と琉生って頭の出来は結構いいし、でもまぁ……興味無いならね? いいんだよ?」
本当に俺はバカだよな。この言葉を俺への助け船だと思っちゃったんだから。でも……この回りくどいお誘いのおかげで今の俺がある。俺が勉強できるようになる才能を中学の時から見つけてくれた花蓮は本当にすごいし尊敬出来る。
今となっちゃたまに勉強教えてくれなんて言われちゃうくらいだからな〜。本当に俺ってやつは……成長したな。うんうん。
その時、俺は急にあの日のことを思い出す。
「私さ……やっぱり琉生のことが好き。だから……私と付き合ってください」
……あぁ。俺はミスってんのかなぁ。中学の時から……俺をこの高校に誘ってくれたあの時から……好きだったのかなぁ。
俺は小学校2年生の時からずっと片思いだと思っていた。彼女が引っ越してきて1ヶ月くらい経ったあの時から。あの時も俺の事助けてくれてたっけなぁ……はぁ。昔話はもうやめよう。
そういえば咲さんとあの帰った日以来、俺からは何もしてないなぁ。LINEでは話すんだけど……やっぱ俺からもなんか言った方がいいのかな……
ピロピロ
誰かからLINEだ……
ピロピロ
また来た。誰だろう。多分咲さんだと思うけど……
俺は机に伏せて置いていたスマホを手に取り、時系列順にLINEのメッセージを確認した。
花蓮と咲さんだ……花蓮の方が先の通知……!
俺は2人からのLINEを見て変な汗が止まらなくなる。
「ん? 琉生どうしたんだ? チェーンメールでも来たか、今どき」
「ち、違うから……龍は勉強しとき……」
俺のLINEに来た2つのメッセージ。
かれん:日曜日空いてる?
都竹咲:琉生君! 日曜日って空いてますか?
あぁ……もちろん空いてるよ……
ここに来てどちらかを切り捨てなければいけないというミッションが現れたのであった。
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