盾と鉄槌 とある盾騎士の受難

@tomato197775

第1話 砂塵の騎士 アルベルト

一人の青年とその青年の3分の2ほどの背丈を持つ人物が槍を持って荒野の中にある小高い丘にいる。すでに夕日が沈みかけている。

「来ないですだ、ご主人」

そう話しだしたのは、クネヒトと呼ばれる種族だ。身長は人間の青年の3分の2ほどの身長を持ち、陽気で歌が上手い。この世界の古語で使える人と言う意味を持つクネヒトは、主人に忠誠と使える事に喜びを見出す。

青年は大きな長方形の形をした盾を左手に持ち、手には細い打撃部分と反対側にはピック上の突起を持ち、前方には丸く突き出した突起を持った長さ60センチほどのハンマー、ウォーハンマーと呼ばれる武器を持ち、チェーンメイルと特徴的なヘルメットをかぶっている。砂塵に防具が汚れ無個性さに拍車をかけている。少々気になると所をと言えば、右手の小手の部分が鎖では無く鎖の上に鉄板を四角固定した鋼製の大きなガントレットをしている。

「何事も忍耐だよ。グリム。それに領地にもらった村の村長さんが大地の巫女に祝福を与えてもらいたいと言っていたじゃないか?」

「旦那様、そもそも大地の巫女で大司祭様が来る時間が分からないのは不思議ですだ」

「何事も忍耐だよ。でもこれだけ遅くなるのはトラブルが発生しているのかもしれない。仕えている男爵様の落ち度になる。探しに行くべきか?」

「お仕えする人に忠誠心を発揮されるのは良い事ですだ。だけど旦那様はもっと功を誇るべきですだ」

「ん?」

旦那様と呼ばれ青年の名前はアルベルト。私たちの言う世界で言う乗馬歩兵と呼ばれる重装歩兵に当たる。戦場まで馬で移動して、戦場の最前線で戦列を組み、敵陣を崩して騎兵集団が突入する空間を作るのが役割だった。この世界では戦列騎士と呼ばれ、身分は低いものの騎士の階級が与えられている。

「グリム1000リーグ先、土煙だ。馬に乗った奴らが駆け寄ってきている」

ちなみに1リーグは1mに大体相当する。

「見えましただ。すごいスピードで逃げている女の人がいますだ。どうします?」

「どちらか正義が分からない、丘を降りて状況を確かめよう」

「そこで素直に女性を助けられないのが旦那様の欠点ですだ」

「性分だ。仕方ない。行くぞ、グリム」

そう言うとアルベルトは丘を装備の重さを感じさせずに走って降りていくのだった。

                                 

続く

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