140字小説「愛してる」

秋錆 融雪

愛してる

硝煙が立ち昇る銃口

腹に空いた風穴から血と体温をこぼし息絶えて月夜の路地に転がる男

誰にも弔われる事の無い骸


彼女は芸術家だ

愛する者が己の手にかかり死ぬ行く様こそが至高の時間芸術だと信奉していた


傑作を見終えた彼女は

満足そうに顳顬こめかみに銃口を当てる


最愛の作品【私】を完成させるために

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

140字小説「愛してる」 秋錆 融雪 @Qrulogy_who_ring

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る