BLゲームに転生した俺、クリアすれば転生し直せると言われたので、バッドエンドを目指します! 〜女神の嗜好でBLルートなんてまっぴらだ〜

とかげになりたい僕

オープニング

転生先は選べない!

 あぁ、死んだのか。

 確か、友達と飯食ってたらクシャミして、その勢いがすごくて、全身の血管が破裂したんだったか。自分でもヤバいと思う。てか、友達に一生モンのトラウマを植えつけたかもしれん。

 すまん、我が友人よ。


「こんにちは〜」


 ここがどこだか知らないが、死んだとなれば、今俺の目の前にいるこの人は神様、いや女の人だから女神様になるのだろうか。女神様は薄いピンクの服を着ていて、それなりに美人なお人である。


「これってよくある転生出来ますよってやつですか」

「まぁ! 説明しなくて済むならラクですね〜。その通りです! なので、何か欲しい力や能力があれば、なんなりと言ってください〜」


 朗らかに笑って「説明求められたら困るとこでした〜」と、女神様は小首を傾げた。何度も何度も説明してきたんだろう。その大変さを思い浮かべて、俺は心の中で脱帽した。


「じゃ、モテモテになりたいなぁ。あ。あとはイケメンでおなしゃす」


 死ぬ前は彼女の一人すらいなかったのだ。接点のあった女の人といえば、母親と妹くらい。そんな妹ですら、中学に上がってからは話さなくなってしまった。

 まぁ、それも俺が妹の買ってきたゲームを見つけたからなんだけど。


「うんうん。やっぱり私の目に狂いはありませんでした」

「うん? 何か言った?」

「いえ何も。では“誰からも好かれる能力”を付与して転生させますね。これは永続ですので切ることは出来ません」

「おぉ! いつでもどこでもモテモテってわけか」


 ワクワクしてきた。女神様はニヤつく口元を必死で隠すようにして、何かを紙に書いている。そうして書き上げた頃、


「ではでは! 新しい人生、楽しんできてくださいね〜」


と悪魔のような笑みで送り出されたのだ。もちろんその意味がわかるのは、もう少し先のことになるのだが。


 気づけば俺は、ブレザー姿でどっかの校門の前に立っていた。後ろから歩いてきた人とぶつかり、俺は懐から手帳を落とす。


「わりっ」


 ぶつかってきたモブ顔が、謝りながらも学校へ行くのを見送って、俺は落ちた手帳を拾い上げた。


御竿みさおまもる……、BL学園ニ年生? ん? んんん?」


 なんだ、どっかで聞いたことある名前の学校だな……。

 校門にある“BL学園高等部”の名前、それから綺麗な城みたいな校舎。そして俺の名前。


「は!? まさかまさかまさか!?」


 俺は思いだした。

 かつて妹が買ったゲーム『薔薇色の王子たち 〜御竿の竿は誰のもの〜』が、こんな感じの世界だったことを。

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