青薔薇
@sakurawakaba
プロローグ
青薔薇
「僕を殺してくれないか?」
「わかった」
俺は近藤の首に両手を添え、ゆっくりと力を籠めて確実に気道を狭めていく。
生命と共に漏れ出してくる、不快な音。
俺はそれに耐えながら、近藤の中から全てが無くなるのをじっと待つ。それにしても、この涎と涙はどうにかならないものか。次からはゴム手袋を用意させないと。
そんな風に考えているといつの間にか、ことは済んでいた。
俺は自分の席に戻り、勉強を再開した。
「んー。スッキリしたー」
間の抜けた声が二人きりの教室に響いた。
「やっぱり死なねえか」
「うん、死ねなかったね」
近藤の首元には青い薔薇の模様が浮かび上がっている。その薔薇は、生から死という不可逆に抗い、死から生という不可能を可能にする。
「一度死ぬと頭がスッキリして気分がいいよ。ありがとう大木君」
「不死の呪いを便利道具みたいな使い方してんじゃねえよ」
「大木君がちゃんと僕を殺してくれないからじゃないか。自分の失敗を棚に上げて他人を批判するのは感心しないなあ。いつになったら僕を惚れさせてくれるのかな?」
「ほんとに死ね!」
「だから何度も言ってるじゃないか。僕は心から愛した人にフラれないと死ねない呪いにかかっているんだから。死んで欲しければ惚れさせてよ」
「こんな奴だと知っていたら、好きになんてならなかったのに」
「運が悪かったね」
「明日こそ、絶対にお前を殺してやる」
「楽しみにしているよ」
青薔薇 @sakurawakaba
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。青薔薇の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます