【タイトル】　猫探偵キジトラ

【作者】　卯月

【ジャンル】　ミステリー

【執筆状況】　完結

【形式】　短編

https://kakuyomu.jp/works/16817139554547993292

　私はミステリー好きです。猫も好きです。つまりタイトルだけでもう好きです。

　猫みたいな探偵なのか、猫が物語に大きく関わってくるのか。どういう話なんだろうと読み始めたら猫と一緒に事件を解決するお話でした。

　通称キジトラと呼ばれる主人公の事務所にいつのまにやら黒猫が住み着きました。その黒猫には名前はなく、どうやら人の言葉を理解しているよう。

　猫は九生といいますので、この黒猫も九回くらい生まれ変わっているのかもしれません。そんなかしこ可愛い猫の協力を得てキジトラは事件を解決していくわけです。

　ミステリーって人が死ぬ話なのでスッキリと終わらない話が多いです。人間の弱さや醜さ、事件が起こった原因、その結果がしっかり描かれるジャンルだと思っています。私はトリックよりも人間関係の複雑さを楽しむタイプです。事件が起こった経緯に納得が出来ないとどれだけ素晴らしいトリックだったとしてももやもやしてしまいます。その点この作品は六千字という短編の中で動機と結末がしっかりと描かれており、登場人物の心情や行動にも納得することが出来ました。

　今の主流はスッキリ爽快、シンプルなストレスフリーな作品ですが、人間関係ってそう簡単にはいきません。簡単じゃないからこそ娯楽でストレスを感じたくないって方が多いために今の流行ができあがっているのだろうなと思います。

　ですが人間関係って目をそらしたら解決するものでもないんですよね。嫌なことに。そしてその嫌なものに目を向けてもモヤモヤするくらいで実害がないのが小説や漫画というフィクション作品ですので、時にはスッキリしないお話に触れてみるのもよいのではないでしょうか。

　ミステリーって読まない方にとってはとっつきにくいジャンルのようですが、気軽に読めるミステリー作品も沢山ありますので、今まで触れてこなかったという方はぜひこの機会に。

　企画に参加いただきありがとうございました。