あるいは幸運なミステイク 夢月七海様

【タイトル】 あるいは幸運なミステイク

【作者】 夢月七海

【ジャンル】 ミステリー

【執筆状況】 完結

【形式】 短編

https://kakuyomu.jp/works/16817330666590580506


 この作品について感想を伝える前に前提として知ってもらいたいのが、当作品の作者様である夢月七海さんが開催されている自主企画「同題異話」の存在です。

 自主企画をよく覗く方は見たことがあるのではないでしょうか。毎月、タイトルのお題が出され、そのタイトルから連想するお話を参加者様が自由に書くというものです。

 正確な年数は忘れましたが、もう何年も開催されています。夢月さんが一年間お題を出す年もあれば、有志の方が代わりにお題を出す年もある、色んな方に愛されている企画だと思います。


 私も夢月さんが主催されている時に何度か参加したことがあります。自分以外が考えたタイトルというのは自分にはない発想を得られて刺激になりますし、同じタイトルなのにまるで違う物語を書かれる参加者さんのお話を読むのも勉強になり、とても良い企画です。私は一万字以内に収めるというマイルールを決めていたので、短編を書く練習にもなって技術力向上にも繋がりました。

 長編作品で書きたいものが渋滞していたので2023年は全く参加しなかったのですが、時間があったらまた参加したいなと思っている企画です。

 皆様も興味ありましたらぜひ参加してみてはいかがでしょう。読むだけでも色々な刺激を得られると思います。


 と、企画に対して長々説明してしまいましたが、感想の方に移ります。

 こちらの作品も「同題異話」参加作品です。お題は「あるいは幸福なミステイク」。自分だったらこのタイトルからどういったお話を想像するだろうと考えながらこの作品を読むとまた楽しめるのではないでしょうか。


 私は何度か読書感想文企画をしています。それを読んだことがある方、もしくはプロフを見ている方はご存知のことですが、私、双子好きです。自作に隙あらば双子を登場させる双子好きです。何でも良さそうに見せかけて拘り強くて面倒なタイプと身内に言われるくらいの双子好きです。


 突然、双子連呼し始めた時点でお察しでしょうが、こちらの作品双子が登場します。しかも瓜二つ同性双子!一卵性ですよ、皆さん!

 他人が間違えてしまうほど見た目がそっくりというのは双子において重要な要素だと思います。私は双子に対して拘りが強いので、普通の姉妹みたいな双子はあまり興味がないというか、それ姉妹で良くない?なんで双子にした?同学年にしたかっただけだろ。とむしろ評価が下がる面倒くさいオタクです。だからこほ、そっくりという特徴を有効活用した作品には拍手喝采したくなります。


 ここであまりに語るとネタバレになるので控えますが、すごい語りたいです。同じ親から生まれて、同じ環境を生き、同じ容姿を持っていたとしても別の人間であり、いずれは別々の人生を生きることになる。いいですよねえ。個人と他者の境界線が曖昧なところから、自我を確立していくという過程が尊いと思います。

 一生依存してるのもそれはそれで美味しいですが。要約すると双子万歳です。


 そして全部読み終わった後に改めてタイトルの「あるいは幸福なミステイク」を見ると色々と考えてしまいます。

 あの時こうしていれば別の人生を歩んでいたかも知れないという瞬間は誰にでもあると思います。その時の選択があっていたかどうかなんて、未来になってみないとわかりません。だから考えても仕方ないことなのですが、同じ容姿をもったもう一人の自分ともなれば、もしかしたらという気持ちは他人よりも強くなるのでしょう。

 たとえ決別を選んだとしても、双子として生まれたという事実は消えず、双子である二人にしか分からない想いや絆がある。そんな絶妙な関係を見事描いた当作品、私は大満足です!私の枯渇した双子欲が潤いました!


 暴走気味な感想になってしまい申し訳ないですが、自主企画に参加いただきありがとうございます!



 夢月さんにうろ覚えだった同題異話の歴史を教えていただいたので追記です。

 1回目の開催が2018年。2回目が2023年、それから有志の方、主に香鳴裕人さんという方が主催されているそうです。5年も続く企画ということで、カクヨムというサイトスタートが2016年と考えると改めていろんな方に愛されている長寿企画だなと思いました。

 1月のお題も発表されていますし、気になる方は参加してみてはいかがでしょう。

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