第20話 アルベルト 荒野を駆ける


アルベルトは荒野で馬車を操って、荒野を走っている。

向かう場所は、アルベルトに因縁のあるヘルムート城だった。

砂塵の騎士とアルベルトが二つ名を持つようになった城だった。

誓いのペンダントはヘルムート城がある位置を示している。

王国軍が危ない目に合う状況、一刻も早く助けたい気持ち。

戦闘経験のある騎士でもあるアルベルトのブラックナイトとの力の差。

そのためにも万全に過ごさなければいけないと言う現実。

自分の実力不足を焦っても、悔いても仕方のない状況だ。

アルベルトは状況に対して現実的過ぎる反応をしている。

「旦那様、少し早いですが交代の時間ですだ」 

 そう言ってグリムが起きて来た。

「今日の夕刻、いよいよ、ヘルムート城に着くですだ」

「分かった。ヘルムート城まで頼むよ。2リーグ前まで頼むよ」

「了解ですだ。今のうちに食事をして、ゆっくり休のですだ。乾板の缶詰と干し肉と水を飲んで休むだよ」

「分かったよ、グリム任せた」

そう言って荷馬車の貨物部分から御者の席に来たグリムに手綱を渡す。

アルベルトはいよいよだと、乾板を食べながら思う。

全力を出しても、わずかにブラックナイトの実力と装備の優秀さに届かない。

干し肉を食いちぎりながら考える。ファーナを助け出せれば、2人の力だと勝てるかもしれない。ファーナ、わずかな時間しか過ごしてないけど、強がったり、怒ったり、笑顔を浮かべたり、嫌いに離れなかった。否、守りたい、一緒にいたいと感じさせてくれる女の子だった。恋愛感情とは無縁な生活をしてきたアルベルトはこの好意と言う感情が愛だとは気づかない。だけどアルベルトはファーナの事を強く守りたいと思う。無理やり自分の感情を納得させるために、ファーナに忠義を尽くしたいと無理やり結論づける。そのために仮眠をとらないといけないと思い、寝袋に入るのだった。


                                   続く

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